炎の中にプラチナリングを入れてリングの形成作業をしている時、窓の向こうでは激しい雨が降り続いていた。
雨音は分厚く、外に出ることもできないくらいにその勢いは手強い。
熱帯的というのだろうか、雨季の到来をを思わせる本格的な雨だった。
雨もたくさん降るし、百合も咲いた、
屋久島の祝福に包まれてお二人の結婚指輪を作る日々だ。
東京に暮らすお二人とは海を越えて結婚指輪作りをご一緒しているのだけれど、
出来上がったリングを屋久島まで受け取りに来てくれることになっている。
ゴールのようでもあり、始まりでもある瞬間を目印にして少し先の未来へと歩みを共にしているような、
そんな結婚指輪作りの日々かもしれない。
三人で一緒にイメージを作り上げてゆく、オーダメイドの時間は宝探しのようで楽しい。
島リズムのジュエリー作りにいつもお付き合いいただいてありがとう。
さて、雨と炎と、プラチナリング作りはいかに。
昔ながらの手作業で、コンコン。
木槌や金槌で叩いて圧を与えてあげるとプラチナはキュッと硬くなる。
仕上がるまでに何度も硬くなる工程を繰り返してリングはお二人の手に届く。
作業机に向かっていると、金属は案外と柔らかなもので、
硬くなったり、緊張が緩んだり、その収縮がまるで呼吸をしているように感じることがあある。
あるいはそこに私たちは手触りの優しさを感じられるのかもしれない。
それにしても、こうしてサイズを意識して作っていくと、お二人とお会いする日が近くに感じられる。
いよいよなのだと嬉しくなる。
庭先では2023年初めての紫陽花が咲き始めていて驚いた。
きっとこの激しい雨に刺激を受けたのだろうか、
それでも紫陽花はこの雨を気にもしていないように見えた。
楽しげに雨の中を咲いていた。
6月には紫陽花は大きく育っているので、お二人がアトリエに来てくれるのは素敵なタイミングのように思える。
それはきっと色鮮やかな祝福を与えてくれるはずだろう。
少し雨脚が弱くなったところで、咲き始めた紫陽花の近くでプラチナリングを手にしてみる。
紫陽花は雨の中でとても元気だ。
プラチナはリングになった、紫陽花と同じくらい躍動して輝いている。
今日も島のリズムと共に指輪作りの道のりを歩んでいる。
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