屋久島サウスのアトリエです。
溶かして塊になったシルバーは叩いて伸ばしてを何度も繰り返して細い線になった。
台風は近くなっているけれど、思いのほか外は明るい、まだまだいけるぞ。
配合から始めるシルバーの結婚指輪作りはいつも楽しい。
職人ならではの工程がこれからもいくつか訪れる。
結婚指輪に使う金属は柔らかくて加工がやりやすい、そして耐久性が高くて長くお使いいただける素材が多い。
お二人が選んでくれたシルバーもそうだ。
柔らかいのに、耐久性が高いの?と思うだろう。
そう。柔らかいからこそ耐久性が高くなる。
金属が持つしなやかさが外からのショックを柔軟に受け流してくれるイメージだろうか。
さまざまな素材の中でも特にシルバーはその柔らかさが体に心地よい。
つけているとふわりと優しいフィーリングに包まれるのだ。
その軽やかさが気に入って、わたしも時々シルバーリングをつけて出かけることも。
シルバーで結婚指輪をお作りするときも、もちろん出来るだけ硬く出来上がるように、然るべきタッチを与えて仕上げるのだけれど、使ううちに長い時間をかけて自分自身の指の形にフィットしてゆくその柔軟さも愛おしく思えて仕方がない。
キュッと硬く引き締まったフォルムも素敵だし、手触りの柔らかも魅力だし。
小さなリングの中に同居する、一見相反する作用に今もずっと夢中になっている。
くるりとリング状に巻いたシルバーを炎の中に入れてその両端を繋ぎ合わせてゆく。
両端がつなぎ合わさると、さっきまで手で曲げることができていたシルバーは途端に頑強なものに変わる。
お二人と一緒に育んできたイメージが今こうして形になりつつある。
ありがとう。
まだまだ作業は始まったばかりのはずなのに、なぜだか感謝の気持ちでいっぱいになった。
夕暮れ時、作業がひと段落したところでいつものビーチに。
アトリエはもうすごい風だったのに、裏側までくるとこんなにも穏やかなのか!と感動してしまった。
仲間たちもちらほら集まってきて放課後の波に乗る。
明日はどうだろう。
台風は案外それほどでもなかったよね、と笑いながら話せる日がやってきてほしいなあ、と願うばかりです。
みなさまどうぞお大事に!