アトリエの周りに、秋の気配が漂い始めている。
窓から差し込む光のトーンも、どこか優しげで柔らかい。
その久しぶりの感覚が嬉しくて、ブラインドを全開にし、太陽の温もりを体で感じながら作業机に向かっていた。
作業台の上には、この作業のために配合した2本のシャンパンゴールドが並んでいる。
ガスバーナーのコックを開き、その先端にライターで着火させ、大きな炎を灯した。
いよいよ、新しいジュエリー作りが始まる。
そういえば、シャンパンゴールドの眩い色彩は、秋の黄昏色に似ている気がする。
その輝きを前にすると、胸が甘く締め付けられるような感覚に包まれるのは、なぜだろう。
「ひかりの響き」と言い表せば良いだろうか。
それは、島の暮らしの中で馴染み深い情景でもある。
どこか大切な場所のようなものを思い起こさせてくれる、シャンパンゴールドのジュエリー作りに、ずっと夢中になっている。
ここからいよいよ本格的な造形作業に入るわけだけど、リングの内側には、作るべきフォルムをはっきりと眺めることができた。
今日はここまでにしておこう。
香港に暮らすお二人と、これまで時間をかけ丁寧にデザインしてきた指輪作りである。
大切に育むように、制作を進めていかなくてはならない。
緑の中で、リング状に形成したシャンパンゴールドを眺めながら、今まさに野原に咲こうとする美しい花を思い描いていた。
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