ピンクゴールドに宿る光と影。
屋久島に咲いたツワブキの花。
ずっと遠くから聞こえてくる波の音。
始まりの予感いっぱいの出会いに、ありがとう。
お二人の結婚指輪が出来上がりました。
お二人とアトリエでお会いしたのは、繊細なゴールドの指輪のように輝く三日月が濃紺色の空に浮かんでいた、夏の終わりの夕暮れ時でした。
お二人との出会いや、育まれたデザインへの想いを胸に作業机に向かう時間は、豊かな癒しをもたらしてくれます。
ピンクゴールドと屋久島の鮮やかな色彩に包まれた結婚指輪作りの日々。
お二人の大切な想いを形にして。
日々の暮らしの中で快適にお使いいただけるように。
そのようにしてデザインしたリングは、どこかお二人に似て出来上がるように思えます。
屋久島でお会いし、たくさんの言葉を紡ぎながら、お二人とともにオーダーメイドしたリングです。
その小さくて、力強い息吹を宿した佇まいを、心静かに見つめながら。
二本のリングをそっと重ね合わせてみます。
彼のリングは2.5mm幅。ストレートのアウトラインでシンプルに。
彼女のリングは1.2mm幅-2.2mm幅の繊細なスタイルで、リング全体をカーブさせて仕上げました。
素材はお揃いのピンクゴールドです。
リングの表面には緩やかに波打つラインが巡っています。
硬くて冷たいはずのピンクゴールドが、
指先に馴染むような柔らかな印象を与えるのは、
マット仕上げが生み出す繊細な質感によるものでしょう。
実は、お二人のリングは「海のリズム」と「たゆたう光」という二つの異なる印象がモチーフとなっているのですが、
「その二つには、確かなつながりがあって、響き合っているのだ」ということに、リングを作りながら気がつくことができました。
光が生まれるとき、時間もまた同時に生まれるのでしょう。
瞬間の中に永遠を感じることができるのは、あるいは、愛や喜びに似ているのかもしれません。
リングをくるりと返してみます。
雨上がり、庭先に宿る雫のような。
降り注ぐ朝の木漏れ日のような。
どこまでも滑らかで、手触りの心地よい光沢仕上げです。
時間をかけて丁寧に磨き上げたピンクゴールドの表面に、
島の情景が静かに映り込んでいるのが見えました。
いよいよリングをお二人にお届けすることになり、アトリエから小さな森を抜け海へと続く道を歩きました。
たしかに、指輪作りは、一人で作業机に向かう作業であったけれど、
今となっては、お二人と屋久島で過ごした時間や、これまで交わした言葉が、大切な想いとなって心の中に溢れています。
彼が幼い頃に過ごした島を、彼女と一緒に訪れるというお話をしてくれたのですが、「暮らしと自然との距離感」みたいなものについてとても共感したのを覚えています。
幼少期に島で過ごした時間から確かに何かを受け取った自分がいて、やがて、いつの間にか自然から離れてしまっていることに気づく瞬間もあったりする。
子供の頃はシンプルであったすべての事柄が、いつの間にか、歳を重ねるごとに、少しずつ複雑なものになってゆくものですね。
けれども、その全てを、夕暮れ時の空に描かれるグラデーションのように愛おしく眺めることができると、人生は静かな喜びに包まれるのかもしれません。
このリングが、お二人の大切な場所へ繋がる扉のようなものになると、何よりも嬉しく思います。
お二人がともに過ごす一つ一つの時間が、豊かに育まれてゆきますように。
ご結婚おめでとうございます!
またいつの日か、お二人の旅の続きを聞かせてください。
お二人の静かな雰囲気の奥の方に秘めた情熱が大好きです。
楽しい指輪作りをありがとうございました!!
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