秋が訪れ、澄み渡る空に漂う雲を眺めている。
日が昇るのは、ずいぶん遅くなってきたけれど、夜明けの時刻がとても好きだ。
山から吹き下ろす少し冷たい風を体いっぱいに受けながら、ノースの海で1日の始まりを迎えた。
ノースに来ると、アトリエの周りとは少し違った景色に出会えるのが嬉しい。
夜の間の降った雨がクワズイモに宿り、そのアーチを抜けると、眩しい太陽の光に包まれた。
お二人の結婚指輪作りは、シャンパンゴールドをくるりとリング状に造形したところまでを書きました。
さて、アトリエです。
サウスで暮らしていると、馴染み深い花といえば、なんといってもハイビスカスかもしれない。
アトリエに戻ると、まだまだ勢いを弱めることのない南国の熱気に圧倒されそうだった。
早速作業机に向かい、午前中はリングの切削作業に没頭していた。
鉄鋼ヤスリを使い、シャンパンゴールドの塊の中にある、リングの丸く柔らかな姿を削り出していく。
アウトラインにスムーズな流れが生まれるよう、できるだけ手を止めずに集中を保つ。
そして、ようやく作業がひと段落したところで、庭先に出て、ほっと一息ついているところ。
緑の中でリングのシルエットをチェックする。
木々の隙間を抜けて届いた光が、まるで流れる水のように、曲線を帯びたリングの表面を滑らかに巡っているように見えた。
彼のリングのアウトラインを眺めながら、今度は彼女のリングを削り出す。
お揃いのデザインではあるけれど、彼女のリングには、より繊細な印象を与えていく。
リングの幅には、その太さに抑揚をつけ、全体に滑らかな流れが生まれるようにした。
続けて作業をしておきたかったところまでを終えると、驚くほどの徒労感に包まれていた。
なかなか悪くない感覚である。
けれどもここからは、ペースを少し落とし気味にして、ゆっくり進めていこう。
せっかくここまで長く育んできたオーダーメイドなのだ。
出来上がるまでの時間も、お二人とともに楽しんでいくことができれば嬉しい。
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