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シャンパンゴールドで紡ぐ夏。ふたつのシルエットが響き合うとき #屋久島でつくる結婚指輪

そういえば最近、美味しいカボチャもいただいたし、空気は澄み渡り、星空も綺麗になってきた。

それでも屋久島はまだまだ暑い日が多いけど、おふたりはどんな夏を過ごしているのだろうか。

 

そうか、もう8月も終わりなのだ。

 

 

ゆっくりと島のリズムで進むオーダーメイドだけど、

おふたりと同じ季節を分かち合えるのは、何よりも嬉しい。

夏への憧憬、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

さて、

指輪作りも、いよいよ折り返し地点に差しかかった。

二本のリングのシルエットを決める大切な工程になるので、一つ一つのタッチを丁寧に重ねていきたい。

彼のリングは、ほんの少し丸みを帯びるように削り出した。

リング表面を巡るラインのエッジは、まだそれほど強く立たせていない。

全体的にやわらかな印象を保つように作り進めているのだが、それでも太陽の光の下で眺めると、そのフォルムに沿って、くっきりとした陰影が浮かび上がっていた。

 

彼女のリングは幅を細くし、エッジをわずかに際立たせて、リズミカルで動きのあるフォルムに仕立てていく。

二本のリングを並べ、お互いのバランスをとりながら、交互に削り出していった。

まずは目の荒いヤスリで大きく形をとり、そのあと精密ヤスリに持ち替え、表面の同じ場所に何度も小さなタッチを重ねていく。

 

それにしても、こうして並べてみると、サイズも結構違っていて。

眺めていると、なんだかほっこり。

 

作業台の上には、削り落とされた金属片が散らばり、キラキラと輝いていて綺麗だった。

 

リングが完成するのも待ちきれない。

けど、この夏をもう少し楽しみましょう。

 

楽しい時間は、またまだ続きます。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

夏への憧憬、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

シャンパンゴールドを金槌でコンコンと叩き、そのあとにくるりと巻いてリングのかたちにした。

少し細く造形した両端をぴたりと合わせ、窓外に響く夏の音に耳を澄ませながら、ガスバーナーの炎に包み、ゆっくりと熱を回した。

 

ときどき庭先に出てハイビスカスを眺め、カフェオレを淹れて少しずつ飲み、簡単な昼食をさっと作ったりしたけれど、

それ以外の時間は日中ずっと机に向かい、作業に夢中になっていた。

 

 

それにしても、暑い日が続く。

どこか幻のような儚さを帯びた夏の叙情に包まれながら、おふたりの結婚指輪を作っている。

海と太陽、シャンパンゴールド。おふたりの結婚指輪作りが始まるとき #屋久島でつくる結婚指輪

 

最初は彼女のリングを予定のサイズに合わせ、そのあとに彼のリングを。

少しずつ、少しずつ、同じ工程をなぞるようにタッチを重ねていく。

 

おふたりの結婚指輪は、お揃いの素材とデザインでかたちづくるのだけど、

サイズはもちろん、リング幅や、表面に走るラインの角度など、細部に微妙な変化を加えながら工程を進めていく。

 

彼と彼女とは、これまで何度かビデオ越しにお話しすることができたので、その時の印象も指輪作りの大きな助けになっている。

 

おふたりそれぞれの時間と手に自然と馴染み、

そして、そのふたつのリングが補い合い、ひとつになるような。

確かなつながりを感じる“響き”のようなものも大切にしたいところだ。

 

リングを作っていると、いつも思うのだけれど、

デザインは常に、おふたりがともに歩む時間を映し出すように出来上がっていくのかもしれない。

 

いくつかの作業を経て、炎のススや叩き跡の残るリングの表面をざっと綺麗に磨き上げた。

まだまだ作業は始まったばかりだが、シャンパンゴールドのやわらかな色彩が浮かび上がり、心が静かに弾む。

小さなリングに宿る、この躍動のような力強さは、ゴールドならではの魅力であるように思う。

 

おふたりにも手に取っていただきたいなと、ふと海のずっと向こうを想う。

どこかはやる気持ちを抱きつつも、その日の作業を終えることにした。

 

 

日が暮れて、ようやく涼しくなってきたころ。

「たまには少し遠出をしたいね」と妻と話し、島の東側まで車を走らせた。

 

大きな川辺に浮かぶように佇む山々のシルエットは、やっぱりこの夜も美しくて。

本当に何度も、妻と一緒にこの風景を眺めているけど、

ずっと変わらないものを前にして、今という時間への愛おしさがいっそう深く感じられた。

 

島のこの時間にしては珍しく、通りには人も行き交っている。

港のほうからは、濃い潮の香りが漂ってくる。

食堂のあかりに向かって歩いていると、猫が目の前を素早く通り過ぎた。

橋に装われたささやかなイルミネーションに心が躍る。

 

こうして夏の日々は、今年もまた、ゆるやかに、そして印象的に刻まれていくのだった。

 

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海と太陽、シャンパンゴールド。おふたりの結婚指輪作りが始まるとき #屋久島でつくる結婚指輪

夏の太陽が水平線に沈むころ、わたしは島の西側にあるビーチにいた。

日中は外に出るのも憚られるほど強い日差しが降り注いでいたが、この時刻になると、むしろひんやりと感じるほどだった。

 

空が芳醇な色彩に包まれている。

秋が近づいてきているせいだろう。

この季節は、空気中の水蒸気やちりが少なく、透明度が高いため、赤やオレンジ色の光がより鮮やかに見えるのだ。

 

わたしは波打ち際を歩いていたので、光が水面に反射してきらめきが眩しく、思わず目を細めてしまうほどだった。

最初は波の音も騒がしく感じられたが、やがて慣れて、むしろ当たり前のことになっていた。

 

