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秋の屋久島、シャンパンゴールドの結婚指輪をつくる #屋久島でつくる結婚指輪

夜の間にしとしと雨が降り、朝靄のかかる日が続いている。

湿度を帯びた白いベールは山々の合間を足早に駆け抜けていく。その変化する表情がなんとも情緒深い。

早朝の美しさに気づいたのは、この島に暮らし始めてからなのかもしれない。

 

 

28年前、お二人は新婚旅行で屋久島を訪れました。

素敵なご縁に紡がれる結婚指輪づくり。

時を超えるお二人の物語。屋久島が紡ぐ結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

島で眺める山々はずっと変わらないはずなのに、いつも新しく感じられるのが、とても面白い。

山々の合間を通り過ぎる霧のように、それを見つめる自分自身の心も、いつも足速な変化を続けている。

変わらないものがそこにあるからこそ、内側にある変化に気がつくことができるのかもしれない。

 

28年の時がもたらす、変わるもの、そして変わらずそこにあるもの。

お二人の物語に想いを巡らせながら、今日も作業机に向かっている。

くるりとリング状に巻いたシャンパンゴールドをバーナーの炎に包み、およそ900度まで温度を上昇させ、その両端をつなぎ合わせる。

温度が高くなりすぎるとゴールドが溶けてしまうし、低すぎると接合が甘くなる。

とてもシンプルではあるけれど、火を扱うタイミングが重要な作業だ。

 

こうして金属と対峙していると、時折、それらがまるで呼吸をしているように思えることがある。

硬いはずなのに柔らかで、静物であるのに、そこに力強い動きを感じずにはいられない。

 

 

リングになったシャンパンゴールドは、そのバランスを整え、強度を高くする。

 

そう考えてみると、ある意味でリングもまた、屋久島の山々と同じように、“変わらないもの”の一つであるのかもしれない。

大切な記憶は時と共に育まれていく。

お二人の暮らしに長く寄り添う結婚指輪だ。しっかりと丈夫に作り上げていかなくてはならない。

 

1日の終わりに、ガラス製のシャーレの中に収めたリングを眺めてみる。

金属片が散らばり、いくつかのタッチを加えた痕跡が残っている。

ほんの少しずつではあるけれど、小さな息吹がそこに宿り始めているのを感じ取ることができた。

 

島でつくる結婚指輪

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時を超えるお二人の物語。屋久島が紡ぐ結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

2024年10月半ば、屋久島サウス。

近所の散歩道にサキシマフヨウがぽつぽつと花を咲かせ、雨上がりの雫をきらめかせながら風に揺れている。

薄ピンク色の花びら、青く濃い空、まだまだ眩しい陽射し。

背丈よりも少し高い木を見上げながら、一年ぶりに再開した色彩に目を奪われていた。

 

そして、その開花を合図とするように、海の向こうに暮らすお二人の結婚指輪作りを始めることにした。

変わることのない島のリズムに、いつまでも新しい刺激を受けながら、フレッシュな気持ちで作業机に向かっている。

 

さて、まずは最初の第一歩。

 

お二人が選んでくれたシャンパンゴールドを金槌で叩き、太い部分と細い部分、微妙な抑揚を与えていく。

凸凹になった表面をヤスリで削り、平らに整える。

これは、造形作業における下ごしらえのようなパートなのだけれど、こうした地道な準備が、後々の仕上がりに響く、とても大切な工程だったりする。

 

作業台に散らばったシャンパンゴールドの細やかな破片がデスクライトの光を受けて煌めいている。

その輝きが、すっと胸の奥まで響いてきた。

 

それにしても、シャンパンゴールドの輝きは、芳醇な秋の色彩を纏う光に似ているように思う。

 

ここ屋久島は、28年前、お二人が新婚旅行で訪れた場所である。

そして今、新しく結婚指輪をお作りする機会をいただき、作業机に向かっている。

 

28年前の島は、きっと訪れることも簡単ではなかったに違いない。

この島には、訪れるべき人を引き寄せる強い磁力のようなものがあるように思う。

 

