そろそろ梅雨も明けそうな気配。
屋久島サウスのアトリエです。
早く夏を、もう少しこの潤いを。
そういえば、梅雨本番と共に始まったお二人の結婚指輪作りだったような気がする。
作業は折り返し地点を過ぎて、春のアトリエでお会いしたオーダーメイドもいよいよゴールを近くに感じるようになってきて、ほんの少しだけ名残惜しさのようなものを感じながら。
紫陽花, 雨, アトリエを囲む木々, ピンクゴールド. 屋久島の色彩に包まれてお二人の結婚指輪を作っている
結婚指輪作りはデザイン作りの始まりからだと、お二人とご一緒する期間はおよそ3ヶ月ほどを要することになるだろうか。
しかしながら、実のところ、デザイン作りの始まりに至るまでの期間もまた長かったりもする。
インスタグラムやSNSで屋久島でのジュエリーにまつわる日々を見てくれていて、何ヶ月、何年かを経た後にメッセージをいただくことだってある。
それはまさに氷山の一角のような、小さな指輪作りの時間なのかもしれない。
指輪をお届けしたあともまた、サイズのお直しやメンテナンスの機会があり、メンテナンスの機会がなくてもお会いして近況を話し合うこともある。
「ご家族が増えてこの頃はどうですか?」という具合に。
そんな指輪にまつわる日々は時間で数えると一生のうちのどれくらいのパートを占めることになるのだろうか。
屋久島とお二人とを紡ぐ不思議な運命のようなものさえ感じられることがときどきある。
本来ならファッション的な要素を多く含むジュエリーなのかもしれない、けれども結婚指輪作りを介してお互いの大切な深い部分で繋がっていられることを幸せに思いながら。
今日も一つずつ、できることを。
彼のリングは彼女と同じピンクゴールドで、同じデザインで造形を始めている。
今回はサイズが違うのもあるけれど、同じリング幅を持つデザインでも彼のリングにはしっかりと厚みを与えて耐久性を高めるように注意をなければならない。
彼と彼女ではやはり日々の活動のハードさが違っているからだ。
そして、こうしてリング自体に抑揚を与えておくと、つけた時によりお揃いを感じていただけることだろう。
それにしても、作業机に向かっていると心安らかになる。
徐々に自分自身が満たされてゆく様を確かに感じ取ることができた。
お二人との出会いに、楽しい指輪作りにありがとう。
リングは基本的にはラウンドシェイプの系統を引く丸い造形である。
コロリとやわらかな局面に包まれながら、側面からリングの中央へと向かう面が重なり合う場所でシャープなエッジを立てている。
そのエッジが少しずつポジションを変えて、螺旋を描きながらリング一周を巡る。
移りゆき、そしてまた訪れる季節のような永遠のイメージがここにある。
作業がひと段落して窓の向こうを眺めると気持ちの良い雲が浮かんでいた。
夕暮れ時の黄金色に染まっていた。
空のように刻一刻と移り変わる色彩も素敵だなと思う。
この空とこの指輪作りの時間は一度だけしか与えられないものなのだろう。
そう考えると今この瞬間がいっそう大切なものに思えてきた。
屋久島でつくる結婚指輪
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