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月と星の結婚指輪、ふたりを結ぶプラチナリングの物語 #屋久島でつくる結婚指輪

プラチナリングに浮かぶ三日月と星。

咲き始めた河津桜の薄紅色に包まれて、夢のようでした。

 

お二人の結婚指輪が完成したのは、アトリエの近くで今年最初の河津桜が咲き始めた時でした。

いつもの散歩道。まだ冷たい風の中、ゆらめく桜の花びらを見上げると、喜びに包まれました。

その儚い美しさに永遠を想い、癒されました。

 

桜の下に佇んで、二つのリングをそっと重ね合わせてみる。

降り注ぐ陽光を受けて、プラチナが眩く輝いています。

 

リング幅は3mmと4mm

シンプルなスクエアシェイプのデザインです。

表面に削り出した三日月の模様が響き合い、二つのリングをひとつに繋ぎ合わせています。

 

その月に寄り添う星のように、一粒のダイヤモンドをセットすると、

小さな二本のリングの中に、たったひとつの時間が宿ったように感じられました。

それは、お二人の物語に紡がれた時間なのかもしれません。

 

見えないところではあるけれど、心に響く内側のデザインは大切にしました。

 

思えば、お二人とご一緒したオーダーメイドの日々も、今となってはかけがえのない時間です。

お互いに直感に導かれるように歩んできたように思うのですが、

制作を始める直前に東京でお会いできたのも、とても素敵なタイミングでした。

 

そのようにして生まれた指輪もまた、時間の中でそっと咲いた一輪の花のように感じるのです。

 

新月から数日が経ち、夕暮れ時には、東の空に上弦の月が登りました。

冷たい風に乗り、足早に流れる雲の合間から、見え隠れする柔らかな輝きを懸命に探すように空を見上げていると、

弓の弦が力いっぱい引かれ、世界に解き放たれる時の中にいるような、どこか力強い希望に満ちた感覚に包まれました。

 

このようにして、私たちもまた、新しい始まりを繰り返してゆくことができれば素敵ですね。

屋久島から、ご結婚おめでとうございます!

祝福と喜びに包まれたお二人の日々を思い描きながら。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

懐かしい気持ち。ゴールドとダイヤモンドでつくる花を纏う。 #屋久島でつくる結婚指輪

菜の花をモチーフにした指輪作りがひと段落をし、次はピアスの制作を。

お花のジュエリー作りは、もう少し続きます。

菜の花から季節を少し巻き戻すような感じになるけれど、こちらは冬の花であります。

 

気がつけば、ツワブキの季節もそろそろ終わりに近づいてきました。

それでも、庭の片隅にはポコポコと気持ち良さげに佇んでいて、

黄色い花が、手のひらを広げるように陽光を受けています。

その姿を眺めると、なんだかとても癒されるのです。

今年も大好きな花を眺めながら、ジュエリーを作ることができて嬉しい!

 

ピアスはシンプルに、直付けタイプといたしました。

それは、まるで花を摘んで纏うような、どこか懐かしい感覚かもしれません。

 

イエローゴールドとダイヤモンドでできたお花なら、ずっと身につけていられるのが嬉しいところですよね。

 

菜の花から始まった、お花シリーズのジュエリー作りは、ここで一旦ひと段落を迎えました。

いつも美しかった、屋久島の冬にありがとう。

 

リングとピアスにはダイヤモンドをセットして完成となる予定ですが、それはまた別のお話で。

出来上がりは、お二人が島にお越しになる日までのお楽しみに。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

静かな雨。シンプルな日々の手仕事。#菜の花の指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

静かな雨。シンプルな日々の手仕事。#菜の花の指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

しとしと柔らかな雨が降り始めている。

庭先では、知らぬ間に大きくなってきた若草が、朝の雫をたくさん抱いている。

そろそろ冬もピークを迎え、次の季節へと移ろい始める頃なのかもしれない。

「この雰囲気も久しぶりのことだなあ」と、春の湿度に満ちた日々を思い出していた。

 

ゴールドの小さなかけらを墨の上に乗せ、バーナーの火を当てると、まるで雨の雫のようにキュッと小さな球体になる。

かけらの大きさに変化をつけながら、いくつかの雫を少し多めに作っておいた。

 

今日が雨の日だったのも、素敵なタイミングだったように思う。

島の暮らしで何よりも大好きなのは、水の印象かもしれない。

 

菜の花をモチーフにした指輪作りも、いよいよ終盤に差し掛かっている。

 

 

イエローゴールドの板を切り抜いたり。細い線をくるりと巻いてつなぎ合わせたり。

一つだけの花、ナノハナの指輪を作る #屋久島でつくる結婚指輪

 

