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緑の中で眺める光と影の印象 #ピンクゴールド #屋久島でつくる結婚指輪

これは写真を撮影するときの話になるのですが、心情的にとても安定していたり、明るい心持ちの時には、黒を深く、そして力強く描写できるような気がします。

ファインダー越しに、太陽の光が影を力強く際立たせるのを眺めながら、「わたし自身の表現もまた、それと同じようなものなのかもしれない」と妙に納得してしまうのです。

 

もちろん、気分が少し低めの時もあって、そんな時は自然と、ふわりと明るい絵作りになってしまうのですが。

どちらも、なかなか興味深い相互関係であるなと感じています。

 

ちなみに、わたしはいつも昼頃になると、「今日の晩御飯は何を作ろうかなあー」と、いそいそと冷蔵庫をチェックし始めるのですが、妻はどちらかというと、「ああ、そんなことも遠い未来の予定にあったかもね」という風に、いつもおおらかに構えていることが多いような気がします。

パートーナーシップもまた、同じなのかもしれませんね。

 

島に暮らしていると、すぐ近くにある自然の中に、そのような“連鎖”に出会うことが多くあるので、自ずとジュエリー作りにもその感覚が反映されているように思います。

リングの中には明るく世界を照らす光と、どこまでも深くまで潜り込むような影を表現していたい。

 

あと、結婚指輪の面白いところは、何といっても対になっているところ。(当たり前だけど)

大阪では「ニコイチ」という言葉をよく使うのだけど、結婚指輪もまた、補い合い、二つで一つになるように作ることができれば素敵だな、といつも思うのです。

 

そして、全然違っていたはずの二人が、いつの間にか似ているように思えてしまうのも、「ニコイチ」の不思議なのであるのだけど。

 

お二人のリングは、デザインにほんの少しずつ変化を与えながら、それらが繋がり、補い合うように造形を進めています。

同じピンクゴールドという素材だからこそ、細やかな違いや変化がより際立って見えるのかもしれません。

 

いよいよ造形作業がひと段落し、二本のリングを庭先で眺めていると、なぜだか不意にお二人のことを思い出しました。

考えてみると、それはそうなのかも。

お二人と一緒にデザインをし、ここに生まれるリングは、それぞれの心音だったり、お二人の関係を映し出しているのに違いありません。

 

12月の陽光が差し込む庭先で、シダの葉は海風にそよぎ、その影が静かに揺らめいている。

ピンクゴールドのリングが、まるでずっと以前からその情景の一部であったように、静かに輝いている。

それを眺めながら、アトリエでお会いした日のことを懐かしく思い出す。

 

お二人の結婚指輪は、磨き仕上げを施し、いよいよあと少しで完成となるところです。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

屋久島の12月、ピンクゴールドの共鳴 #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島の12月、ピンクゴールドの共鳴 #屋久島でつくる結婚指輪

窓の向こうを眺めると、眩しいほどの青空が広がっていた。

庭先のモンステラは、12月の澄み切った陽光を受けてキラキラと輝いている。

山々の稜線には、モコモコと綿飴みたいな雲が風に乗って通り抜けていくのが見える。

窓を開け放ったアトリエには、涼やかな空気が流れ込んでくる。

山茶花の生垣に鳥たちが集まり鳴いている。

爽やかな1日の始まりだった。

 

渡り鳥も帰ってきたし、もう少しでポンカンの収穫も始まるだろう。

案外、屋久島サウスの12月は忙しい。

ピンクゴールドと鮮やかな色彩に包まれた結婚指輪作りの日々である。

山茶花にメジロ。ピンクゴールドに宿る色彩。シンプルさと調和のデザインについて。 #屋久島でつくる結婚指輪

 

観光シーズンが終わり、お気に入りのカフェやレストランは春まで長いお休みに入ったわけだけど、そのぶん島にはとても静かな雰囲気が漂っていて、しかも窓を開け放っていても大丈夫なくらいに暖かい。

「おーい、ちょっとウチでコーヒーでも飲みに来なよ」と声をかけてくれていた友人たちも旅行に出かけ始める今が、作業に没頭できる季節なのかもしれない。

里に滞在して、遠くに山々を眺めながら、ゆっくり本でも読んで過ごしたいな、というインドア派の皆さまには、11月後半から12月中頃までの旅行をぜひともお勧めしたい。

 

さてさて、今日のアトリエです。

そんなわけで、この頃は作業のタッチが驚くほど早い。

 

いかに手数を少なく目的地まで到達できるか。

それは、職人としてずっと追い求めていることのように思う。

 

ピンクゴールドのリングにざっとマジックでラインを描き、鉄鋼ヤスリ一本を片手に表面を削り落とす。

くるりと一周削り、角度を変えてまた一周。

角を落とすように、何度も同じ作業を繰り返す。

リング左側面から中央までが終わると、次は右側面から中央へ。

左右が対象になるように、ここは休まず一気に進めていきたいところだ。

 

作業の合間に緑を眺めて癒されておく。

 

リングの表面にくるりと一周、緩やかなカーブを描くように削り落とした。

それは、1と0とを分つ境界でもあり、宇宙を漂う星々の軌道でもある。

 

リングには小さな息吹が宿り始めている。

温度を宿した力強さが、暗がりにぽっと灯る明かりのように、リングから手の中へと静かに響いてくるように思えた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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山茶花の咲くアトリエで。お二人と描く結婚指輪のかたち #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島のお住まいのお二人と結婚指輪の相談会。

アトリエでは山茶花が満開です。

彼が紙いっぱいに描いてきてくれた、理想のリングデザインに感動しました!

