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みずみずしい癒し。おふたりの結婚指輪づくりが始まる日 #屋久島でつくる結婚指輪

月の美しい日が続いている。

9月になり、空の色彩はぐっと深みを増しつつある。

 

早い時間に目を覚ますと、窓の向こうには濃いオレンジ色に染まる朝焼けが広がっていた。

その光に魅せられて、アトリエから海の見える場所まで車を走らせ、空に浮かぶ月を眺めていた。

 

そういえば、夜明けの時刻もずいぶん遅くなってきた。

この島に暮らすようになってから、季節の巡りや海と月のリズムを、とても身近に感じられるようになった気がする。

 

あるいは、わたしたち自身もまた、その一部なのかもしれない。

そう思うと、力強い癒しに包まれる。

 

海からは湿った潮風が吹き上げてくる。

やがて太陽が雲の隙間から姿を現し、月のシルエットは少しずつ薄れていった。

 

ありがとう。

 

静かであたたかな心地に包まれながら、

アトリエに戻り、一日の作業に取り掛かることにした。

 

まずは、二本の細いシャンパンゴールドをガスバーナーの炎に包み、焼きなました。

表面が黒い酸化膜に覆われた地金をくるりとリング状に巻き、糸鋸で両端を目指すサイズに合わせてカットする。

お二人の結婚指輪作りが、いよいよ始まった。

 

リングの両端をぴたりと合わせ、融点の低い金属を流し込んで繋ぎ合わせるのだけど、炎の温度調整がシビアになるこの工程は、前半にして作業のクライマックスといえるのかもしれない。

高温下で繊細なリングが溶けてしまわないよう、最大限の注意を払わなくてはならない。

 

慎重に、そして思い切りよくタッチを進めていくうちに、心がすっと平らになっていくのがわかる。

この深く静かな場所が、とても好きだ。

まるで海のような穏やかさだと思う。

 

お二人も海の近くで暮らしているという。

ドライブの途中に水平線を眺めたり、何気なく月の満ち欠けを気にしたり、

わたしと同じようなリズムを感じながら、日々を過ごしているのかもしれない。

 

劇的な瞬間ではないかもしれない。

けれど、それはいつもわたしたちを、そっと包んでくれている。

空気の中に漂う神秘のようなものがある。

お二人の結婚指輪も、日々にみずみずしい彩りを添える癒しのようなものになればいいと思う。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

結婚指輪をお届けしたおふたりと、屋久島で初めてお会いしました! #屋久島でつくる結婚指輪

「夏の屋久島でお会いしましょう」

おふたりと約束をしていました。

「届いた結婚指輪をつけて行きます」

 

ついに想いが叶った日。

夕暮れが静かに訪れ、熱帯の湿度があたりを満たしていました。

 

空港に到着し、車を手配したその足でアトリエまでお越しくださったおふたり。

「はじめまして」と挨拶をして、握手を交わしたのですが、

なんとなく、初めてお会いするような気がしない。笑

 

指輪が出来上がるまで、これまでずっと、本当にたくさんの言葉を交わしてきていたので、それもそうなのかもしれません。

 

「とてもいい感じです!」と、ほんの少し気恥ずかしそうに、指元にきらりと輝くリングを見せてくれました。

なんだか、三人で育ててきた花が咲いたような、心躍る瞬間でした。

 

お仕立てした結婚指輪は、お二人の出会いや重ねてきた時間をモチーフにしたデザインで、

そのストーリーを直接伺うことができたのも、嬉しかったです。

 

「今年作った中でも、とりわけこだわりがありました。」と、わたしも制作秘話のようなものをお話ししました。

 

気がつけば、窓の向こうは、すっかり暗くなっていました。

「明日は森を歩いて、その次の日にはシュノーケリングをする予定があるので、早く夕食に行かないとですね」

と楽しげに話しながら、おふたりとサヨナラをしました。

 

見上げると、丸い月が空に浮かび、夜空を驚くほどに明るく照らしていました。

うん、きっと明日も良くなる。

 

少しずつ、一歩ずつではあるけれど、

やわらかな光に包まれる未来が、たしかに続いているように思えた、

癒しに満ちたひとときでした。

 

 

 

屋久島から皆さまへ、オーダーメイドでジュエリーをお届けしています。 #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島のアトリエから皆さまへ。

 

Kei Nakamura Jewellery では、ひとつひとつオーダーメイドでジュエリーをお仕立てしているため、お届けまでに少しお時間を頂戴しておりますが、

アトリエには、定番のデザインや、わたしのお気に入りのリングを集めて、皆さまにご紹介しています。

 