手の中にあるシャンパンゴールドは、夕暮れの光を鏡のように反射させた。

角度を変えると、打ち寄せる波のリズムに呼応するように、ゆらゆらとその輝きをオレンジ色の空気の中に漂わせていた。

 

海のリズムと響き合うシャンパンゴールドの色彩が、その情景に溶けて見える瞬間もあった。

 

海で過ごしたひとときのおかげで、とても自然な心持ちで新しい作業に向かうことができた。

 

   シャンパンゴールドは手の中ではとても硬かったが、炎に包んで焼きなますと、わずかに柔らかくなった。

最初の一歩は、リングの幅となる部分に大きな抑揚をつけていくことだったが、

金槌を片手に、力を込めて角張った棒の両端を叩いていくと、その部分が少しずつ薄く、平らになっていった。

たぶん、その一歩をうまく踏み出すことができたのだと思う。

 

おふたりと一緒にデザインを育んで、もう半年ほどが経った。

思い描いてきたのは、海や波、そして太陽。大好きなリズムを感じるリングだ。

 

屋久島から海を越えて、おふたりは遠くに暮らしているけれど、

ビデオを介して話をしたり、サンプルリングを作ってお送りしたり、そのような調整を繰り返していると、その半年の時間はとても充実したもので、それほど長くは感じられなかった。

 

これまで大切に分かち合ってきたイメージが、今、目の前で、少しずつ形になりつつある。

細やかなタッチを加えるたびに、シャンパンゴールドが新しい表情を見せてくれる。

その変化を静かに眺めているだけで、なんとも言えない満ち足りた気持ちになれた。

 

 

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屋久島に咲いた ひとひらの 花。おふたりに届ける祝福のジュエリー #屋久島でつくる結婚指輪

おふたりが久しぶりにアトリエを訪れてくれたのは、クリスマスにお会いした日から8ヶ月が過ぎた真夏の昼下がりのことでした。

 

「すごく楽しみにしていました!」

彼と彼女が、爽やかな笑顔で言ってくれました。

 

あの日からコツコツと作り進めてきたジュエリーを、手に取っていただける。なんとも幸せなひとときです。

 

菜の花、紫陽花、ツワブキの花

わたしも大好きな屋久島の花をモチーフに、ピアスとネックレス、そしてリングをお仕立てしました。

こうして一緒に並べてみると、小さなお花畑のようで、胸がときめきます。

ゴールドとプラチナ、ダイヤモンドが、やわらかな輝きをまとい、生き生きとした表情を見せてくれました。

 

そのジュエリーがとても素敵に似合っていたおふたり。

きっとそれは、島を大切に想う“響き”のようなもので、わたしとおふたりがやわらかく結ばれているからだと思うのです。

 

冬の寒い頃に始まった指輪作りのなかでツワブキが咲き、春先には菜の花が、やがて雨の季節を迎えると庭先に紫陽花が咲きました。

 

島のリズムの中で育まれた、とてもゆっくりとしたジュエリー作りだったけど、

こうして季節の巡りをおふたりと共にできたのも、かけがえのない時間だったように思います。

 

いつもあたたかく見守ってくださり、ありがとうございました。

 

屋久島で過ごしていると、祝福のような色彩や煌めきに、ふと出会う瞬間があります。

南国の空気の中で生まれた、小さなジュエリーたちです。

その喜びを、おふたりと一緒に分かち合えると、何よりも嬉しく思います。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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雨の香り プラチナとダイヤモンドで紡ぐ、アジサイの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

喜びのとき。屋久島に咲く花をかたどって、ネックレスとピアスを作りました #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島サウスに漂い始めた春の風と、ナノハナの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

静かな響き。小さな月のネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

昼間に眺めた月あかり。

屋久島の海からいただいた夜光貝と、イエローゴールドを組み合わせて、小さなネックレスをお仕立てしました。

 

その穏やかな輝きにふれていると、まるで静かな夜に包まれているような、やさしい気持ちが広がりました。

 

海の月ネックレス 18k yellow gold, island shell

 

ふとしたとき、月の響きに癒される。

もう何十年も眺めているはずなのに、ずっと変わらないのが不思議です。

 

夜光貝の月は、8mmほどの大きさにかたどりました。

とても繊細なスタイルですが、移ろう輝きや豊かな色彩を楽しめるのが、夜光貝の大好きなところです。

 

個体や切り取る場所によっても、大きく印象が変わってくるので、

作っているときは、ずっとドキドキでしたが、

今回も美しい表情に出会えたことが、うれしい。

 

今ここにある、一つだけのジュエリーに仕上がったのだと、しみじみと思います。

 

光の条件や、そのときの心持ちで、見え方や感じ方がいつも新しくなるのは、

あるいは、月も同じなのかもしれません。

 

肌に直接触れる裏側の部分には、イエローゴールドのプレートを合わせました。

そこに細いチェーンを通すように仕上げておりますので、

首元に小さな月が浮かぶような印象を楽しんでいただけたらうれしいです。

 

おふたりにとって、大切な記念のひとときとなりますように。

 

ネックレスは、ケースに大切に収め、リボンを結んで、海の向こうにお送りいたしました。

 

プロポーズのためのジュエリー作りにご一緒できたことは、わたしにとっても、かけがえのない時間でした。

 

満ち欠けのリズムを繰り返しながら、月がやさしい光を足元に投げかける日々は、

まるで、大切な人と過ごす明るいひとときのようでもありますね。

 

昼間も、雨の日も、

このやわらかな光が、そっと包み込んでくれますように。

 

8月末日。まだまだ夏の暑さが続く屋久島のアトリエより。