台風1号が島に近づいてきた日。まるで夏がやってきたような晴れやかさ。
暮らしの中に出会う何気ない喜びにありがとう。
夜明け前の海に出かけたり、ふと見上げた月が綺麗だったり、仲間と波を分かち合ったり。
台風1号が島に近づいてきた日。まるで夏がやってきたような晴れやかさ。
暮らしの中に出会う何気ない喜びにありがとう。
夜明け前の海に出かけたり、ふと見上げた月が綺麗だったり、仲間と波を分かち合ったり。
シャンパンゴールドを夜明けの光の中に眺める。
透明な色彩と質量、そして海のリズム
そこには形のあるものと、形を持たなものが、同時にあるように感じられた。
お二人の結婚指輪の造形作業がひと段落したのは、激しく降った雨がぴたりと止んだ日のことだった。
久しぶりにいつものビーチまで足を伸ばすこともできた。
とても冷たく感じた波打ち際の印象とともに。
4月のアトリエでお二人にお会いして始まった結婚指輪作りも、いよいよ刻印作業残すところとなりました。
リング内側に施す刻印は、普段見えないところではあるけれど、内側に響く大切なところだと思うので、ここは素敵に仕上げておきたいところです。
けれども、それはまた別のお話で。
お二人だけのオリジナルリングのご紹介は、もう少し先のお楽しみに。
ほんと、最後までずっと一緒に歩んできた指輪作りだったなあ、とこれまでの道のりを愛おしく振り返りながら。
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相談会編
制作編
雨が激しく降ったり、止んだりを繰り返している。
太陽の光が差し込むタイミングを待って、庭先に急いで駆け出すのは、いつもの島リズムかもしれない。
作りかけのシャンパンゴールドも、雫を帯びたハイビスカスも、キラキラとクリアな輝きをまとていて綺麗だった。
お二人が暮らす宮崎には、島に暮らす前に長く通っていた時期があって、実は思い入れが深い。
見えない糸で紡がれているような、ゆるやかな繋がりを感じながら作業机に向かっている。
フィジカルであってもオンラインであっても、お二人と向かい合ってオーダーメイドをする。
暮らしのことやライフワークのこと、時には出会いのことも話したりして、お二人と屋久島と、そして私とを巡る物語からデザインが生まれてくる。
それはいつも奇跡のようで、野原に咲いた一輪の花のように美しく思う。
一つ一つの全てを丁寧にやりたいし、心を通じ合わせていたい。
あるいは、それは不器用と呼ばれるのかもしれないけれど、今だからこそ大切にしたいことがある。
時は変化を重ねていくのだろうけれど、この先?
きっと30年後だって同じリズムで、ずっと作り続けているように思う。
さて、今日も作っている。
火を入れると柔らかくなり、叩いて圧力をかけると硬くなる。
金属を手にしていると、そこにまるで生き物が携える呼吸のようなものを感じることもある。
リングが柔らかくなったところで、ハンマーで叩いて、そのアウトラインに柔らかなカーブを与えていく。
大きな波。小さな波。
大好きな海で感じているリズムがある。
ちょうど今、リングの内側に刻印する日付と文字をデザインしているところなのだけど、
いよいよお二人の記念日も近くなってきた。
その大切な日にお届けできるように進めていこう。
アトリエでお会いした日が、ほんの少し前のように感じられるくらいに鮮明だけど、
気がつけば、あと少しでお二人とご一緒する指輪作りもゴールを迎えることになる。
そのようにして私たちは始まり続けていくのだなと、しみじみ思いながら、爽やかな5月の青空を眺めていた。
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屋久島の雨とシャンパンゴールドの日々。
いつもながらの個人的な梅雨入り宣言だけど、
屋久島に訪れた雨期の始まりは、しとしと雨音に包まれながら、宮崎に暮らすお二人の結婚指輪を作っている。
ここのところ楽しくて作っている短い動画。
雨の情景とジュエリーと。
島のリズムが響いてくると思います。
丸く柔らかなラインを生み出す造形作業は、仏像などの木彫に似ているかもしれない。
角張った金属の中に、お二人と一緒にイメージしたリングのフォルムを配置する。
