今年最初の百合が、アトリエの前の原っぱに、ぽつりと咲いた。
昨日までは、まだ小さな蕾だったはずなのに!
朝の散歩中に訪れた、不意の出会いに、思わず心が弾む。
大きな花が風に揺られているのに、しなやかな強さがあって。
その爽やかな香りと、凛としたフォルムとを備える、美しき調和に癒されつつ。
大切な人に花を贈るように。
彼女が大好きな菜の花をモチーフにして、お二人の婚約指輪をお作りしています。
花をモチーフに指輪を作っていると、
いつもフレッシュな喜びに包まれる。
それはまるで、季節の巡りの中で、新しい花が咲き始める瞬間に出会うときのように。
お二人の始まりを祝福するための指輪作りではあるけれど、
その喜びと幸せの響きに、わたし自身も包まれながら、今日も作業机に向かっている。
イエローゴールドでかたどった3つの花は、指に沿うようカーブをつけながら、リズムよい配置に連ねた。
火を使った作業でできたタッチの跡を、紙ヤスリを使い丁寧に整えたのち、
そのバランスを、緑の中にかざして確かめておく。
自然の中に漂うリズムとバランス。
手の感覚に大きく頼りながら進めるこの作業は、
前半にして、最も大切な工程なのかもしれない。
作業の合間には、気分転換にアトリエから海までドライブをした。
その途中、新緑を抱く山々を眺めながら、思いきり深呼吸。
5月の晴れやかな昼下がりだ。
アトリエに戻ると、花を支えるリング部分の造形に取りかかることにした。
気分も新たになっている。
ここからも細やかな作業が続くことになるけれど、じっくりと丁寧に進めていこう。
ゆっくりと、力強く。
それはまさに、植物たちの時間に重なる感覚なのかもしれない。
作業机の上で、少しずつではあるけれど、
小さな息吹が、たしかに芽生えつつある。
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