2024年10月半ば、屋久島サウス。
近所の散歩道にサキシマフヨウがぽつぽつと花を咲かせ、雨上がりの雫をきらめかせながら風に揺れている。
薄ピンク色の花びら、青く濃い空、まだまだ眩しい陽射し。
背丈よりも少し高い木を見上げながら、一年ぶりに再開した色彩に目を奪われていた。
そして、その開花を合図とするように、海の向こうに暮らすお二人の結婚指輪作りを始めることにした。
変わることのない島のリズムに、いつまでも新しい刺激を受けながら、フレッシュな気持ちで作業机に向かっている。
さて、まずは最初の第一歩。
お二人が選んでくれたシャンパンゴールドを金槌で叩き、太い部分と細い部分、微妙な抑揚を与えていく。
凸凹になった表面をヤスリで削り、平らに整える。
これは、造形作業における下ごしらえのようなパートなのだけれど、こうした地道な準備が、後々の仕上がりに響く、とても大切な工程だったりする。
作業台に散らばったシャンパンゴールドの細やかな破片がデスクライトの光を受けて煌めいている。
その輝きが、すっと胸の奥まで響いてきた。
それにしても、シャンパンゴールドの輝きは、芳醇な秋の色彩を纏う光に似ているように思う。
ここ屋久島は、28年前、お二人が新婚旅行で訪れた場所である。
そして今、新しく結婚指輪をお作りする機会をいただき、作業机に向かっている。
28年前の島は、きっと訪れることも簡単ではなかったに違いない。
この島には、訪れるべき人を引き寄せる強い磁力のようなものがあるように思う。
この素晴らしいご縁に恵まれ、感謝の気持ちに包まれながら。
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