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屋久島に満ちる夏、ピンクゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

ひまわりが咲いていた。

海沿いに並ぶ段々畑の片隅で、黄色い光が風に揺られている。

その草むらの中を、夢中になって歩いていた。

 

涼しさが少しずつ混じり始めた夕暮れ時、散歩に出かけ、夏の花を眺めて一日を終えるつもりだった。

ひまわり畑の向こうに広がる屋久島サウスの山々を眺めながら、この日のジュエリー作りの工程を、ふわりと思い返していた。

 

ピンクゴールドで小さな花をふたつ作って、いよいよこれから本格的な造形作業を迎えるときの、緊張感が蘇る。

 

花と組み合わせるリングの素材には、ピンクゴールドの細い線を二本用意した。

その細い線で二個のリングを作り、その後に互いを重ね合わせるように溶接する。

ルーペとピンセットを片手に進める、デリケートで気の抜けない作業だった。

 

ふたつのリングが重なったあと、一箇所を思い切りよくカットする。

一度形成したものへ、あえてマイナスのベクトルを加えるのは、いつもながら、確かな決意のようなものを必要とすることだった。

 

そして、そのリングの両端を、植物の茎のようにくるくると巻いていく。

これには実にたくさんの工具を使用した。

 

タッチを重ねるたび、硬いゴールドが少しずつ有機的な表情を宿していく。

その柔らかな変化を前にすると、あたたかな気持ちに包まれた。

 

これまでお二人と育んできたイメージが、ようやくここに実を結びつつあるのだ。

そう思うと、今この瞬間がよりいっそう愛おしく、貴重なものに感じられた。

 

アトリエまでの帰り道には、西の空に沈む太陽をまぶしく眺めた。

夏の、長い昼が終わりを迎えようとしていた。

風に運ばれて体にまとわりつく潮が心地よく、どこか親しみ深く感じられるのも、この季節ならではの繊細な叙情なのかもしれない。

 

屋久島の季節に包まれ、おふたりとご一緒する指輪作りは、一度しかないのだ。

 

ああ、もう少し夏が続いてくれるといいなあ。

 

水平線に沈みゆく太陽が、水面にオレンジ色の煌めく橋を渡していた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

 

制作編

ピンクゴールドで紡ぐ、小さな癒し。菜の花をかたどって、結婚指輪を作っています。

ピンクゴールドで紡ぐ、小さな癒し。菜の花をかたどって、結婚指輪を作っています。

ピンクゴールドの板を糸鋸で削り出し、小さな花をかたどり始めたのは、次の台風が近づき、島に雨の気配が漂い始めた頃だった。

作業机の上で花のフォルムが少しずつ整えられていくにつれ、胸の奥で小さな弾みが広がっていった。

 

これだ。

どこまでも繊細で、さりげなく。
それでいて、深く内に息づく力強さ。

いつもの暮らしの中で出会う、植物たちの響きだ。

 

モチーフにした菜の花を、実際に手にするように、そっと、やわらかなタッチを重ねていった。

 

 

いつもの散歩道で出会う花々。

何気ない喜びをそっと運んでくれる、夏の顔ぶれ。

朝、ツユクサに出会うと、なんだかいいことありそうな気持ちになる。

 

ランタナは一年中咲いているような気もするけど、

雨の滴を纏ったその佇まいが、好きだ。

 

夏に咲く白い百合。

「今年はたくさん咲きましたね」と、交わす会話も毎年の楽しみかもしれない。

 

繰り返される静かな時間。そこに訪れる小さな変化と。

島の季節が奏でるリズムの中で、お二人の結婚指輪を作っている。

 

ピンクゴールドでかたどったふたつの花を、ガスバーナーの炎に包み、温度を上昇させながら、ひとつにつなぎ合わせていく。

今回のリング作りで、10箇所を超える繋ぎ目の、最初のひとつである。

 

