これから新しい時間が始まる、真っ白な朝。アトリエの庭先で包まれる平たい心地と、お二人の結婚指輪作りが始まる胸の高まりと。
カメラのファインダー越しに早朝の屋久島を眺めてからから簡単な朝食を食べる、そしてコーヒーを作って作業机に向かう。窓から差し込む光が眩しい。いつもの何気ない時間だけれど、これ以上ない幸せだとも思う。
まだ1ヶ月ほど前のことだったんだ!と驚く。8月の初めにアトリエに来てくれたお二人の結婚指輪を作りが始まった。
さて、まずは最初の第一歩を。
まずはプラチナの薄い板を糸鋸でカットして。
若葉のような、花びらのような。お二人とは植物を大切にしたい気持ちで繋がっているような気がする。
「指輪は特別なときにつけることになりそうなので、せっかくなので大好きな百合の花をかたどったデザインにしたいと思って」と彼女。
「それはすごいタイミングです、ほら、ちょうど島では夏の百合が満開です!」テンション高く答えるオレ。
お互いのひらめきを紡ぎ合わせながら進むオーダーメイドの作業はいつも楽しい。
ほんのひと時だったように覚えている、でもとても濃密だった夏のひと時を思い出しながら。
プラチナには酸素トーチで火を入れて柔らかにした。こうすると叩いたり伸ばしたりの造形を加えやすくなる。叩くとグッと固くなるのが金属の特性で、そこにまた火を入れて柔らかにするリズム。こんこんこん、と昔ながらの手作業なのである。
それにしても自然の作り出すラインの美しさときたら!
お花のリングは繊細さととともに、日々の暮らしの中でたくさんお使いいただけるよう丈夫な作りであることが大切になってくる。
植物たちが持つしなやかさと力強さ、ここにどれだけ近づくことができるだろうか。ジュエリーを作り始めた時から今までずっと、その気持ちは変わっていない。
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