リングの造形作業もいよいよ終盤へ。
３月の屋久島でお二人とお会いして始まった結婚指輪作りなので、クライマックス感もすごい。
ここまでいっしよに歩んできてくれてありがとう。
ありがとう、おめでとう、
あたたかな言葉に満ちているオーダーメイドの時間はいつも楽しい。
わたしが作る結婚指輪ではあるけれど、お二人からいただいているものがたくさんあるように思う。
作業机に向かっている間には、なんと言ってもアトリエの庭先に白い百合が咲き始めたのが印象深い出来事だったように思う。
まるで屋久島にもたらされた福音を大切に受け取るように、毎朝百合の花を眺めている。
雨が降ったり止んだりのいつもの島時間だ。
力強いライン、光の装飾、無限に重なり合う色彩
自然が織りなす造形にずっと魅せられている。
鉄の台の上で木槌を手にしてコンコンと、繰り返し叩いた。
鉄の芯金だったりプラスティックハンマーだったり、サイズゲージやルーペも、実にさまざまな工具を使って２本のリングにタッチを重ねていくと、やがてそのアウトラインに緩やかなカーブが現れた。
サイズもぴたりとあっている。
デザインの実用的なところと全体が持つ雰囲気に直に働きかける大切な作業がうまくできるとやはり嬉しい。
彼のプラチナと彼女のピンクゴールド、
アウトラインだって実は少しずつ違っているリングである。
けれども、こうして重ね合わせると、なんとも親しみ深く感じられる。
まるで、ずっと前から約束されていたみたいに自然な佇まいに見えた。
リングを綺麗に水で洗い流してから庭先に出てみると雨もすっかり上がって太陽の光が降り注いでいた。夏の訪れをどこかに感じさせる力強い光だった。
お二人の結婚指輪にはこれからさらにオリジナルの装飾を加えてから磨き上げの作業を経て、いよいよ完成を迎えることになるけれど、
この続きままた別のお話で。
お二人のストーリーから生まれる美しいリングご覧いただくのはもう少し先のお楽しみに。
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