鉄鋼ヤスリを片手に持って、心を静かにして、そのリングの造形を取り出してゆく。
最初は大きく、ガリガリと、思い切り良く削り出していく。
シャンパンゴールドの破片はたくさん散らばり、切削面が艶かしい光沢を見せる。
ヤスリを少し細かい番手のものに持ち替えて、ぐるりと一周、角を落とす。
そしてもう一周。平面を分割し、たくさんの平面を重ね合わせていく。
何度も同じリズムを繰り返すと、やがてリングの表面から直線が消えてなくなり、つるりとした曲面が現れた。
リングの表面はなだらかにカーブを描いている。
側面にはしっかりとした面積の平面を残した。
リング幅は1.8mmと細身ではあるけれど、そこにはしっかりとした重みを感じることができる。
ゴールドならではの確かな手触りである。
それでもまだ、出来上がりのイメージはシャンパンゴールドの中に埋まっている状態で、そこにとどりつくまで、まだもう少しタッチを積み重ねなくてはならない。
実のところ、造形作業が完了した時が、お二人とリングにとってはスタート地点であったりする。
お二人は自然に近い暮らしをしていて、わたしもそうだけど、何かと手作業の多い日々である。
出来上がるリングに、お二人の時間が積み重なっていくように、
暮らしの中で、小さな傷や細やかな歪みが装飾になればいいと思う。
そうするとリングは常に新しい表情を見せてくれるだろう。
また強くなりつつある雨音の中、どのようにして“始まり”を生み出せばいのだろうかと考えていた。
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制作編
今日もまた明るい雨が降っている。
しとしと雨音に包まれるのが心地よくて、アトリエにこもって作業を続けていた。
島の暮らしで素敵なシーンはたくさんあるけれど、
雨とジュエリーと
この時間が一番好きかもしれない。
炎で包んで焼きなましたシャンパンゴールドを打ち付ける金槌の音が、
コンコン、コンと部屋の中に鳴り響く。
さっき作ったコーヒーはまだ熱い。
なかなか悪くない1日の始まりだった。
彼女とは実は、島に暮らし始めてすぐにお会いしていたりした。
屋久島で繋がる結婚指輪作り。
大好きなシャンパンゴールドに癒されながら。
森や海が好きで、雨も好き。
指輪作りは、あるいは数ヶ月の短い期間かもしれないけれど、
屋久島での出会いはいつも強い結びつきのようなものを感じさせてくれる。
偶然のような必然、とでも言うのだろうか、
そのような中で生まれるデザインは不思議なもので、
これで間違いないのだ、と強く信じることができるような気がする。
宮崎に暮らすお二人と一緒に思い描いたのは、大好きな海のイメージだ。
大きなうねり、小さなうねり。水平線に広がる色彩のグラデーション。浜辺に打ち寄せ、砕ける波の音。
いつも体全体で感じている情景を、シャンパンゴールドで紡いでいく。
くるりとするその前に、彼女のリングに太い部分と細い部分をあらかじめ作っておいた。
こうしておくと、リングにより繊細な表情を与えることができる。
お二人とも細身のスタイルではあるけれど、
彼のリングは均一幅のまま、しっかりと丈夫に形作っていく。
少しずつお互いに変化を持たせながらも、そこに確かな繋がりを生み出していく作業は、
オーダーメイドならではの喜びなのかもしれない。
雨脚が弱くなったところで、庭に出て緑を眺めておく。
今日も屋久島にありがとう。
2本のリングは鉄の芯金に当てながら、完璧な円となるまで木槌で叩いた。
出来上がりの際に、目的のサイズにぴたりと着地できるよう、今の段階から狙いを付けておかなければならない。
そして、1日の終わりには、大まかではあるけれど、その造形を端正に整えることができた。
酸化膜で黒く覆われていた表面は綺麗に磨き落とされ、シャンパンゴールドの色彩が表れている。
「なんとも趣深い黄金色であるな」と、いつもながら自然の作り出す奇跡に感嘆を漏らしてしまう。
窓の向こうを眺めると、いつもの屋久島の情景があった。
このシャンパンゴールドも、元々は山々や雨と同じところに生まれたものなのだ、ということが腑に落ちてきた。
それは、とてもスムーズで自然な感覚だったように思う。
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