
ピンクゴールドとプラチナの煌めき。
夕暮れ時の浜辺で眺めた、おふたりの結婚指輪。
ひかりが重なり、どこまでも紡がれていくような、永遠を感じるひとときでした。
おふたりがアトリエを訪ねてくれたのは、
空がどこまでも澄み渡る、気持ちの良い夏の昼下がりのことでした。
夏の余韻。
プラチナとピンクゴールドの輝きを育むように、ひとつひとつ造形を重ねた日々。
屋久島よりもずっと南にある、小さな島で出会ったおふたり。
海に囲まれた暮らしの中で、きっとわたしとも似たような時間を過ごされてきたのかもしれません。
潮風や波の音、そして眩しいほどの南国の光に包まれながら、
肩を並べて歩くようなぬくもりの中で、おふたりの結婚指輪をお作りすることができました。

波打ち際から少し離れた砂浜で、そっとリングを重ね合わせてみる。
光沢仕上げを施したプラチナとピンクゴールドが、
オレンジ色に染まる陽光に包まれ、穏やかな輝きを纏っています。
波打つようなカーブに仕立てたお揃いのフォルムは、どこまでもやわらかい。
そのふたつが調和し、ひとつの新しいリズムを奏でているように見えるのは、
それぞれの個性が、そっと補い合っているからなのかもしれません。

彼のプラチナリングには、三日月型の斜面を二箇所つくり、そこをマットな質感に整えました。
彼女のピンクゴールドは、鏡のように光沢のある表情に。
その表面には、波のようなラインが一周巡っていたり、
リング幅に強弱があったりと、リズミカルで楽しい。
不思議なもので、おふたりと言葉を交わしていると、
まるでそこに花が咲くように、ぱっとデザインが生まれる瞬間があります。
おふたりとの結婚指輪づくりにも、そのような奇跡があったように思うのです。
何かの誕生を分かち合うことができるオーダーメイドは、いつも幸せに満ちています。
その喜びを大切に育むように、昔ながらの手作業で、じっくりと丁寧に仕上げました。

砂浜から伝わる重たい冷たさと、暗がりの空に生まれる力強い光のコントラストが、
島に新しい季節の訪れを告げています。

見えない部分ではあるけれど、自分自身に響くところを大切にしたい。
内側のデザインには、心を込めました。
ある小さな島のシルエットと、一粒のブルーダイヤモンド、そして日付を刻む印。
このとてもシンプルで印象的なデザインには、
いったいどれだけの時間が詰まっているのだろう。
そう想いを巡らせると、果てしない気持ちに包まれます。
きっと、ここには、おふたりが忘れることのないシーンが、ひかりのように満ちている。
出会うことって本当に素敵です。
たしかに、わたしの手でお作りする結婚指輪ではあるけれど、
おふたりとご一緒した日々から、インスパイアされることがたくさんあったように思うのです。

オレンジ色に染まる水平線にかざしてみる。
打ち寄せる波の音と、夕暮れ時の冷たい風に、
ピンクゴールドとプラチナが溶けていきそうに感じられました。
おめでとう、ありがとう。
ただただ、シンプルな言葉が浮かんできました。
長くご一緒した指輪作りは、これでひと段落となりましたが、
おふたりにとっては、これが始まりの合図でもありますね。
季節が豊かな彩りをまといながら巡りゆくように、
わたしたちもまた、新しい始まりを繰り返しながら、長い日々を過ごしてゆくのかもしれません。
この二本のリングが、おふたりの暮らしに、やさしく寄り添ってくれますように。
屋久島サウス、いつものビーチにて。
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