金属は火に当ててあげると、ふわりと緊張が解けるように柔らかになる。
彼女のリングのために配合したシャンパンゴールドはくるりと巻いて両端をつなぎ合わせる。
つなぎ合わせると格段に強度を増す。
ちょっとくらいではもう曲がらない。
硬い、でも土から生まれた心地を感じる柔らかさで。
ずっとずっとお二人の暮らしに寄り添ってくれる。
そして、表面を削って磨いてゆくと、金属は光沢を帯びてくる。
作業中でもその輝きがぐっと胸の奥に響いてくる。
何気ない日常に、ぽっと小さな明かりを灯すようなリングになればいいと思う。
島では桜も咲き始めた。お二人の結婚指輪作りは海の向こうよりも一足早い春の予感とともに。
作業の手を進めていると、屋久島サウスのアトリエでお会いした日を思い出す。あの時生まれたイメージが少しずつ形になりつつある幸福感。海を越えて会いにきてくれたありがとう。そしてここまで一緒に歩んでくれてありがとう。
シンプルでつけ心地柔らかなマリッジリング。
これまでも何度も何度も作ってきたはずなのに、お二人のためにお作りすると不思議と今までにはなかった造形に出来上がるのが面白い。クラシックだけど、いつも新しい。
彼のシルバーリングはサンプル制作の時に仕上がっていたのだけど、せっかくなので彼女のシャンパンゴールドと共にもう一度お作りすることにした。
そんな温度感のある制作もいいなと思う。
そして作業の合間には海までの道を歩いてみたり、今日も島リズムで作っている。
屋久島サウスのアトリエにて。
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