2023年の梅雨は屋久島サウスのアトリエにに篭ってピンクゴールドの結婚指輪を作り続けている。
雨が降ると作業机に向かい、雨足が弱まると庭先に出る。そんな島リズムである。
こころみたされる。
デザイン性はもちろんだけれど、長くお使いいただく結婚指輪なので付け心地だったり、お二人の想いだったり、内側に向かう感覚を大切にしていたい。
庭先で眺めていたのは彼女のリングで、表面に鉄鋼ヤスリでざっとところだ。
巡る季節のように、あるいは打ち寄せる波のように、リングをぐるりと囲む斜面を施した。
そう考えると、季節だったり、潮の満ち引きや、あるいは時間そのものであったり、島では目には見えない存在のようなものを確かに感じながら暮らしているような気がする。
それらは実は透明な形状を持っていて、例えば水や炎のようにその存在を流動的ではあるが具体的に体現している事象も見つけることができる。
そのような“リズム”だったり“響き”のようなものを表現するにはどのようにすれば良いだろう。
そんな興味がジュエリー作りへの衝動を強く駆り立てている。
変化を続けながら巡りゆくもの。
自然の中にある“響き”をきっとお二人も聴いている。私は想像した。
大切にしたいことを刻み込むように、今日も作業机に向かっている。
表面は荒い番手の紙やすりで整えた。
そして時折2本のリングを重ね合わせて眺めてみる。
なかなか遠いところまで歩んできたな、としみじみ思う。
春の屋久島でお二人と出会って、アトリエでは直感的にデザイン作りは進んだのだけれど、無から有を生み出す力ってすごい。
目の前で形を成しつつある小さなリングが、お二人が、そして私たちが出会った証のようにも思えきた。
夕暮れ時、海には虹がかかった。
いつもとは違った珍しい場所だったので、ささやかな驚きが嬉しかった。
また色彩が新しくなっていた山サイドを眺めて、やはり夏はすぐ近くにいるのだな、と思う。
なんだかとてもドラマチックな雰囲気のです。
明日はとても暑くなりそうだ。
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