草花を摘んで纏うように、金属を柔らかに紡いでゆく。

島のジュエリー作りは、いつも子供心を思い出させてくれる。

 

雨上がり、ぽつりぽつりと雫をまとった菜の花。

やがて雲の隙間から陽光が差し込み、黄色い輝きがキラキラと揺れ始める。

その佇まいを何気なく見つめ、心を躍らせる。

日々に出会うささやかな喜びをジュエリーにして、分かち合うことができれば嬉しい。

 

 

小さな装飾を加えるのは、造形のリズムを整えるためでもあるし、実は、強度を高めるためだったりもする。

リングと花のつながりが揺るぎないものとなるように、小さな粒を一つずつ補ってゆく。

ゴールド粒の装飾は、少ないと寂しくなるし、多すぎると重たく感じられる。

細部のバランスやリングの繊細さを、アトリエでお会いした彼女の印象に重ねながら、作り進めていく。

 

火を使う工程をすべて終えると、作業場をざっと片付け、海の見える場所まで車を走らせ、夕暮れ時の潮騒に耳を澄ませた。

ダウンジャケットを着込んで車を降り、深呼吸をする。

うん、きっと明日も良くなる。

ただそれだけのことではあるけれど、このシンプルな日々が、何よりも幸せなことのように感じられた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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一つだけの花、ナノハナの指輪を作る #屋久島でつくる結婚指輪

今年最初の大きな虹は、山際の低い部分に、日中ずっと掛かっていた。

作業の間に窓の向こうを眺めると、雲の重なりにより色の濃淡が変わり、時折ダブルレインボーにもなった。

外の空気は冷たく、どこまでも澄み渡っている。

山々はずっと変わらずにここにあるはずなのに、不思議といつまでも眺めていられる。

ずっと遠くを眺め、目を休ませると、また作業机に戻り、ルーペとピンセットを片手に細やかなタッチを重ねていく。

そのようなリズムを一日繰り返していた。

 

ジュエリーが出来上がる頃、春がやってくる。

お二人が島を訪れる日に向けて、菜の花の指輪を作り進めている。

春に向けて、菜の花をモチーフにしたジュエリー作りを始めている #屋久島でつくる結婚指輪

 

1月も終盤になり、冬がいよいよ深まると、森には雪が積もり、島にはツーリストの姿もほとんど見ることはなくなってしまう。

春がやってくるまでカフェやレストランは軒並み店を閉めてしまうので、外食をするタイミングもぐっと減ってしまう。島を離れ、長い旅に出かける移住者も多い。

そういうわけで、この季節はアトリエに籠り、美しい山々や海を眺めながら、静かに制作の日々を過ごすわけだけど、ささやかな喜びに満ちているこの季節を、いつも大切に過ごしている。

ポンカンやタンカンは食べきれないくらいにあって、庭先に出会う花がそっと励ましてくれる。

ありふれた言葉かもしれないけれど、「ここには何もないかもしれないけれど、全てがあるのかもしれない。」

 

さて、今日のアトリエです。

結婚指輪などシンプルなジュエリーとはまた違って、小さなパーツをいくつも組み合わせながら造形を進めていくのだけど、花をモチーフにする指輪作りは、完成までの工程がたくさんあって楽しい。

イエローゴールドでかたどった小さな花は、その一つ一つを隣り合わせるようにして、丁寧につなぎ合わせていく。

花が指を包み込むように、Uの字に作った台に乗せ、あらかじめカーブをつけておく。

ゴールドが溶けてしまわないよう、炎の強さに最大限の注意を払いながら、3つの花の温度を上昇させてゆく。

やがて芯まで真っ赤に変わるタイミングを測り、花と花が接する部分に融点の低いゴールドを、すっと流し込んだ。

 

作業をひと段落し、緊張をほぐすために、庭でホッとひと息を。

足元には、一年ぶりにスミレが花を咲かせていて、思わず心が躍った!

 

繊細で、力強くて。

ジュエリー作りの憧れは、いつも庭先に出会う植物にあるように思う。

 

つなぎ合わせた3つの花を綺麗に磨き上げ、そのあとに、同じイエローゴールドで二本の細いリングを作った。

菜の花の繊細で、寄り添い合う雰囲気が好きだ。

 

ここで作業の下拵えが完了、といったところなのだけど、

これまでの工程を振り返ってみると、その一つ一つが、一度だけしかできないタッチであったりする。

そう考えると、こうして生まれてくるジュエリーが、本当の花のように、かけがえのないもののように感じられた。

 

今日はここまで。

明日もまた、ジュエリー作りだ。

 

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