台にした朴炭に火を当て、全体へ均等に熱を巡らせていく。

ピンセットとルーペを使いながら進めていく、とても細やかな作業だ。

 

植物をモチーフにする制作なので、出来るだけ軽やかでさりげない印象に仕上げたい。

同時に、日常の中で安心して身につけられるだけの、確かな強度も持たせなければならない。

手を動かすたびに、心が少しずつ深まっていくのがわかる。

この静けさと、島のリズムに身を任せながら、このリング作りを進めていこう。

 

まだ始まったばかりではあるけれど、

目の前で形を帯びてゆく、硬くて冷たいゴールドの中に、

小さくて、あたたかな癒しのようなものが芽生え始めているのを、たしかに感じていた。

 

 

 

大好きな海。シャンパンゴールドとプラチナで紡ぐ波模様の結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

シャンパンゴールドとプラチナ。

真夏の強い日差し。

おふたりとともにオーダーメイドした、波模様の結婚指輪。

 

屋久島から、おめでとうございます。

全てが波の音に包まれた、やさしいひとときでした。

 

 

海を越えて、アトリエまでお越しいただき、ありがとうございました!

屋久島が紡いでくれた、素敵なご縁に感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとう。大切な 出会いを結ぶ指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島サウスに長く降り続いた雨が上がったのは、ちょうど、おふたりの結婚指輪の造形作業がひと段落したころでした。

プラチナとシャンパンゴールドで紡ぐ夏。お二人と歩んだ、結婚指輪作りの記憶。#屋久島でつくる結婚指輪

 

春から夏へと移りゆく季節をご一緒した結婚指輪作りでしたが、

山々や海、植物たちの表情はいつも新しく、日々の制作を励ましてくれていたように思います。

 

雨が降ったり、強い日差しが降り注いだり。

あるいは、その時のわたしたちの心持ちのようなものも、見える景色を変えているのかもしれません。

 

シャンパンゴールドとプラチナでお作りするお二人のリングもまた、いつも新しく、いきいきとした表情を感じられるように。

指輪作りの憧れは、自然の中に出会う多様な美しさにあったように思うのです。

 

リングは、できる限りシンプルに。

鉄鋼ヤスリと紙やすりを片手に、造形を重ねてゆきました。

昔ながらの、ゆっくりとした手作業です。

 

そうして出来上がったのが、おふたりが大好きな海をモチーフにした結婚指輪です。

リングの表面には、緩やかに波打つラインを施し、お揃いのデザインでお仕立てました。

 

これから長く紡がれてゆくお二人の暮らしの中で、時を重ねるたびに新しくなっていくような、細やかな喜びに満ちたリングであればと願っています。

 

いつものビーチにて。

 

彼のプラチナと、彼女のシャンパンゴールド。

どちらもすっきりと細いシルエットです。

 

真夏の陽光を受けて、その表面にリズミカルな陰影が浮かびます。

この輝きの領域の広さこそ、ゴールドとプラチナが持つ魅力なのでしょう。

 

浜辺に波が打ち寄せるたびに、キラキラと表情を変化させるリング。

つい嬉しくなって、手の中でリングをくるくると遊んでしまいます。

 

波音は不思議なくらい静かに感じられ、

リングもわたしも、全てを優しく包み込んでくれているように感じられました。

全てが受け入れられているような気がして、心癒されました。

 

屋久島から、ご結婚おめでとうございます。

あたたかなひかり溢れる日々を。

 

そうそう、

リングの内側に刻んだおふたりの言葉は、最後までじっくりとこだわってきたところでしたね。

おふたりだけの素敵な仕上がりになって、本当によかったなあと、しみじみと眺めておりました。

 

わたし自身、形を持たない大切な想いに強く突き動かされるような、穏やかで深い制作の日々を過ごしていたように思います。

 

これで指輪作りがひと段落し、わたしたちはまた、それぞれの新しい日々を迎えることになります。

巡りゆく季節のように、ですね。

 

