
12月にしては、驚くほどにあたたかな日が続いていたので、
これは素敵なギフトだと思い、森を歩いてきた。
ここは古くから、森の泉と呼ばれる場所で、なるほど。
歩き始めるとすぐに、水の音に包まれていることに気づかされる。
漂う緑の香り。
冷たい水の味わいと、手触り。
どこまでも広がっていく、無限の緑。
いくつも並ぶドアを強くノックしていくように、眠っていた感覚がひとつずつ呼び覚まされていく、
そんな時間だったように思う。

その森の余韻に包まれて、おふたりのプラチナリングの仕上げ作業を進めることができた。
森の中に流れる時間を色濃く感じながら、そのフィーリングをリングに投影するようにして、夢中になってタッチを重ねた。
リングの表面をきれいに磨き上げたあと、そのシルエットを太陽の光の下で眺めてみようと思った。
そっと指に通してみたリングの心地は、とても馴染みが良い。

空気の中には、自然の神秘みたいなものが漂っている。
その形のない響きのようなものを、小さなリングにできたらと思っている。

ふたつのプラチナリングは、重なり合い、ひとつでもあって。
木漏れ日の中で静かに煌めきながら、島の時間に溶け込んでいるように見えた。
指輪づくりは、いよいよゴールまであと少しとなり、
おふたりにとっては、それを合図とするように、新しい暮らしが始まることになる。
なんだかその大切なひとときを、ご一緒しているような気がして、嬉しくなる。
未来に向かって、力強く歩み始めているように思えて、背中を押してもらえる。
あと少し。
大切に育んでいこうと思う。
胸の中には、まだ森の印象が鮮明に漂っている。
巨木を通り抜けて届く光が、霧雨のようにやわらかく降り注いでいる。

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