素敵な出会いがありましたら、もちろん同じデザインでお作りすることもできますし、

素材やかたちをお好みに合わせてアレンジするご相談も承っております。

 

作品価格、デザイン詳細については、web siteよりご覧いただけます

 

皆さまの大切な想いから生まれたジュエリーたちです。

完成したリングは、バトンを受け渡すようにして、また新しいインスピレーションを運んできてくれます。

そうして少しずつ形を変えながら、長い時間をかけて育まれてきました。

 

屋久島にお越しの際は、アトリエにて相談会のご用意をいたしますので、ぜひ事前にご連絡ください。

遠方にお住まいの皆さまとは、メールやお電話を通じて指輪作りのお手伝いをさせていただきますので、お気軽にお声がけいただけると嬉しいです。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
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tel: 0997-47-3547

 

どんなジュエリーに出会えるのだろう。

わたし自身も心が躍るオーダーメイドです。

 

大好きな花をモチーフに。

ご結婚の記念に。

サプライズのプロポーズに。

自分への小さな約束に。

 

喜びを、ともに分かち合いましょう。

 

皆さまの大切なジュエリーづくりを、

お手伝いできることが、わたしにとって何よりの幸せです。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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屋久島の季節を纏うように。島で出会う草花や海、月星をモチーフにしたジュエリーを作っています

 

インスタグラムでこれまで作ったジュエリーを見ていただけます!

満ちゆく癒し。ピンクゴールドとシルバーで紡いだ、菜の花の結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

朝露に包まれて、静かに寄り添うふたつのリング。

ピンクゴールドとシルバーで紡いだ、菜の花の結婚指輪。

散歩道で出会った小花のように、繊細に、清らかに佇んでいました。

 

日々の暮らしの中で、ふとしたときに出会う、きらきらと輝く瞬間が好きです。

 

庭先や散歩道に咲く季節の小花たちは、

さりげなく、それでいていきいきとした表情を纏っています。

潤いを帯びた朝の清々しい空気に包まれると、その一日を素敵に過ごせるような気がします。

 

島に早い春が訪れるころ、

黄色い光のような花が海風にゆらめきます。

日々をやわらかな喜びで満たしてくれる菜の花をモチーフに、お二人の結婚指輪をお作りしました。

 

彼女のピンクゴールドと、彼のシルバー。

朝の光がダイヤモンドに静かな煌めきを与え、彫刻模様にすっきりとした陰影を浮かび上がらせています。

散りばめられたピンクゴールドの粒は雫のきらめきのようで、

ふたつのリングは寄り添いながら、朝露の情景に溶け込んでいくように見えました。

 

菜の花の、さりげなく儚い雰囲気を纏うように、

ふたつ並べたお花は、いつもよりも小さくかたどりました。

リングも少しだけ細くして、手の中に収まりよく、繊細に仕上げています。

 

そのピンクゴールドの花は、シルバーリングに彫刻した模様の一部分を切り取ったようで、

彼のリングに刻んだ図柄は、彼女のリングが光を受けて映し出す影のようにも見えます。

 

おふたりとは、これまでたくさんの言葉を交わしながらデザイン作りを育んできたので、

こうしてそのイメージが形になったのが、本当に嬉しく、胸がいっぱいです。

 

大阪と屋久島を繋いで、サンプルを何度も送り合ったのも、今では楽しい思い出ですね。

いつもあたたかなお言葉をいただき、ありがとうございました。

 

お二人と、私と、そして屋久島とが出会い、

そこに新しいデザインが生まれた喜びに包まれています。

ふたつのリングには、まさに花が開く瞬間のような、奇跡の美しさが息づいているように思います。

 

山々を見上げれば、空には秋の訪れを感じさせる雲が広がっていました。

一年ぶりに眺める豊かな色彩が、新しい季節の訪れを告げています。

 

わたしたちもまた、新しい始まりを迎えることになりますね。

楽しい指輪作りをありがとうございました。

 

屋久島の癒しに満ちた祝福をおふたりに。

ご結婚おめでとうございます。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

癒し合う。大好きな花をモチーフに、結婚指輪を作ること。#屋久島で作る結婚指輪

 

屋久島-サンフランシスコ 大好きな植物でつながる、婚約指輪と結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

シダの葉とツワブキの花。

屋久島の大好きをモチーフにして、婚約指輪と結婚指輪をお仕立てしました。

 

