作業を始める前に庭先でイエローゴールドを眺めていたのだけれど、
ふと山茶花の生垣に目をやると、蕾をたくさんつけていることに気がついた。
一度気がついてしまうと、ここにもあそこにも!
山茶花の開花が近づくと、ああ、今年もまた色鮮やかな島の冬がやってくるのだな、と思う。
指輪作りが始まるのとタイミングを合わせるように、島ではサキシマフヨウの花が咲き始めました。
お二人がが訪れた屋久島に咲く花にまつわる婚約指輪作り。
ダイヤモンド抱くのがお花なら、リングはそれを支える小枝ということになるだろう。
ふくよかで豊かな印象のある花とバランスを保つように、小枝のリングは細くて力強いものでなくてはならない。
いつもヒントは自然の中にある。
庭先に、散歩道にインスピレーションに出会うことができる島での暮らしは何事にも変え難いものだなと、最近はつくづく思う。
さて、作業もいよいよ終盤に。
今日も島の季節とともに。
イエローゴールドでつくるリングはその側面を、そして表面とを金槌で叩く。
コツコツと細やかに圧力をかけてゆく。
それを何周も繰り返すと、指輪の中に太いところと細いところを与えることができた。
お花周りは細くて繊細になっている。
そして指のお腹あたりにかけてリングの横幅が徐々に広がるようにする。
ずっと長くお使いいただく婚約指輪だ。
こうしておくと、繊細なスタイルの中にとこしえの安定感を約束してくれるだろう。
左手に花を、右手にリングを。
これまで積み重ねてきた細やかな所作が集約され実を結ぶ瞬間がある。
ぴたり。
ここまで彼とご一緒してきた、オーダーメイドのいろいろを思い出す。
デザイン作りから素材選びまで、長くお付き合いいただいてありがとう。
本当に結実するのはリングを手渡す時かもしれませんね!
イエローゴールドのリングとプラチナのお花をぴたりと組み合わせた後には、集中を切らさないように、すかさずそれを炎の中に包んで溶接の加工進めていくことにした。
いよいよ作業のクライマックスである。
島では月桃が色づき始めました。
もう、ほんとに秋がやってきたのですね。
指輪作りは出来上がりが見え始めたとこではあるけれど、それはもう少し先のお楽しみに。
優しくて、そして煌びやかなリングになると思います。
これまでにはなかったデザインが生まれてくる、お二人と指輪の物語はまた別のお話で。
どうぞ素敵な秋の日々を。
山茶花の咲く頃にまたここで、お会いしましょう。
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