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響き合い、ひとつになるプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

ひさしぶりに降り続いた雨の勢いが弱くなってきたところ、傘を片手に、お気に入りの場所まで出かけることにしました。

道沿いに、ぽこぽこと咲き連なるアジサイを眺めるのが、この季節の一番の楽しみになっています。

 

ブルーにグリーン、ときどきピンク。

晴れ続きだったせいか、今年は花の数が少ないようにも感じましたが、

手のひらよりも大きな花房を眺めていると、胸の奥が静かに揺れるような、ときめきを感じました。

今年も会えてよかった。

 

お二人の結婚指輪が完成する頃には、いよいよ島にも、夏の気配が漂い始めているかもしれません。

けれども、あと少し、この雨の時間を楽しみながら。

アトリエでは、彼女のリングに続いて、彼のリングの削り出し作業を終えました。

まだまだ荒削りなプラチナの表面を、紙やすりで磨いていきます。

240番から始め、400番、600番と、少しずつ目を細かくしながら整えます。

ここからは、手の感覚だけを頼りに、リングの中になめらかな流れのようなものを生み出していきます。

 

ひととおり、表面を整えたところで、次は内側です。

ここでもまた、鉄鋼ヤスリを使い、削り出すところから始め、

そこに、ごくなだらかな曲面をつくりました。

こうしておくと、指とプラチナが触れ合う部分に、柔らかく、快適な質感が生まれるのです。

 

この指輪が完成するときは、お二人と指輪にとっての新しい始まりでもありますから、

ずっと長くお使いいただけるように、きちんと仕上げて、送り出したいなと思うのです。

 

ここで、初めて二本のリングが出会います。

窓際でそのシルエットを眺めてみると、差し込むやわらかな光がリングの輪郭をくるりと巡るのがわかりました。

その光は、螺旋を描きながら、二つのリングを繋ぎ合わせているようにも見えました。

 

響き合い、ふたつでひとつになるような。

指輪作りの始まりから、お二人とともに抱いてきた、大切なテーマがありました。

出会うことって、本当に素敵です。

 

 

二本のリングには、これから刻印を施し、いよいよ最後の磨き仕上げ作業へと工程を移してまいります。

気がつけば雨も止み、空が明るくなってきました。

また、暑くなりそうです。

 

ありがとう。

指輪作りにやさしく寄り添っていてくれた屋久島の季節が、静かに巡りゆくのを、愛おしく眺めていました。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

雨の日のジュエリー作り。響きと静寂。プラチナリングに巡る軌道 #屋久島でつくる結婚指輪