緑の中でそっと重ね合わせてみると、そこに静かなぬくもりが響きました。

 

おふたりと大切な想いを分かち合えた幸せな日々に、心からありがとう。

 

 

遠くサンフランシスコから海を渡り、屋久島を訪れたおふたりにお会いしたのは、アトリエに藤の花が咲き始めた4月の終わりのことでした。

大好きな植物でつながる、結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪

 

5月になると白い百合が咲き、雨の季節が訪れ、島は紫陽花でいっぱいになりました。

やがて散歩道にハマユウの姿を見かけるようになったころ、指輪作りが始まりました。

台風が接近し、激しい風雨に包まれた制作の日々も、今となっては大切な思い出です。

 

想いあふれる、三つのリングが出会うとき #屋久島でつくる結婚指輪

 

海を越えて、遠く離れた場所に暮らしているのに、おふたりとはどこか親密な近しさを感じるのが、とても不思議です。

 

植物にそっと手を触れたり、森の澄み渡る空気を深呼吸したり、夕暮れ時の浜辺をただ歩いたり、

日々の暮らしの中に出会うささやかな喜びを大切に想う、そのやわらかな絆のようなものに支えられながら作りました。

 

大好きな植物を摘んで、指に纏うように。

出来上がった3つのリングは、自然から生まれたフォルムであり、同時に、おふたりを繋ぐ神秘的な“響き”であるのかもしれません。

 

シダのモチーフでつながる結婚指輪。

 

彼女のリングはプラチナとイエローゴールドのコンビネーションでお仕立てしました。

葉っぱをかたどったリングが、緑の中で軽やかに、麗しく佇んでいます。

 

彼のリングは、しっかりとしたフォルムで、力強い。

イエローゴールドで繋がりを持たせ、表面に一本のシダの模様を深く彫り込むと、そこに素敵なつながりが生まれました。

 

夏の深い色彩の中で、小さなリングからは、いきいきとした響きが伝わってきます。

今、島ではハイビスカスが満開です。

 

お花のリングと一緒に手の中で重ね合わせてみる。

すると、そこに小さな屋久島が生まれたようで、心ときめきました。

 

細いゴールドの線とプラチナの組み合わせは、どこまでもシンプルで心地よい。

ハイビスカスの生垣を抜けて届く朝の光を受け、イエローサファイアが静かで落ち着いた輝きを纏っています。

 

重ね合わせたり、ひとつでつけてみたり、少しバランスを変えてみたり。

なんだか庭先の植物を眺めているようで、日々の装いが楽しくなりそうですね。

 

移ろいゆく季節が育む豊かなリズムのように。

おふたりの暮らしにやさしく寄り添う指輪となれば、何よりも嬉しく思います。

 

島はまだまだ暑い日が続いていますが、

その中にふと涼やかな風や、愁を帯びた色彩に出会うようになりました。

ナスやオクラを大切にいただきながらも、かぼちゃの煮物が美味しく感じられるこの頃です。

 

そういえば、最初にメッセージをいただいたのが冬だったので、指輪がおふたりのもとに届いてしばらくすると、一年がめぐることになるのでしょうか。

 

巡りゆく季節のように、いつも新鮮で、そしていつまでも変わることなく、お互い暮らしていけると素敵ですね。

 

ご結婚おめでとうございます!

 

屋久島から、抱えきれないほどの祝福をおふたりに。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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シダの指輪 シダ模様の指輪 ツワブキの指輪

material: 18k yellow gold, platinum, yellow sapphire
size: square 2.4mm、7mm flower, 7mm leaf

Delivery time is within 2 months.
Make by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせてオーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約2ヶ月。

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屋久島-サンフランシスコ 大好きな植物でつながる、婚約指輪と結婚指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

2025年、夏。おふたりとともに紡ぐ、結婚指輪づくりの日々 #屋久島でつくる結婚指輪

近所にある小さな森を散策し、アトリエに戻ったのは昼を少し過ぎたころだった。

夏の光はまだ、島の至るところに漂っている。

木々を見上げたときの眩しさや、水面のたゆたい、鳥たちの囀り。

島が奏でるリズムがまだ体の中に留まっているのを感じながら机に向かい、この日の作業を始めることにした。

 

大切な工程を迎える前には、散歩をしたり海に入ったりして、ひとときの時間を過ごすことが多い。

島で暮らすようになり、自然の中に身を置き、その躍動感を帯びた静けさに波調を合わせるのが好きになった。

 