 

シンプルで特別な、お二人だけのデザインが生まれたように思います。

お二人との素敵な出会いに、ありがとうございます!!

屋久島でつくる結婚指輪

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山茶花にメジロ。ピンクゴールドに宿る色彩。シンプルさと調和のデザインについて。 #屋久島でつくる結婚指輪

アトリエの庭先に、メジロたちが集まってきている。

一年ぶりに眺めるそのフォルムは、コロリとしてなんとも愛らしい。

ほんと、ため息が出るくらいに。

 

作業の合間、山茶花の生垣を素早く行き来する様子を窓際から眺めると、すぐにその気配に気がついて飛び去ってしまう。

しばらく作業に没頭し、「そろそろかな」という頃、またそっと窓の向こうを覗いてみる。

いつもの冬のリズムである。

 

 

お二人と屋久島のアトリエでお会いしたのは、6時を過ぎてもまだまだ明るさが残る、夏の新月の日でした。

お二人と紡ぐ静かなる日々。屋久島の小さなアトリエで、結婚指輪作りが始まりました #屋久島でつくる結婚指輪

 

あれから時が過ぎ、いよいよ結婚指輪作りが始まったのですが、気がつけば、日没がすっかり早くなっています。

山茶花にツワブキ、そして北西の風。

大好きな冬の屋久島を慈しみながら、お二人の結婚指輪を作っています。

ピンクゴールドで綴る光とリズム お二人の結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪 

 

島もずいぶんと寒くなってきたけれど、そういえば、熱いコーヒーがひときわ美味しく感じられるようになった気もする。

分厚いフリースを着込んで、えいっ!と思い切りよく散歩に出かけると、美しく澄み切った景色に出会えたりもする季節だ。

そんな何気ない日常で出会う、さまざまな事象が持つ側面のようなものを、リングにも表現することができれば素敵だろうなと、思いを巡らせながら。

 

さて、今日も作っている。

お二人が選んでくれたピンクゴールドを、リングの形へと少しずつ作り進めていく。

ピンクゴールドは、反発する力が大きい素材なので、バーナーの火を回しながら、ピタリと両端が組み合わさるようにテンションをかけていく。

しかも、より高温での作業が必要になるので、溶けてしまわないよう最大限の注意を払わなければならない。

ピンクゴールドは意外と扱いの難しい素材で、指輪作りはいきなりのクライマックスを迎えたところだ。

 

 

表面をざっと薄く削り落としたところで、ほっと一息。

作業を始めてからずっと黒い幕に覆われていたピンクゴールドに、ここで再び輝きが宿った。

シックであり、雅やかである。

ピンクゴールドが持つ、生の色彩だ。

 

それにしても、結婚指輪を作っていると、ついついこうやって重ね合わせたくなるんですよね。

彼のリングの上に彼女のリングを乗せると、ぴたりと合わさって、なんだかほっこりしたワンシーンでした。

 

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ピンクゴールドで綴る光とリズム お二人の結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪 

 

お二人の結婚指輪作りを始める前、いつものビーチでピンクゴールドを眺めていた。

その二本の細い金属は、夕暮れ時の光を受け柔らかな輝きを放ち、包まれる波の音に溶けていきそうだった。

冬の北風が運ぶ波が浜辺に打ち寄せて砕け、小さな砂粒一つ一つがオレンジ色に輝いている。水面に映る光はゆらめきながら、太陽へと続く一本のラインを描いていた。

 

「さあ、いよいよお二人の結婚指輪作りが始まるのだ。」

静かに胸を高鳴らせながら、わたしは思った。

 

翌朝になると、早い時間から作業机に向かい、炎に包み焼きなましたピンクゴールドを鉄のプレートの上に乗せ、金槌で叩き始めた。

コンコン、コン、とアトリエに響くのは、はるか昔からずっと変わらない、手作業の音だった。

その温もりのある音の一つ一つが、とても心地よく感じられた。

 

1本のピンクゴールドには、太い部分と細い部分が生まれるように、強さと回数に変化をつけながら、何度も同じタッチを繰り返していた。

こうして、小さなタッチが幾重にも積み重なり、一つだけの形が育くまれていく。その時間のすべてが、なんとも愛おしく感じられる。

 

浜辺で感じていた、キラキラと輝く光、そして水の一粒一粒。

世界を包み込んでいた大きなリズム。

光とリズムのイメージが、今この手の中にある。

 

夏の終わりのアトリエで、夕方暗くなるまでお二人と夢中になって語り合っていた日のことを、懐かしく思い出していた。

 

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