プラチナリングの削り出し作業を一通り終えると、酸素トーチの炎で金属を包み、緊張を解いてあげるのだけど、この工程に差し掛かると、「いよいよお二人の指輪作りも後半に入ったのだな」と、いつも感慨深く思う。
リングには、ここからさらに圧力を加え、アウトラインにやわらかなカーブを施していく。
硬い金属に優しい手触りを与えていく。
雨が降ったり晴れたりを繰り返していた指輪作りの日々を、すでに愛おしく思い出しながら。
3月のアトリエでお二人とお会いしてから、ここまで長くご一緒してきた指輪作りだ。
一つひとつのタッチを大切に重ねていこう。
夜の間にまとまって降った雨は、朝には霧雨に変わり、雲の隙間から太陽がのぞいたり隠れたりを繰り返していた。
たくさんの雫をまとった世界は、光であり、同時に影でもある。
そのような、多様な世界観のようなものを表現したくて、このデザインのリングを作り始めたように思う。
やわらかなカーブを描いたリングは、全体のラインをなめらかに繋ぐように、磨きをかけた。
その表情を、朝の陽光の下で眺める。
雲を通り抜けて届いたやわらかな光ではあったけれど、白く抜けるように輝く部分と、深く沈む影になる部分がある。
そのコントラストの強さが、プラチナの美しいところだと思う。
手の中で角度を変えてみると、リングの中を光が巡っていく。
そのきらめきが楽しくて、思わず、くるくると回してしまった。
ここからさらに、特別な磨き仕上げを施して、リングはいよいよ完成となるわけだけど、
それはまた別のお話で。
お二人がデザインした刻印も、とても素敵に仕上がると思うので、どうぞお楽しみに!
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出会い編