2025年の夏を味わうように、おふたりの結婚指輪を作り進めてきた日々は、わたしにとって、とても大切なものとなった。

 

島の季節が、いつもやさしく包み込んでいてくれている。

 

作業机に向かい、削り出しを終えたシャンパンゴールドのリングを並べ、少しの間じっと眺めた。

まず、一本を朴炭の上に置き、ガスバーナーで大きな炎を回しかけた。

 

シャンパンゴールドが柔かくなったところで、鉄の型枠に置き、木槌を使い圧力をかけるように曲線を与えた。

 

まだ粗いタッチにすぎなかったが、そこにはひとつの流れが生まれていた。

指もとを優しく包み込んでくれる、水の流れだ。

それは、わたしたちが長い時間をかけて一緒に思い描いてきたフォルムだった。

 

そして、もう片方のリングにも同様のタッチを加えていくと、

そこに響き合うリズムのようなものが芽生えてきた。

 

キラキラとした時間は、突然やってきた。

一輪の花が咲いたような、美しい瞬間だった。

 

造形がひと段落した二本のリングを庭先に持ち出し、そのシルエットをハイビスカスの木陰で眺めた。

ガラストレーの中でそっと重ね合わせると、シャンパンゴールドが島の色彩を映し、七色に輝いていた。

 

この先にまだいくつかの工程が控えているのだけど、

それでも、素敵なリングに仕上がる未来を、はっきりと思い描くことができた。

 

リングは、流線型のフォルムをまといながら、同時に、形のないおふたりの大切な想いでもあった。

 

長い道をともに歩み、ようやくここまでやってきた。

完成が楽しみでならないが、この先もじっくりと育んでいこう。

 

本当に、ゆっくりとした島のリズムだけど、

いつもあたたかく見守っていてくれて、ありがとう。

 

海を越えておふたりと分かち合ってきたこの夏を、

少しだけ名残惜しく感じながら。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

シャンパンゴールドで紡ぐ夏。ふたつのシルエットが響き合うとき #屋久島でつくる結婚指輪

シャンパンゴールドで紡ぐ夏。ふたつのシルエットが響き合うとき #屋久島でつくる結婚指輪

そういえば最近、美味しいカボチャもいただいたし、空気は澄み渡り、星空も綺麗になってきた。

それでも屋久島はまだまだ暑い日が多いけど、おふたりはどんな夏を過ごしているのだろうか。

 

そうか、もう8月も終わりなのだ。

 

 

ゆっくりと島のリズムで進むオーダーメイドだけど、

おふたりと同じ季節を分かち合えるのは、何よりも嬉しい。

夏への憧憬、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

さて、

指輪作りも、いよいよ折り返し地点に差しかかった。

二本のリングのシルエットを決める大切な工程になるので、一つ一つのタッチを丁寧に重ねていきたい。

彼のリングは、ほんの少し丸みを帯びるように削り出した。

リング表面を巡るラインのエッジは、まだそれほど強く立たせていない。

全体的にやわらかな印象を保つように作り進めているのだが、それでも太陽の光の下で眺めると、そのフォルムに沿って、くっきりとした陰影が浮かび上がっていた。

 

彼女のリングは幅を細くし、エッジをわずかに際立たせて、リズミカルで動きのあるフォルムに仕立てていく。

二本のリングを並べ、お互いのバランスをとりながら、交互に削り出していった。

まずは目の荒いヤスリで大きく形をとり、そのあと精密ヤスリに持ち替え、表面の同じ場所に何度も小さなタッチを重ねていく。

 

それにしても、こうして並べてみると、サイズも結構違っていて。

眺めていると、なんだかほっこり。

 

作業台の上には、削り落とされた金属片が散らばり、キラキラと輝いていて綺麗だった。

 

リングが完成するのも待ちきれない。

けど、この夏をもう少し楽しみましょう。

 

楽しい時間は、またまだ続きます。

 

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夏への憧憬、シャンパンゴールドの結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

シャンパンゴールドを金槌でコンコンと叩き、そのあとにくるりと巻いてリングのかたちにした。

少し細く造形した両端をぴたりと合わせ、窓外に響く夏の音に耳を澄ませながら、ガスバーナーの炎に包み、ゆっくりと熱を回した。

 

ときどき庭先に出てハイビスカスを眺め、カフェオレを淹れて少しずつ飲み、簡単な昼食をさっと作ったりしたけれど、

それ以外の時間は日中ずっと机に向かい、作業に夢中になっていた。

 

 

