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5月のひかり。屋久島からお届けするシルバーの結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

島に、センダンの花が咲く季節です。

5月の結婚式に合わせてご依頼いただいた、オーダーメイドの結婚指輪が完成しました。

 

風に漂う、ほのかに甘い香りの中で、

シルバーが透き通るように輝いていました。

 

結婚式にリングをつけていただけるように、

お二人と、ここまで一緒にオーダーメイドを進めてきたので、喜びもひとしおです。

完成とともに咲いた、この可憐な花が、

まるで島に降り注ぐ祝福のように感じられました。

 

木々の緑が生き生きと茂り、花々が咲き誇る季節に開かれる結婚式は、
きっと、とても素敵だろうなあ。

 

木漏れ日の中で、リングをそっと手に取ってみると、

緩やかにカーブを描くフォルムが、ぴたりと重なり合いました。

 

木々のフィルターを通り抜けて届く陽光を受けて、シルバーが爽やかに輝いています。

 

リングの表面は丸く、手触りはとてもやわらか。

側面には平らな面をしっかりと設け、シャープで、すっきりとした印象に仕立てました。

 

手の中に、どこか懐かしく、親密な響きを感じられるのは、

シルバーが持つ、特有のやさしい質感によるものなのかもしれません。

 

お二人とは、指輪作りの始まりに、一度お電話でお話しすることができたので、

出来上がったシルバーリングの、やさしい雰囲気がとてもお似合いだろうなあと、嬉しくなりました。

 

あるいは、この指輪は、

お二人から伝わってきた、響きのようなものに静かに育まれて、生まれてきたのかもしれません。

 

「これから自然の中で暮らしていこうと考えています」と、お二人が伝えてくれました。

「田舎暮らしでは、手を使う作業が多いので、メンテナンスしやすいデザインにしておきましょう」と、わたし。

 

初めてお話ししたお二人が、なんだかとても近しい仲間のように感じられて、指輪作りのイメージがすっと広がっていったのをよく覚えています。

 

指輪作りが紡いでくれた、素敵な出会いに、ありがとう。

 

屋久島の西側。川沿いにあるお気に入りのセンダンの木の下から、ふと山々を見上げると、

五月の日差しが眩しくて、思わず目を細めました。

新緑の色彩が、心に満ちてきます。

 

ご結婚おめでとうございます!

新しく始まるお二人の時間が、どこまでも自由に紡がれてゆきますように。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

制作編

春の花とシルバーリング。無垢な手触りと宿る強さについて #屋久島でつくる結婚指輪

雨の日に眺めるプラチナリングのきらめき #屋久島でつくる結婚指輪

お二人のプラチナリングの造形作業がひと段落したのは、昼過ぎから降り出した雨が、少しずつ強さを増してきた頃でした。

これは本格的になってきそうだと感じて、その前にリングを手に取り、軒先へ出てみました。

 

宿っては落ちてを繰り返す雨のしずくを眺めていると、不思議と心が落ち着いてきます。

この雨で、植物たちもひとまわり大きく育ったような気がして、ふと足元に目をやると、、、

大好きな白詰草が、ポツリポツリと芽吹いていました。

嬉しくなって、小さな雫を抱いた葉のそばで、そっとリングを手に取ってみると、

雨の薄暗がりの中に、プラチナの静かな輝きを、たしかに感じることができました。

 

彼女の2.3mm幅、彼の2.6mm幅。お揃いのラウンドシェイプで仕立てています。

リングには、このあと光沢仕上げを施すことになっているのですが、

潤う煌めきを宿したプラチナは、あるいは雨の雫のような、光をたたえた揺らぎに似ているのかもしれません。

 

お二人と相談を重ねてきた彫刻模様を施し、そして天然石をセットして生まれる一つだけの表情を思い描くと、胸が高鳴ります。

 

けれども、その美しい指輪については、また別のお話で。

屋久島から大阪に暮らすお二人にお届けするマリッジリングの完成は、もう少し先のお楽しみに。

 

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制作編

雨のち晴れ。今日も少しずつ #屋久島でつくる結婚指輪

雨のち晴れ。今日も少しずつ #屋久島でつくる結婚指輪

雨降りの朝だった。

穏やかに降り注ぐ、春の雨だ。

 

ちょうどこの日は、1日を制作に充てる予定だったから、なんだか嬉しくなった。

屋久島ならではの潤いに包まれる、雨の日の制作がとりわけ好きだ。

 

窓の向こうの緑は、しっとりとその色を深めて、
こぼれ落ちそうなほどの雫を抱いたハイビスカスの赤が、ひときわ鮮やかに浮かび上がっていた。

 

お二人の結婚指輪作りは、プラチナリングの削り出し作業を始めたところまでを書きました。

森の響き。ラウンドシェイプのプラチナリング。#屋久島でつくる結婚指輪

 

シンプルを特別に。

お二人とともに目指してきたのは、快適な付け心地と、そこにそっと宿る装飾の美しさであったように思う。

 

これから毎日をともに過ごす結婚指輪だからこそ、
まるで体の一部のように感じられる、やわらかでフレンドリーな時間をお届けしたい。

 

さて、

シンプルさの中に、自然な質感や手仕事の温もりが感じられる造形とは、いかに。

造形作業がひと段落した彼女のリングを横に置き、彼のリングを削り出す。

表面を、丸く、柔らかく。

二本のリングの呼吸をぴたりと合わせるように、同じフォルムへと整えていく。

 

手の大きさに合わせて、彼のリングは少し幅を広くすることにした。

見た目にはほとんどわからない程度だけれど、ほんの少しだけ厚みも持たせている。

 

