去年の冬に始まったお二人の結婚指輪作りも、いよいよ佳境に入ってきている。
達成感のような晴れやかさもあるし、なんだか少しだけ、名残惜しさも感じる。
屋久島の南部では、新緑の若葉が芽吹き始めた。
雨が多くなり、春を告げる強い風が吹いている。
冬の間、あれほど静かだった島には、春休みを迎えたツーリストの姿をたくさん見るようになった。
市場に並び始めたイチゴは、甘くてとても美味しい。
新しい季節の始まりだ。
プラチナリングの表面は、サンドペーパーを使い、段階的に少しずつ質感をなめらかに整えていく。
シックではあるけれど、造形を洗練させていく重要な工程である。
表面に続き、内側も、しっかりと磨きをかける。
ここは付け心地に響く大切なところ。
柔らかにカーブを描くように削り出したフォルムと指が寄り添う感覚を楽しんでいただけると嬉しい。
無事に磨き作業を終え、夕暮れ時の柔らかな光の中で、二本のリングを眺めた。
時の巡り。響き合うリズム。
屋久島の季節に、ありがとう。
お二人との素敵な出会いに、ありがとう。
小さな気配を感じ、ふと見上げると、鹿。
30秒ほど、お互いに動かずに見つめ合っていた、静かなワンシーン。
そういえば、庭先にはメジロもたくさん集まってきていたし。
なんだか昔話みたいな、神秘的な日々だったなあ。
さて、お二人のリングには、内側に刻印を施していよいよ完成となるわけだけど、
その頃にはもう少し暖かくなっているだろうから、リングを持ってまた海に出かけてみようかと思う。
私たちが大好きな海と響き合う結婚指輪のお話は、もう少し先のお楽しみに。
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制作編