
タッチを重ねるたびに、造形のリアリティが立ち上がってゆく。
両端をつなぎ、ひとつの円となったとき、プラチナは揺るがない強さを帯びるのだけど、その手触りはどこまでもやわらかい。
金属が纏う永遠と、わたしたちが触れる一瞬の安らぎが、ひとつの場所で響き合う。
今という瞬間が幾重にも重なり、やがて永遠が形作られてゆく。
沖縄と神奈川、そして屋久島。
広い海を越え、手を繋ぐようにして、おふたりの結婚指輪を作っている。
金属の悠久の時間に身を委ねて作業を進めていると、
自分と金属のどちらが導いているのか、わからなくなることがある。
リングを作っているのではあるけれど、
わたしたちはこの宇宙の中でプラチナに出会い、ほんのひととき、そこに身を寄せているだけなのかもしれない。
そう思うと、どこまでも果てしない感覚に包まれる。
それは、海を泳ぎ、森を歩くときに訪れる、
畏れと安らぎが静かに広がっていく感覚に似ている気がする。
その世界に対する親しみのようなものを、大切な人と分かち合えると、日々は喜びに満たされる。
おふたりとは、空気の中に漂う悠久の時間を大切に思う気持ちで、繋がっているのかもしれない。

一日の始まりに、いつものビーチに向かった。
その途中に車を止めて眺めた朝焼け。
太陽は、リングのモチーフのひとつになっている。

重なり合い、ひとつになり、そしてまた重なり合う造形が好きだ。

プラチナをリング状に整えたあと、その表面と側面を金槌で叩いた。
真金に通し、鉄のプレートの上で、目当てのサイズに達するまで何度も打ち重ねていく。
均一に刻まれた槌目模様は、このあと削り落とすことになるのだけれど、
削り出し作業の前に、こうしてしっかりと圧力を与えておくと、プラチナは組成を引き締めるように、さらに強さを帯びていく。
この工程は、料理で言うところの下拵えにあたる、大切な部分だ。
これから長く寄り添う指輪になるよう、見えないところをしっかりと頑張っておく。
ゆっくりとした島のリズムで、いつも遠回りのような道のりだけれど、じっくりと進めていこう。
今この瞬間が、確かなかたちへと繋がっていく。
リングが完成に近づくにつれ、始まりのときもまた近づいてくる。
そう思うと、ひとつひとつのタッチが、いっそう愛しく、大切なものに感じられた。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
