彼女が屋久島を訪れるのは、なんと二十年ぶりとのことでした。
当初は接近が危ぶまれていた台風も進路を変え、穏やかな天候に恵まれた日。
待ちに待った、結婚指輪の相談会でした。
「20年前は小学生で、宮之浦で眺めた星空は今でも鮮明に覚えています」
彼女が、時をそっと振り返るように言いました。
たしかに、屋久島の自然には、心を強く惹きつける磁力のようなものがあるように思います。
その数年後にわたしが島に暮らし始めたことを思うと、時の巡りが導いた神秘を感じずにはいられません。
お互いにとって大切な場所が紡いでくれたご縁に、感謝の気持ちでいっぱいです。
おふたりの結婚指輪はお揃いのピンクゴールドで。
細部のデザインを少しずつ変えてお作りすることになりました。
「仕事中はつけないので、特にこだわりはなくて」と、最初のうちはそう話していた彼でしたが、
サンプルリングを手に取るうちに、少しずつイメージが広がっていき、
みんなでデザイン選びに夢中になったのが、とても楽しく、心に残る時間でした。
こうしていつも、おふたりの暮らしや大切な想いから、一つだけのデザインが生まれるのだから、面白いです。
出会うことって、本当に素敵だなと思います。
大雨の予報も気持ち良いくらいに外れ、西の空には晴れ間も広がり始めていました。
アトリエの庭先ではハイビスカスがいっぱいです。
翌日の森歩きも、きっと心地よいものになりそうだし。
20年ぶりに訪れた島からの、小さな恵みかもしれませんね。
ほんの数時間だったけど、おふたりとお会いできて、これまでにはなかったデザインが生まれました。
わたし自身も、とても楽しみな指輪作りです。
島の季節の中で、少しずつ育まれゆく時間を、どうぞあたたかく見守っていてください。
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