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花と月と。お二人のご婚約を記念して、大切なジュエリーを作っています。#屋久島でつくる結婚指輪

空から海へと降り注ぐ光の柱に出会うと、いよいよ冬本番だなと、どこか厳かな気持ちになる。

 

この年の瀬は、静かな島の時間に包まれたアトリエで。

お二人のご婚約を記念して、来年へとつながる大切なジュエリーを作っている。

 

イエローゴールドの花と、月の石。

屋久島でのジュエリー作りを象徴するようなモチーフが、年をまたぐこの制作に、穏やかな必然性を与えてくれている。

 

イエローゴールドでかたどった花を組みあわせ、造形を重ねていく時間は、子供の頃のような自由があって、楽しい。

 

彼からお電話をいただいたのは、島が暖かな陽気に包まれていた、12月の半ばのことだった。

 

「婚約のジュエリーにネックレスを贈りたいのです」と、彼は伝えてくれた。

「ネックレスなら、使う機会が多くて嬉しいですね」と、私も嬉しくなって話す。

 

それなら、今までにはない、特別なデザインでお作りしなくては、と直感的に思った。

大きな花と小さな花をふたつ重ね、まわりにゴールドの粒をあしらうと、繊細で優しい表情が生まれそうだ。

 

新しい門出を迎えるおふたりとご一緒するオーダーメイドは、いつもインスピレーションに満ちている。

 

ジュエリーを作っていると、いつも思うのだけれど、

花や月という言葉が、お名前の中に含まれているのって、本当に羨ましい。

季節の巡りや、何気なく見上げる空が、より親密なものに感じられているのかもしれない。

 

彼からは、彼女のお名前にちなんだモチーフを選びたい、と相談をいただいた。

菜の花をかたどるゴールドには、ムーンストーンを組み合わせてみるのはどうだろう。

素敵なアイデアを見つけることができて、心が躍った。

 

屋久島の季節と、おふたりとの出会いにありがとう。

 

ムーンストーンは、乳白色で透明感のある表層に、ブルーの光が漂う石だ。

そのどこか神秘的な雰囲気を前にすると、思わず魅入ってしまう。

まるで夜空に包まれながら、大切な人の隣に身を置いているときのように、心が平らになっていく。

 

この、あたたかくて静かな時間をお届けできればいいと思う。

 

庭先では、ツワブキの花が満開を迎え、ところどころに新しい一年の始まりを予感させる赤い実がなっている。

驚くほど暖かな年の瀬で、空はどこまでも青く澄んでいる。

窓の向こうを眺めると、草むらの傍でのんびりしている猫と、思わず目が合ってしまう。

 

いよいよ年末を迎えたアトリエで、コツコツとタッチを積み重ねながら、

どこまでも深く、穏やかな心地に満たされていた。