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大好きなシルバー。屋久島の秋とともに、お二人の結婚指輪を作っています #屋久島でつくる結婚指輪

夜明けの海に出かける日が続いている。

日の出は少し遅くなってきたけれど、水温はまだまだ暖かく、トランクスで泳げるのも南国ならではの楽しみだ。

 

まだ薄暗いうちに何本かの波に乗り、日が登り始める頃にはアトリエに戻る。

まるで風が体を通り抜けたみたいに、真っ白な気持ちに包まれて、作業机に向かっていた。

 

 

屋久島の季節とともに、お二人の結婚指輪を作っています。

シルバーリングと秋の虹、お二人の結婚指輪作りが始まる日 #屋久島でつくる結婚指輪

 

自然を感じながらジュエリーが作りたくて、この島に移り住んだのは、もう15年以上も前になるけれど、オーダーメイドの日々で、この喜びを分かち合えることが、何よりも嬉しい。

海を越えて、お二人の大切な指輪作りのお声がけをいただき、本当にありがとう!

 

さて、アトリエです。

バーナーの炎で溶かしたシルバーは素材として整えられ、いよいよリングの造形作業を始めるところ。

ここから先は、後戻りすることができない工程になるので、寸法を大切にタッチを重ねていかなくてはならない。

鉄の芯金にあて、木槌で叩きながら、くるりとリング状に巻いていく。

お二人のサイズに合うよう、寸法をしっかりと測り、その両端を糸ノコでカットする。

シルバーは案外、柔らかく、とても扱いやすい。

 

これはいつも不思議なことなのだけど、両端をつなぎ合わせてリングになると、金属はとても強くなる。

これまで比較的容易に曲げることができていたシルバーも、少しくらいの力ではぴくりとも動かない。

 

繋ぎ合わせると安定が生まれるのは、まるでパートナーとの出会いのようでもあるな、と重ね合わせたり。

そうして暖かな気持ちに包まれるのは、結婚指輪作りならではの幸せかもしれない。

 

シルバーは、軽やかな銀白色が爽やかで、柔らかな手触りが優しい気持ちを与えてくれる。

何年もかけ、指に馴染むように形状を変えるしなやかさこそが、実は強さなのだと思う。

 

オーダーメイドで選ぶ素材やデザイン、そして出来上がるリングは、お二人自身にとても似ているのかもしれない。

屋久島のアトリエでお会いできる日のことを楽しみに想いながら、作業の手を動かし続けていた。

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

シルバーリングと秋の虹、お二人の結婚指輪作りが始まる日 #屋久島でつくる結婚指輪

ようやく明るみ始めた朝霧の向こうに、半周の弧を描く虹が架かっていた。

もわりとした湿度の中には、かすかな秋の香りが漂っている。

 

今日も暑い日になるだろう。

お二人が島を訪れる頃には、季節はさらに深まりを見せているだろう。

 

さあ、いよいよ、作業を始める日がやってきた。

 

 

作業机に向かい、まず最初に取り掛かったのは、シルバーを溶かし、リングの造形に適した素材を作る作業だった。

ガスバーナーの炎を900度以上まで上昇させ、シルバーが液体状になったところで、鉄製の枠に流し入れる。

 

とてもシンプルな工程ではあるけれど、適切な温度とタイミングが大切になってくる。

 

これから先の工程を左右する大切なステップだ。

心を落ち着けながら、そして大胆に炎を扱っていく。

 

 

冷やしたシルバーは、長い四角柱の形状に整うまで、力をかけて金槌で叩いた。

コンコンと、アトリエに金属の高音が響き渡る。

 

きっとこの音は、はるか昔に職人たちが工房で響かせていた音と同じなのだろう。

この時間感覚が、わたしは好きなのかもしれない。

時代を超えて変わらない、スローな手作業である。

 

外には薄明るい光が差し込み始めている。

 

モノづくりの、ゆっくりと進む日々は、あるいは植物の時間と近しいのかもしれない。

じっくりと、確実に、一歩ずつタッチを進めていかなくてはならない。

 

庭先のハイビスカスを眺めながら、静かに胸を高鳴らせていた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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お二人のご結婚30周年をお祝いする結婚指輪をお作りしました。 シャンパンゴールド、八角形のペアリング #屋久島でつくる結婚指輪。

お二人のご結婚30周年をお祝いする結婚指輪をお作りしました。

シャンパンゴールド、八角形のシルエット。

そして、いつかここにお越しいただきたい、屋久島の海の情景と共に。

 

 

香港と屋久島をつなぐ結婚指輪作り。この素晴らしい機会に、ありがとうございます!

素晴らしい機会に、ありがとうございます!ご結婚30周年を祝う結婚指輪の制作記 #屋久島でつくる結婚指輪

 

数ヶ月間ご一緒した指輪作りの時間は短いものでしたが、

「私もこんな風に30周年を迎えられたら素敵だなあ」と憧れを抱くようなお二人でした。

 

「8角形は、私たちにとってとても思い出深い形で、結婚記念日も8日なのです」と彼女が話してくれたのは、デザイン作りが始まった、真夏の頃でした。

「七転び八起きも、好きな言葉です」、とも。

 

「8は末広がりのイメージでもありますしね」とわたしも応えるように言いました。

 

もちろん、指輪作りが大切なことではありますが、こうした出会いもまた、かけがえのない宝物のように思えます。

 

お二人の想いから生まれたデザインが、わたしも大好きです。

 

彼のリングが2.6mm幅。彼女のリングが2.2mm幅。

シャンパンゴールドでお作りした、ペアリングです。

 

雲の合間を抜けて降り注ぐ初秋の柔らかな光を受け、リングの表面には陰影が生まれ、多様な表情を見せてくれました。

 

出来るだけシャープに仕上げた造形ではあったけど、柔らかな海の情景にとても馴染んで見えたのは、マット仕上げならではの魅力です。

 

長くご愛用いただく結婚指輪ということでしたので、日々のつけ心地には特にこだわりました。

側面から内側はつるりと光沢仕上げにしてあるので、指馴染みとても快適なのですよ!

 

出来るだけ繊細で、軽やかな印象に。

同時に、シャンパンゴールドを惜しみなく使い、強さと確かな手触りを持たせて仕上げました。

 

お二人だけの結婚指輪を、一緒に作り上げることができたように思います。

 

そういえば、香港の海をスターフェリーで渡り、ホンハムで夢中になって天然石を選び、夜の尖沙咀で熱狂の渦に巻かれたりしたのは、ちょうど屋久島に来る前のことだったなあ。

お二人が暮らす、はるか南の国に想いを馳せながら。

 

 

生まれたての光が庭先に届き、また新しい一日が始まります。

 

さて、いよいよリングをケースに入れ、リングを香港にお送りする時です。

夜明けに咲いたばかりのハイビスカスが、静かに輝いていました。

 

ご結婚30周年、おめでとうございます!

お二人と一緒に、幸せなジュエリー作りの時間を過ごせたことに心から感謝しています。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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