雨が激しく降ったり、止んだりを繰り返している。
太陽の光が差し込むタイミングを待って、庭先に急いで駆け出すのは、いつもの島リズムかもしれない。
作りかけのシャンパンゴールドも、雫を帯びたハイビスカスも、キラキラとクリアな輝きをまとていて綺麗だった。
お二人が暮らす宮崎には、島に暮らす前に長く通っていた時期があって、実は思い入れが深い。
見えない糸で紡がれているような、ゆるやかな繋がりを感じながら作業机に向かっている。
フィジカルであってもオンラインであっても、お二人と向かい合ってオーダーメイドをする。
暮らしのことやライフワークのこと、時には出会いのことも話したりして、お二人と屋久島と、そして私とを巡る物語からデザインが生まれてくる。
それはいつも奇跡のようで、野原に咲いた一輪の花のように美しく思う。
一つ一つの全てを丁寧にやりたいし、心を通じ合わせていたい。
あるいは、それは不器用と呼ばれるのかもしれないけれど、今だからこそ大切にしたいことがある。
時は変化を重ねていくのだろうけれど、この先?
きっと30年後だって同じリズムで、ずっと作り続けているように思う。
さて、今日も作っている。
火を入れると柔らかくなり、叩いて圧力をかけると硬くなる。
金属を手にしていると、そこにまるで生き物が携える呼吸のようなものを感じることもある。
リングが柔らかくなったところで、ハンマーで叩いて、そのアウトラインに柔らかなカーブを与えていく。
大きな波。小さな波。
大好きな海で感じているリズムがある。
ちょうど今、リングの内側に刻印する日付と文字をデザインしているところなのだけど、
いよいよお二人の記念日も近くなってきた。
その大切な日にお届けできるように進めていこう。
アトリエでお会いした日が、ほんの少し前のように感じられるくらいに鮮明だけど、
気がつけば、あと少しでお二人とご一緒する指輪作りもゴールを迎えることになる。
そのようにして私たちは始まり続けていくのだなと、しみじみ思いながら、爽やかな5月の青空を眺めていた。
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