またいつの日か、屋久島にいらしてください。

リングのメンテナンスをしながら、その後のいろいろをお話しできたら嬉しいです。

 

楽しい指輪作りを、ありがとうございました。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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夏のしずく、しずくのしずくネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

夏のしずく

プラチナとダイヤモンドでお仕立てした、小さなネックレス。

雨上がりに咲く白百合のそばで、その静かな輝きを眺めました。

 

しずくのしずくネックレス platinum, diamond

 

プラチナでかたどったしずくの大きさは、約7mm。

花びらの上に、そっと収まるほどの繊細さです。

 

ダイヤモンドは、ちょうど雨粒と同じくらいでしょうか。

2.8mmと大粒のものをセットしてありますので、

その繊細さの中に、どこまでも透明で力強い輝きを感じられました。

 

雨のしずくや、植物たちもそうですが、

小さなものって、本当に愛らしくって、

気がつけば、ついつい魅入ってしまいます。

 

プラチナとダイヤモンドの組み合わせなので、

毎日つけっぱなしできるのも、嬉しいところですよね。

 

昔ながらの手作業で、じっくり丁寧にお仕立ていたしました。

長くご愛用いただけますように。

 

アトリエを包み、激しい雨を降らせたスコールが過ぎ去ると、山々には青空が広がりました。

差し込み始めた夏の陽光を受けて、キラキラと輝きだすしずくの煌めきは、まるでダイヤモンドのようで、

お二人を祝福する、島の贈り物のように感じられました。

 

ネックレスは、大切にケースにお納めして、いよいよこれから海の向こうにお届けいたします。

 

大切なプレゼントにお選びいただき、

心よりありがとうございました!

 

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想いあふれる、三つのリングが出会うとき #屋久島でつくる結婚指輪

今年の春先、屋久島サウスのアトリエでお二人と出会い、

そこからゆっくりと結婚指輪作りを進めてきました。

 

あの日、一緒に思い描いたイメージが、いま、少しずつかたちを帯びてきています。

 

ツワブキの花咲くエンゲージリング。

シダの葉をかたどるマリッジリング。

そして、シダの葉模様を彫り込んだ、もうひとつのマリッジリング。

 

わたしたちが愛してやまない植物をモチーフに、

それぞれに響き合うつながりを持たせながら、

3つのジュエリーを仕立ててまいりました。

 

「メンズリングは、アウトドアでの活動にもフィットするように」

「彼女のリングとモチーフを分かち合おう」

 

新しい始まりを迎え、喜びに包まれるお二人とご一緒するオーダーメイドのひとときは、いつも楽しく、心あたたまるものです。

 

お二人が大切にする想いや暮らしから、ひとつだけのデザインが生まれます。

 

 

出来上がりつつあるリングたちは、どこかお二人の面影を映しているようでもあり、

寄り添いながら、これからの長い日々をともに歩んでいくことでしょう。

 

その歩みの中にある幸せな時間こそが、

ジュエリーとして表現したいものではないだろうか。

 

かたちのない大切な想いから、かたちあるものを作り出してみよう。

そう思って創作に向かい合ってきたのが、この結婚指輪なのです。

 

 

もう少しすると、いよいよこのリングが完成し、

それを合図にするように、お二人の新しい暮らしが始まりを迎えます。

 

少し先の未来を思い描きながら、わたしもその時を心待ちにしています。

 

花が散り、小さな実を結び、やがて果実を育んでいくように。

私たちもまた、新しい始まりを何度も迎えていくのかもしれません。

 

そんなふうにして、自然の一部として軽やかに時を歩んでいけたらいいなと思う、今日この頃です。

 

2025年、夏

 

 

 

制作編

丸くやわらかなスクエアシェイプ #屋久島でつくる結婚指輪

出会い編

大好きな植物でつながる、結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