今年の始まり、冬のアトリエでお会いしたお二人の印象を思い描きながら、

少しずつ、少しずつ。同じタッチを繰り返していく。

そのようなシンプルな作業を、ただ続けるうちに、心がすーっと平らになっていくのがわかった。

 

リングの内側の造形は、とくに大切にしたいところ。

指にふれる内側にも、鉄鋼ヤスリを入れ、丸く、柔らかな曲面を作り出しておく。

 

気がつけば、山々の上には青空が広がっていた。

窓を開けると、南国特有の湿度がふわりと部屋の中に入り込んでくる。

5月の甘い香りが漂っている。

わたしは、ずっと遠くを眺めながら、大きく深呼吸をする。

なんだか、とても淡々と、

満ち足りた時間が過ぎていくのであった。

 

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大好きな植物でつながる、結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

サンフランシスコからお越しいただいたお二人と。

たくさんの距離を超えて、ついに屋久島でお会いすることができました。

幸せなひとときを、ありがとう!

大好きな植物でつながる、結婚指輪作りの始まりです。

 

お二人とは、お会いする前に、メールをしたり、音声通話をする機会もありました。

その中で、自然や植物への愛情が、お二人からいっぱい伝わってきたのを覚えています。

 

紫陽花、桜、ツワブキ、シダの葉。

彼女が大好きなお花をモチーフにしたリングを揃えて、わたしもワクワクしながらお待ちしていました。

 

漂うスローな島時間の中で、指輪を手に取るひととき。

 

まるで植物のように、静かに佇みながらリングを愛でる彼女。

「素敵だね!」と、歓喜の表現をストレートに伝えてくれる彼。

 

そのバランスというか、お二人の出会いが、とても愛おしく思えました。

 

確かに、指輪は「形あるもの」ではありますが、

その向こう側、と言いましょうか。

空気の中に漂う自然の神秘のようなものを大切に想う気持ちで、お二人とは繋がっているように感じています。

 

「生まれてくるリングが、どのような過程を持って、どのように育まれていくのだろうか?」

「作ったリングを、誰に使っていただけるのか?」

お互いに、それぞれの意思を抱きながら、同じ船に乗り、指輪作りの旅へとオールを漕ぎ出しました。

 

もしかすると、旅の目的地は、完成よりも、もっとずっと先にあるのかもしれません。

時折メンテナンスをしながら、リングを育んでいく、

お二人の暮らしに寄り添いながら、そのような時間をご一緒できることは、私にとって、何よりも幸せなことのように思うのです。

 

実は、この日。島の西側にある滝でお二人と待ち合わせをしていたのですが、

相談会を終えてふと気がつくと、もう日暮れが近づいていて、驚きました。

 

もちろん、お二人が選んでくれたのは、大好きな植物にまつわるデザインです。

予想していなかったチョイスになったのも、とても嬉しい出会いでしたね!

 

日暮れ前、庭先の緑がいっそう深くなり、

少し雨の匂いが漂い始めています。

赤い花びらを閉じ始めるハイビスカスが、1日の終わりを告げていました。

 

偶然のような、必然に導かれるようにして、

わたしたちの指輪作りは進んでゆくのでした。

 

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森の響き。ラウンドシェイプのプラチナリング。#屋久島でつくる結婚指輪

小さな森の中でプラチナリングを眺めるひととき。

杉の葉の新緑が瑞々しい。

穏やかで力強い緑の中に、静かに佇むリングを見つめていると、このプラチナも、同じ大地から生まれてきたのだと、深く腑に落ちる。

まだまだ制作が始まったばかりだけど、この“響き”を大切に、指輪作りを進めていきたい。

 

 

冬のアトリエでは、ご家族とお会いすることができました。

屋久島が紡いでくれた、素敵なご縁に心から感謝しています。

屋久島での出会いと結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

 

この島に確かに漂う、強い磁力のようなものを感じながら、お二人の結婚指輪を作っている。

とても感覚的ではあるけれど、

空気に満ちる響きに癒される気持ちで、きっと、お二人と繋がっているのかもしれない。

森の響き。静かなる躍動。

 

さて、くるりとリング状に形成したプラチナリング。

鉄鋼ヤスリを片手に、その表面を削り出していく。

 

最初は荒い目を使い、大きく一周、もう一周。

そして、目の少し細かいヤスリに持ち替え、同じタッチをさらに何度も繰り返していく。

リング表面にある角を消し、そこに生まれる新たな角をまた削り落とす。

無数の線を繋ぎ合わせ、ひとつの滑らかな曲面を作り出していくような感覚だ。

リングの左右が対象となるようにして、交互に、同じ力を加えながらタッチを進めていく。

 

屋久島でマラソンを走るお二人だから、きっとこれからも、アウトドアでの時間をたくさん重ねていくのだろう。

安心してお使いいただけるよう、しっかりと強度を持たせて仕上げたい。

磨き直しやメンテナンスなどに対応した仕様を目指して、これまでお二人と相談を重ねてきた。

 

思い描いたのは、シンプルなラウンドシェイプのフォルムである。

シンプルだからこそ、オーダーメイドでかたちづくるリングには、きっと、お二人の暮らしが色濃く映し出されるのではないだろうか。

 

小さな森へ続く散歩道。

道端に咲く無数の花々から、ふわりと甘い香りが漂ってきた。

それはどこか、雨の香りにも似た、やわらかく包み込むような。

一年ぶりの懐かしい香り。

歩みを進めるたび、夢の世界へと誘われるような気がした。

 

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