朝もずいぶん早くなってきた。
夜明けとともに入る海の水はまだ少し冷いけれど、とても気持ち良く感じられる。
若葉の緑にも勢いがある。
月の満ち欠けでいうところの新月から満月に向かうリズムなのであろうか。
いよいよ島もシーズン入りといったところである。
アトリエの庭先に、いつもの散歩道に、
春の息吹を感じながらお二人の結婚指輪を作っています。
プラチナとシャンパンゴールド、
シンプルなラウンドシェイプのリングをこれまでにいくつ作ってきただろう。
けれども、お二人の暮らしに寄り添うようにカスタムしてお作りすると、世界に一つだけのリングが生まれるのだから面白い。
オーダーメイドの出会いを重ねるほどに、作ればつくるほどに。
この世界には無限の個性があって、一つ一つがそれだけで美しい存在なのだなと感じずにはいられない。
さて、今日も作っている。
プラチナとシャンパンゴールドは両端をぴたりと合わせてくるりと丸い造形となった。
酸素バーナーの炎に包んで高温下でその繋ぎ目を溶かし合わせて一つにする。
シャンパンゴールドの作業温度は約815度でプラチナの作業温度は1500度以上だ。
バーナーの種類や遮光メガネなど、必要に合わせて変化させつつ作業をしなくてはならない。
長時間加熱しすぎると地金は溶けてしまうし、温度が十分でないとうまく接続してくれない。
実にワンアクションだけのシンプルな作業ではあるけれど、この日1番の集中を持ってリングと対峙する。
ピンセットとルーペを交互に使って精度を確かめながら徐々に炎の温度を上げていく。
むっちゃ細かすぎて神経を使う作業ではあるけれど、結構気に入っているフィーリングだったりもする。
始めてから何分くらいだろうか、それほど経っていないのかもしれない。
作業が佳境を迎える頃には心がとても平らになっていた。
一日の終わりには作業台の上にリングの佇まいを眺めた。
シャンパンゴールドとプラチナが織りなす色合いのコントラストが心地よい。
そしてリングの向こう側にはお二人の気配というか、個性のようなものをほんの少しではあるけれど想像することができた。
それが装飾品作りの、とりわけオーダーメイドにおける制作の素敵なところだと思う。
お二人にもいつの日かお会いできると嬉しい。
雪苔屋さんのおやつ。
雪苔屋さんのお二人のことは屋台風のお店の頃から知っているけれど、ものづくりが固定されることなく、日々アップデートされていく味わいをいつも楽しませてもらっている。
そんな友人たちの姿を見ていると刺激を受ける。俺も歩み続けなくっちゃ!と。
今は人生のどれくらいの位置にいるのかはわからないけれど、
先はまだ随分と長いに違いない。
きっといろいろなことができるはず。
リラックスして、体を大切に、美味しいものを食べて、ゆっくりと参りましょう。
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