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シロツメクサ、サクラにメジロ、波と風にまつわるプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

庭先にポコポコと芽吹き始めた春を眺めながら、東京に暮らすお二人に届ける結婚指輪を作っている。

屋久島らしい柔らかな雨と、体を包み込むような湿度も、どこか少し懐かしくて、心地よい。

 

 

お二人とは遠く離れているけれど、大切に思う何かを共有していると思うと、不思議と心強い。

ここに確かにあるつながりを感じながら。

海とジュエリー 小さな島の結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

海に囲まれた小さな島に暮らしていると、自然が織りなすリズムがあることに気づく。 それらは響き合い、重なり合いながら、あらゆる事象を生み出している。

時とともに姿を変える力が、小さなリングに響くように、ひとつひとつタッチを重ねていく。

くるりとリング状にし、お二人のサイズに調整したプラチナを、酸素トーチの炎にあてながら、その両端を繋ぎ合わせた。

約1500度まで温度を上げ、繋ぎ目の隙間に融点の低いプラチナを溶かして流し込む。

温度が低いとうまく流れないし、逆に上げすぎて周囲まで溶かしてしまわないよう、細心の注意を払わなくてはならない。

シックな作業ではあるが、前半のクライマックスともいえる場面だ。

 

うまく作業を終えることができ、ほっと一息。

料理で言うところの下拵えが完了し、これからいよいよ本格的な造形作業を迎えることになる。

 

お二人から初めてメールをいただいたのは、去年の冬が始まる頃だった。

「ダイビングが趣味ということもあり、島が大好きで」と綴られた言葉に、まるで仲間ができたみたいな嬉しさを感じたのを、今でもよく覚えている。

 

これからリングに施すのは、わたしたちが大好きな海からインスピレーションを得た、波や風にまつわるデザインだ。

 

作業の手を止めて、庭先を眺める。

遅咲きのヒカンザクラにメジロが集まり、夢中になって何かをついばんでいる。

南からのうねりだろうか、遠くから波の音が聞こえてくる。

そんな様子をぼんやりと眺めながら、わたしはミルクを温め、コーヒー豆をミルでガリガリと挽いている。

ぽつり、ぽつり。また雨が降り出したようだ。

そして、作ったカフェオレを手に取り、作業机に戻る。

このようにして、島の1日は静かに過ぎていくのである。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

海とジュエリー 小さな島の結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

春の温かな風が吹き始めている。

体も自然と軽やかになり、嬉しいことに、日没まで時間もずいぶんと長い。

新しい制作が始まる日の夕暮れ時。島の西側にある珊瑚礁の浜辺まで車を走らせ、これからお二人の結婚指輪へと形を変えてゆくプラチナを、移ろう色彩の中で眺めていた。

 

やがて、太陽が水平線の近くまで降りてくると、海の上に光の道が伸びた。

ふわりと霞がかったオレンジ色の世界が、新しい季節の訪れを静かに伝えていた。

 

海から昇る太陽を眺めることも、海へ沈む太陽を見送ることもできる。

それは、小さくて丸い島での暮らしならではの喜びかもしれない。

 

アトリエにいても、散歩をしていても、いつもどこかから潮騒が聞こえてくる。

海のある暮らしには、わたしはずいぶん長いこと憧れてきたように思う。

 

島の日々の中に巡り、響きあう波のリズムを感じながら、ジュエリーを作りたかった。

 

アトリエに戻り、作業机まで直行する。

窓の向こうは、まだ薄明るい。

潮の余韻が、まだ体に残っている。

 

この何気ない癒しを、海が大好きなお二人と分かち合うことができるのが何よりも嬉しい。

ふと、そう思った。

 

細いプラチナを酸素トーチの炎に包み、緊張を解くように柔らかくしてから、くるりと丸くする。

その両端を、お二人のサイズに合わせて糸鋸でガリガリと切り落としていく。

まずは、最初の一歩だ。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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屋久島サウスに漂い始めた春の風と、ナノハナの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

ナノハナの指輪 18k yellow gold, diamond

 

出来上がったリングを持って、お気に入りの菜の花畑に出かけました。

屋久島サウスに漂い始めた春の風と、ナノハナの指輪。

 

ちょうど菜の花が満開を迎えていたのも、素敵なタイミングでした。

ゆらゆらと揺られ、黄色い光ように煌めく花々。

ミツバチたちも集まってきて、

まるでこの指輪の完成を祝福しているかのようでした。

 

菜の花畑に佇んでリングを眺める喜び。

陽光を受けて輝くゴールドとダイヤモンドが、

柔らかな春の香りと響き合うようで、胸がいっぱいになりました。

 

あれだけ寒かった日々が夢のように感じられるほど、

ふわりとした陽気に包まれ、

島は、いよいよ新緑の季節を迎えようとしています。

 

お二人がアトリエにお越しになる頃には、

きっと白い百合も咲き始めていることでしょう。

清々しい雨の中で紫陽花の葉が大きく育ち、

山々も、海も、生き生きとした表情を見せる季節です。

 

このジュエリーづくりがきっかけに、

大好きな屋久島の時間をお二人と分かち合えることが、

何よりも嬉しく思います。

島が紡いでくれた素敵な出会いに、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

お二人とのジュエリー作りが始まったのは、去年のクリスマスイブのことでした。

あれからツワブキが咲き、菜の花へ、

季節の移ろいに寄り添いながら、作業机に向かってきました。

そして今、もう一つ楽しみにしている指輪作りがあるのです。

 

大好きな花の季節の訪れを思い描き、胸を高鳴らせながら。

 

楽しい日々は、もう少し続くのでありました。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

静かな雨。シンプルな日々の手仕事。#菜の花の指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

2.3mm and 1.2mm Platinum Rings with Mill-Grain Texture #屋久島でつくる結婚指輪

material: platinum

size: 1.2mm and 2.3mm

Delivery time is within 3 months.
Make by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約3ヶ月。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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雨の記憶と結婚指輪。屋久島で生まれるミルグレイン・プラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