5月の始まりは、新緑のみずみずしい香りに包まれながら、大好きな菜の花をモチーフにした指輪を作っている。
庭先には、久しぶりに出会う小花たちが集い、色とりどりの賑わいを見せてくれている。
夜の間にしとしとと降った雨が、朝には柔らかな日差しへと移ろいでいく。
お二人の大切な婚約指輪をお作りするために、まるで用意されていたかのような、屋久島の祝福に満ちた日々だ。
ハイビスカスもユリの花も。紫陽花にツユクサ、ひまわり、コスモス、ツワブキに山茶花、山桜。
名前も知らない花たちにも、たくさん出会える。
そしてもちろん、菜の花も。
季節折々の美しい花々に触れられるのは、島で暮らすことの何よりの喜びだ。
ジュエリー作りの憧れはいつも、庭先にあるように思う。
さて、アトリエでは、イエローゴールドの板を切り抜いて、小さな三つの花をかたどった。
その表面を鉄鋼ヤスリで削り出しながら、輪郭にやわらかな表情を与えていく。
花の大きさは、7mmから5mmほどなので、実際よりも少し小さいくらいだろうか。
風にゆらめく繊細な雰囲気をそのままに、しっかりとした強度も持たせながら、ひとつひとつ丁寧に仕上げていく。
菜の花は、集まるように咲く佇まいが、なんとも愛おしい。
まだ寒さの残る3月の雨上がり。お気に入りの菜の花畑まで出かけると、視界いっぱいに煌めく黄色が広がり、ふわりと心癒される。
その時間のひとひらを、ジュエリーに変えてお届けできればいいと思う。
イエローゴールドでかたどった三つの花には、緩やかなカーブをつけ、紙やすりで丁寧に表面を磨き上げた。
それぞれの花が、指の上にキュッと寄り添うように、リングを仕立て上げてゆく。
春の記憶を辿りながら、一つ一つ、タッチを進めていこう。
これまで何度も作ってきたモチーフではあるけれど、
生まれてくる造形に、お二人との出会いや島の季節が色濃く映し出されるところに、手作業の面白さがあるように思う。
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