この素晴らしいご縁に恵まれ、感謝の気持ちに包まれながら。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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屋久島の時間から生まれる、お二人だけの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

夜はほんのりと涼しさを感じ、日中は暖かな陽射しが続いている。

そのような季節は、空が澄み渡り、星々がとてもクリアに輝く。

 

山の谷間を抜け、海へと向かって吹き抜ける風が、波を端正に整える。

その風に導かれるように、夜明けのノースへと通い続けていた。

 

海辺に佇んでいるとずいぶん風が冷たく感じられるのだけど、海に入ってみると、思いのほか海水温は高く、暑いくらいなのに驚いた。

夜明けの時刻は、5:45くらい。

1時間ほど体を動かしてから作業を始めることができるのも、屋久島での暮らしの好きなところかもしれない。

 

さて、いよいよお二人の結婚指輪作りも終盤に差し掛かっている。

リング状につなぎ合わせたプラチナとゴールドは、薬液に浸けて表面に付着した酸化膜を丁寧に洗い流した。

 

この作業が終わると、あとは磨き仕上げを残すところとなる。けれども、完成してからが本当の始まりなのだと考えると、一つ一つのタッチが一層大切に思えてくる。

 

これから先、何十年もご愛用いただくリングだ。

じっくりと丁寧に仕上げていきたい。

 

お二人と打ち合わせを重ねて決めたサイズにぴたりと合わせ、リングのフォルムをチェックしておく。

1本の硬くて細いイエローゴールドに、柔らかな表情を与えることができたように思う。

 

繊細なシルエットは波のようにうねり、夜明けに眺めた雲のように軽やかに見える。

島の時間から生まれたリングなのだと、しみじみと思う。

 

この柔らかで、力強い癒しのようなものを、お二人とも分かち合うことができれば、何よりも嬉しい。

 

うん、明日もきっと良くなる。

お二人が歩む未来を何気なく思い描き、温かな気持ちに包まれていた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

滑らかな流れ、循環とリズム、ハーモニー #屋久島でつくる結婚指輪

 

滑らかな流れ、循環とリズム、ハーモニー #屋久島でつくる結婚指輪

ローラーで薄く圧縮したプラチナとイエローゴールドを捻りながらリングに仕立てると、リボンのように軽やかなフォルムが生まれた。

繊細なフォルムでありながら、実際には思っている以上にしっかりとした硬さがある。

金属の中に柔らかな表情を求めるのは、工芸家にとって永遠のテーマかもしれない。

 

 

冷たい空気と新しい花。

島に漂い始めた秋の気配を愛おしみながら、お二人の結婚指輪を作っています。

自然と暮らし、共鳴する結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

柔らかさといえば、屋久島の暮らしの中に眺める情景にはいつも癒されている。

そこにはいつも優しいだけではなく、強さや、しなやかさ、堅固な質感が共存していて、その神々しくさえある調和が、ジュエリーづくりの教科書のようになっている。

たしかに、スマホの中に、たくさんの情報やスキルが詰まっているけれど、本当に大切なことを手にいれようとするときは、いつもここに戻ってくるような気がする。

 

 

滑らかな流れ、循環とリズム、ハーモニー

 

さて、今日も少しずつ。

 

まずは、プラチナリングを酸素トーチの炎に包み、約1000度まで温度を上昇させリングの端同士をつなぎ合わせた。

金属自体が生み出すラインを生かすことができるように、出来るだけタッチを少なく、慎重に作業を進めていかなくてはならない。

 

火を扱う作業は深い集中を要するけれど、その心安らかで静かな集中が、とても好きだ。

 

県道沿いのいつもの場所に、コスモスが咲き始めていたので、思わず車を止めてしまいました。

もうそんな季節がやってきました。

最近は、カボチャの煮付けが美味しく、きんぴらごぼうも作りました。お隣さんからは、りんごもお裾分けをいただきました。

 

今年も、あと2ヶ月半ほどって!なんだか信じられないけど。

まあ、急がず、じっくりまいりましょう。

皆さま、どうぞ素敵な週末を。美味しい秋の日々を。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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