指輪作りの工程が難易度の佳境を迎えたのは、早くも作業が序盤に差し掛かったところだった。
ガスバーナーの炎で包んだ高温の中で、断面を斜めにカットしたゴールドとプラチナを繋ぎ合わせていく。
それぞれ熱の伝わり方が全く違っているので、火の巡りを調整してうまく温度を均一にしなくてはならない。
プラチナとイエローゴールドが徐々に赤みを帯びてくる。
集中が高まる。
あらかじめ計算しておいた寸法にぴたりと合わせたところで、プラチナとゴールドの隙間に流し入れる金属を小さくカットしてピンセットを使って丁寧に添えておいた。
そして最後にバーナーの炎を思い切り大きくして温度を上昇させた。
冬から春へ。沖縄から屋久島へ。
季節の巡りを感じながらお二人の結婚指輪を作っている。
2月ってこんなにも暖かだったかな?と出会う友人と話をするのも毎年のことなのかもしれない。
冬が短い島暮らしである。
屋久島では風の強い日が続いていて、窓の向こうに、散歩道に、気がつけば春の兆しを探している。
二つ金属がぴたりと合わさったのを確かめるように、その表面と側面、内側を全て薄く削り落として綺麗に整えていった。
手の中で少しずつ変化する様子を眺めることができるのは、作り手ならではの喜びだと思う。
まだまだ荒削りではあるけれど、ゴールドとプラチナの生っぽい質感と輝きが胸に響いてきた。
角度を変えて。
ゴールドとプラチナが斜めに重なり合うデザインを気に入ってくれて、お二人からメッセージをいただいたのはまだ暑さも残る秋の始まりのことだった。
最初は小さな雫のようなきっかけだったけれど、あれから3ヶ月ほどが経って、今ここにお二人と一緒にイメージたリングが実際の形になりつつある。
そう考えると、一つ一つのささやかな時間がとても貴重なものに思えてきた。
素敵な出会いにありがとう。
好きなデザインも、お互いに島で暮らしていることも、遠く離れているけれど繋がっている。今だからこそ大切にしたいことがあるように思う。
作業がひと段落して庭先に出てみると、片隅に水仙が花を咲かせているのを見つけました。
これからはどんどん春の花々が庭先に咲き始めてくると思います。
小さな躍動を、息吹を感じながら作りたい!
海と花とジュエリーと、楽しい時間はまだまだ続きます。
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