
アトリエの庭に、山茶花が咲き始めました。
今年最初の一輪です。
山茶花は庭の生垣になっているのですが、
一面の緑に、ぽつりぽつりと星のように赤い花が浮かび上がるのを見ると、
ああ、冬がそこまで来ているのだなあ、としみじみ思います。
日に日に開花の勢いを増していくのが、山茶花のすごいところで、
ゆっくりとだけど、休むことのないそのリズムに、いつも励まされているように思います。
おふたりの指輪が完成する頃には、きっと満開に近づいていることでしょう。
わたしもしっかりと歩みを進めていかなくては。

タンザナイトを囲む石枠をプラチナで作ったあと、シャンパンゴールドでころりと丸い石枠をひとつ仕立てました。
ローズカットのダイヤモンドを包み込むための石枠です。
その丸い石枠に、透明のダイヤモンドをそっと添えてみると、まるで一滴の雫が宿ったように見えました。
ローズカットに仕立てた石は、どちらも光をそっと受け止め、どこまでも静かに輝いています。
こうして、初めてふたつを揃えて眺めてみると、目の前に小さな小さな花が咲き始めたように感じられて、ぽっとあたたかな喜びに包まれるのです。

さて。
シャンパンゴールドの丸い石枠には、同じくシャンパンゴールドのリングを合わせてお仕立ていたします。
まずはボリュームのあるリングを造形し、金槌で叩きながら、サイズを整えていくところです。
こうして叩きながら仕上げていくことで、ゴールドは組成が引き締まり、きゅっと硬くなっていきます。
コンコンと、シャンパンゴールドの音色がアトリエに響き渡ります。
繊細で、そして丈夫なリングとなるように、
今日も一歩ずつ。
小さなタッチを積み重ねていくのでありました。

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
制作編