それにしても、暑い日が続く。

どこか幻のような儚さを帯びた夏の叙情に包まれながら、おふたりの結婚指輪を作っている。

海と太陽、シャンパンゴールド。おふたりの結婚指輪作りが始まるとき #屋久島でつくる結婚指輪

 

最初は彼女のリングを予定のサイズに合わせ、そのあとに彼のリングを。

少しずつ、少しずつ、同じ工程をなぞるようにタッチを重ねていく。

 

おふたりの結婚指輪は、お揃いの素材とデザインでかたちづくるのだけど、

サイズはもちろん、リング幅や、表面に走るラインの角度など、細部に微妙な変化を加えながら工程を進めていく。

 

彼と彼女とは、これまで何度かビデオ越しにお話しすることができたので、その時の印象も指輪作りの大きな助けになっている。

 

おふたりそれぞれの時間と手に自然と馴染み、

そして、そのふたつのリングが補い合い、ひとつになるような。

確かなつながりを感じる“響き”のようなものも大切にしたいところだ。

 

リングを作っていると、いつも思うのだけれど、

デザインは常に、おふたりがともに歩む時間を映し出すように出来上がっていくのかもしれない。

 

いくつかの作業を経て、炎のススや叩き跡の残るリングの表面をざっと綺麗に磨き上げた。

まだまだ作業は始まったばかりだが、シャンパンゴールドのやわらかな色彩が浮かび上がり、心が静かに弾む。

小さなリングに宿る、この躍動のような力強さは、ゴールドならではの魅力であるように思う。

 

おふたりにも手に取っていただきたいなと、ふと海のずっと向こうを想う。

どこかはやる気持ちを抱きつつも、その日の作業を終えることにした。

 

 

日が暮れて、ようやく涼しくなってきたころ。

「たまには少し遠出をしたいね」と妻と話し、島の東側まで車を走らせた。

 

大きな川辺に浮かぶように佇む山々のシルエットは、やっぱりこの夜も美しくて。

本当に何度も、妻と一緒にこの風景を眺めているけど、

ずっと変わらないものを前にして、今という時間への愛おしさがいっそう深く感じられた。

 

島のこの時間にしては珍しく、通りには人も行き交っている。

港のほうからは、濃い潮の香りが漂ってくる。

食堂のあかりに向かって歩いていると、猫が目の前を素早く通り過ぎた。

橋に装われたささやかなイルミネーションに心が躍る。

 

こうして夏の日々は、今年もまた、ゆるやかに、そして印象的に刻まれていくのだった。

 

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海と太陽、シャンパンゴールド。おふたりの結婚指輪作りが始まるとき #屋久島でつくる結婚指輪

夏の太陽が水平線に沈むころ、わたしは島の西側にあるビーチにいた。

日中は外に出るのも憚られるほど強い日差しが降り注いでいたが、この時刻になると、むしろひんやりと感じるほどだった。

 

空が芳醇な色彩に包まれている。

秋が近づいてきているせいだろう。

この季節は、空気中の水蒸気やちりが少なく、透明度が高いため、赤やオレンジ色の光がより鮮やかに見えるのだ。

 

わたしは波打ち際を歩いていたので、光が水面に反射してきらめきが眩しく、思わず目を細めてしまうほどだった。

最初は波の音も騒がしく感じられたが、やがて慣れて、むしろ当たり前のことになっていた。

 

手の中にあるシャンパンゴールドは、夕暮れの光を鏡のように反射させた。

角度を変えると、打ち寄せる波のリズムに呼応するように、ゆらゆらとその輝きをオレンジ色の空気の中に漂わせていた。

 

海のリズムと響き合うシャンパンゴールドの色彩が、その情景に溶けて見える瞬間もあった。

 

海で過ごしたひとときのおかげで、とても自然な心持ちで新しい作業に向かうことができた。

 

   シャンパンゴールドは手の中ではとても硬かったが、炎に包んで焼きなますと、わずかに柔らかくなった。

最初の一歩は、リングの幅となる部分に大きな抑揚をつけていくことだったが、

金槌を片手に、力を込めて角張った棒の両端を叩いていくと、その部分が少しずつ薄く、平らになっていった。

たぶん、その一歩をうまく踏み出すことができたのだと思う。

 

おふたりと一緒にデザインを育んで、もう半年ほどが経った。

思い描いてきたのは、海や波、そして太陽。大好きなリズムを感じるリングだ。

 

