夜明けの時刻に目を覚ました。
外はまだ薄暗い。
早く起きることができたのが嬉しくて、2階まで急いで階段を登り、窓の向こうの山々を眺めた。
神話の世界みたいに巨大な入道雲が、一日の始まりを告げる光を受けてオレンジ色に焼けて見える。
なんとも爽快な夏の朝だった。
たしかに、驚くほどに暑いこの頃ではあるけれど、
なぜだろう、夏の光にはどこか勇気付けられるような力があるように思う。
庭先では、夜の間に降った雨の雫を抱いた植物たちが、まるでダイヤモンドの装飾を纏っているように、強く輝いていた。
さて、
アトリエでは、プロポーズの日に向けて、ピンクゴールドとプラチナのリングを作っている。
細い線だったプラチナとピンクゴールドは、ローラーで圧縮し、薄く板状のフォルムに整えた。
細やかな調整を重ねる下拵え的な作業が終わり、
ここからは一気に造形作業を進めていく。
細い線に捻りを加えながら、くるりとリング状に形成する。
このシンプルな所作を、出来る限り無駄なタッチを省略して、ワンアクションで完結させていく。
まずはサイズの大きい方のプラチナをリングにして、その次に素材を変え、ピンクゴールドにも全く同じ所作を加える。
サイズと素材が異なりながらも双子のようなフォルムが生まれる。
そして、もう1本のプラチナには、少し違ったアクションを加え、アルペジオみたいに同調と変化を持たせながら仕上げていく。
同調と変化。繋がりと永遠について。
ここで一休みをして、窓際の光でアウトラインをチェックした。
とても繊細なリングではあるけれど、プラチナとゴールドの輝きに癒される瞬間。
スムーズなラインを作ることができたように思う。
それにしても、指輪が形になるにつれて、お二人の大切な日が近づいてくる制作は、幸せ感がすごい。
新しい一歩を踏み出すお二人とご一緒するジュエリー作りはいつも希望に溢れている。
お二人からも、島からも、本当にたくさんの豊かさをいただきながら、今日も作業机に向かっている。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547