台風がはるか遠くへ去って、
屋久島には穏やかな朝がやってきた。
ここ1週間は毎朝4時に起きて日の出タイムに間に合うようにと
通い続けた宮之浦川の水面もつるりと凪ていた。
それでも台風からのうねりはまだ少しだけ島の北側に届いてて、
珊瑚の海まで続く小道を通り抜けて、
最後の波をいくつかキャッチすると、
長く続いた夏の波乗りがひと段落したような気がした。
海の水はトランクスでは寒く感じるほど、ひんやりと冷たくなっていた。
珊瑚の海まで続く道は、僕たちサーファーが歩いてできたもので
けもの道ならぬ、サーファー道。笑
そこはクワズイモやシダの葉がいっぱいの細道で、
道好きなわたくしとしましては、この屋久島でも指折りのスポットなのであります。
日々の暮らしの中に出会う植物って、それがどんなにささやかなものであっても、やっぱり特別だなあと思う。
いつもの散歩道で、庭先で、
何気なく目に入るたびに励まされるというか、
もう仲間感覚みたいになっていて?!
小道を海から登っての帰り道、風に吹かれるシダの葉っぱを眺めては
ちょうど今作ってるシダ模様の指輪のことに思いを巡らせていた。
お二人の暮らしを映すモチーフ、シンプルなスタイルでつくる。
そんなテーマを抱いて、お二人と一緒に作り進めてきた結婚指輪なのです。
「ぜんまいの葉っぱがいつもの暮らしの中に欠かせなくって」
海を越えて新潟に暮らすお二人から最初にメッセージをいただいたのは新緑萌える春の頃でした。
「ぜんまいの葉っぱと仲間のシダ模様の結婚指輪が気になりました!」
silver950 with fern pattern
シルバーのスクエアシェイプ、
表面に1本のシダ模様を彫り込んだリングは彼のチョイス。
シンプルなスタイルです。
リング幅が3.0mmの広いキャンバスに印象的に、
でもさりげなくて爽やかに。
シダ模様の大きさやレイアウトにはこだわって、お二人と相談を重ねてきていたので、
思った通りに、それ以上に素敵に仕上がって嬉しかった!
シダ模様はリング全体の1/3ほどでありまして、
シンプルでプレーンな部分があったり、
シダ模様が見えたり、
つけていると表情が変わるのも楽しそう。
お二人のリング作りも最後の工程となって
なんだか少し名残惜しいような気もしたり、
でも、早く完成を見たかったり。
鉄鋼ヤスリでリングの角を落として、つけ心地柔らかにして。
これで最後の一歩でありますね。
いよいよ完成近しとなりました!
制作編