屋久島から海を越えて、おふたりは遠くに暮らしているけれど、

ビデオを介して話をしたり、サンプルリングを作ってお送りしたり、そのような調整を繰り返していると、その半年の時間はとても充実したもので、それほど長くは感じられなかった。

 

これまで大切に分かち合ってきたイメージが、今、目の前で、少しずつ形になりつつある。

細やかなタッチを加えるたびに、シャンパンゴールドが新しい表情を見せてくれる。

その変化を静かに眺めているだけで、なんとも言えない満ち足りた気持ちになれた。

 

 

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屋久島に咲いた ひとひらの 花。おふたりに届ける祝福のジュエリー #屋久島でつくる結婚指輪

おふたりが久しぶりにアトリエを訪れてくれたのは、クリスマスにお会いした日から8ヶ月が過ぎた真夏の昼下がりのことでした。

 

「すごく楽しみにしていました!」

彼と彼女が、爽やかな笑顔で言ってくれました。

 

あの日からコツコツと作り進めてきたジュエリーを、手に取っていただける。なんとも幸せなひとときです。

 

菜の花、紫陽花、ツワブキの花

わたしも大好きな屋久島の花をモチーフに、ピアスとネックレス、そしてリングをお仕立てしました。

こうして一緒に並べてみると、小さなお花畑のようで、胸がときめきます。

ゴールドとプラチナ、ダイヤモンドが、やわらかな輝きをまとい、生き生きとした表情を見せてくれました。

 

そのジュエリーがとても素敵に似合っていたおふたり。

きっとそれは、島を大切に想う“響き”のようなもので、わたしとおふたりがやわらかく結ばれているからだと思うのです。

 

冬の寒い頃に始まった指輪作りのなかでツワブキが咲き、春先には菜の花が、やがて雨の季節を迎えると庭先に紫陽花が咲きました。

 

島のリズムの中で育まれた、とてもゆっくりとしたジュエリー作りだったけど、

こうして季節の巡りをおふたりと共にできたのも、かけがえのない時間だったように思います。

 

いつもあたたかく見守ってくださり、ありがとうございました。

 

屋久島で過ごしていると、祝福のような色彩や煌めきに、ふと出会う瞬間があります。

南国の空気の中で生まれた、小さなジュエリーたちです。

その喜びを、おふたりと一緒に分かち合えると、何よりも嬉しく思います。

 

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雨の香り プラチナとダイヤモンドで紡ぐ、アジサイの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

喜びのとき。屋久島に咲く花をかたどって、ネックレスとピアスを作りました #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島サウスに漂い始めた春の風と、ナノハナの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

静かな響き。小さな月のネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

昼間に眺めた月あかり。

屋久島の海からいただいた夜光貝と、イエローゴールドを組み合わせて、小さなネックレスをお仕立てしました。

 

その穏やかな輝きにふれていると、まるで静かな夜に包まれているような、やさしい気持ちが広がりました。

 

海の月ネックレス 18k yellow gold, island shell

 

ふとしたとき、月の響きに癒される。

もう何十年も眺めているはずなのに、ずっと変わらないのが不思議です。

 

夜光貝の月は、8mmほどの大きさにかたどりました。

とても繊細なスタイルですが、移ろう輝きや豊かな色彩を楽しめるのが、夜光貝の大好きなところです。

 

個体や切り取る場所によっても、大きく印象が変わってくるので、

作っているときは、ずっとドキドキでしたが、

今回も美しい表情に出会えたことが、うれしい。

 

今ここにある、一つだけのジュエリーに仕上がったのだと、しみじみと思います。

 

光の条件や、そのときの心持ちで、見え方や感じ方がいつも新しくなるのは、

あるいは、月も同じなのかもしれません。

 

肌に直接触れる裏側の部分には、イエローゴールドのプレートを合わせました。

そこに細いチェーンを通すように仕上げておりますので、

首元に小さな月が浮かぶような印象を楽しんでいただけたらうれしいです。

 

おふたりにとって、大切な記念のひとときとなりますように。

 

ネックレスは、ケースに大切に収め、リボンを結んで、海の向こうにお送りいたしました。

 

プロポーズのためのジュエリー作りにご一緒できたことは、わたしにとっても、かけがえのない時間でした。

 

満ち欠けのリズムを繰り返しながら、月がやさしい光を足元に投げかける日々は、

まるで、大切な人と過ごす明るいひとときのようでもありますね。

 

昼間も、雨の日も、

このやわらかな光が、そっと包み込んでくれますように。

 

8月末日。まだまだ夏の暑さが続く屋久島のアトリエより。