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雨上がりの朝に。プラチナとシャンパンゴールドのグラデーションを眺めました。#屋久島でつくる結婚指輪

夏の訪れとともに、雨のリズムも少しずつ変わってきたように思います。

朝のうちにザーッと激しく降ったかと思えば、やがて強い陽射しが差し込んでくる。

南国ならではの明るい雨に、ハイビスカスやチョウチョたちも、どこか嬉しそうです。

 

そんな響きが伝わってくるからでしょうか。

キラキラと輝く朝には、癒されるものですね

 

わたしもつい嬉しくなって、昨日のうちに削り出し作業をひと段落したリングを、アトリエの庭先で眺めていました。

 

プラチナからシャンパンゴールドへのグラデーション。

こちらは、彼女のリングです。

 

表面を大きく削り出し、丸く優しいフォルムに仕上がってきました。

手の中で角度を変えながら、光の巡りをチェックしていきます。

 

風にゆらめく光と影の中で、リングはシャンパンゴールドに見え、同時にプラチナにも見えます。

そのディテールをじっくりと眺めることができたおかげで、次のタッチのイメージも膨らんできました。

 

アトリエに戻り、さっそく微調整を重ねていきます。

 

削り出しの作業で生まれた金属片も、こんなにたくさん。

プラチナとシャンパンゴールドが混ざり合い、キラキラと輝いていて、ついうっとりと眺めてしまいます。

 

さて、これからは彼のリング作りへとバトンをタッチして、

お二人の指輪作りも、いよいよ終盤へと進んで参ります。

 

今日も、暑い一日になりそうです!

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

それぞれの色、ひとつのかたち。響き合う、コンビネーションの結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

それぞれの色、ひとつのかたち。響き合う、コンビネーションの結婚指輪づくり #屋久島でつくる結婚指輪

上から順に、

ホワイトゴールド、プラチナ、プラチナ、そしてシャンパンゴールド。

異なる素材は、小さなリングの中で、ぴたりと組み合わさった。

そして、ふたつのリングは、同じ素材を共有しながら、それぞれの色合いをまとい、ひとつになっていく。

 

 

結婚指輪をお作りしているおふたりとは、夏のアトリエでお会いする約束をしています。

季節への憧憬。ふたつの金属が響き合うとき #屋久島でつくる結婚指輪

 

結婚指輪作りの楽しいところは、なんといっても、ふたつのリングを並行して仕上げていくところにあると思う。

彼のリングと、彼女のリング。

サイズもボリュームも、最初はまったく異なるふたつだけれど、

タッチを重ねるごとに、ふたつのリングの距離が近づいていく。

その過程を前にできるのは、作り手としてこの上ない喜びだと思う。

 

小さな息吹が、島の時間の中で、静かに育まれてゆく。

喜びを分かち合いましょう。

 

まずは彼のリングから。

つい先ほど仕上がったばかりの、端正なフォルムに変化を加えるのは、いささか心憚られるものの、鉄鋼ヤスリを片手に、思い切りよく削り出していく。

 

少しずつ角を落としながら、一周。角度を変えて、また一周。

同じタッチを何度も繰り返し、表面に丸く、柔らかな曲線を作り出していく。

最初は粗い目のヤスリから始め、徐々に細かく変えていく。

 

こうした、ゆっくりとした単調なリズムが、とても好きかもしれない。

ガリガリ、と金属を削る音だけが、アトリエに静かに響いている。

 

やがて、そこにあるのは、自分自身とリングだけになり、

どこまでも穏やかな心地に包まれていった。

 

作業がひと段落したところで、庭先に出て、大きく深呼吸。

そろそろ、バナナが実をつける頃だろうか。

 

それにしても、昼間はもう、ずいぶんと暑くなってきたなあ。

見上げると、大きな葉を透かして届く日差しが、まぶしかった!

 

早朝の庭先。

夏のひかりは、シャープで力強い。

キラキラと朝露が輝いている。

作業が始まる前のひととき、ファインダーを覗きながら、庭先で癒されていた。

 

つい最近芽吹いたばかりのはずなのに、日を追うごとに、植物たちの背丈がぐんと伸びている。

そのダイナミックな変化には、いつも驚かされる。

 

夜の間にはザーッと雨が降って、昼間には太陽の光が強く降り注ぐ。

ああ、いよいよ今年の夏が始まったのだな、と思う。

 

そう感じると、おふたりとご一緒する指輪作りの時間や、ひとつひとつのシーンがいっそう愛おしく、大切なものに思えてきた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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季節への憧憬。ふたつの金属が響き合うとき #屋久島でつくる結婚指輪

雨の季節から夏へ。

移りゆく時のグラデーションに身を委ねながら、作業机に向かっている。

 

アトリエのある屋久島サウスでは、ひまわりが咲き始め、海は色濃く、煌めきを増してきた。

その変化はダイナミックで力強く、日々に身を置いていると、躍動する息吹のようなものを感じることができる。

熱帯の、力強いリズムだ。

 

夜から朝だったり、海と空も、きっとそうだろう。

コンビネーションのデザインで作り進めるお二人の結婚指輪もまた、

いくつかの時間や空間が出会い、作り出される色彩への憧憬なのかもしれない。

 

さて、アトリエです。

プラチナとK18ホワイトゴールドは、似ているようで、また別の素材。

この二つの金属を組み合わせ、絶妙なグラデーションに仕上げていく。

 

プラチナの色味は、銀白色。ホワイトゴールドは、グレーがかった金色といったところだろうか。

その移り変わりが自然な印象となるよう、重なり合う部分を斜めにデザインした。

 

二つの素材がぴたりと組み合わせ、接続をするのだけれど、

コンビネーションの指輪作りでは、この工程が最初にして最大の山場だったりもする。

 

酸素バーナーの炎に包み、1000度近くまで温度を上昇させ、重なり合う隙間に、融点の低いホワイトゴールドを流し込んでいく。

リングを置いた台をくるりと回しながら、均一に熱を回し、じっくりと。

そして、あるポイントに達したところで、一気に炎の温度を引き上げる。

 

ピンセットを持ちつつ火を扱うこの種の作業では、慎重さと大胆さが同時に求めれらることになる。

 

時間とすれば、五分もかからないほどだっただろうか。

けれども、そこには、この日一日分くらいの重みが感じられた。

 

リングを火から外し、バーナーの炎を切ると、ふわりと軽やかな気持ちになる。

心も体も、あまりに集中が深い場所にあったことがわかった。

 

さっそく、ルーペを使い、つなぎ目を細やかに点検する。

とても良い具合に仕上げることができたように思う。

 

彼のリングが、ひとつになった。

まずは、最初の第一歩を無事に踏み出した、といったところだ。

 

この先長い道のりになるけれど、ひとつひとつ、じっくりと歩みを進めていこう。

 

リングが形になるのは、真夏のことだろう。

そして、お二人がアトリエに来てくれる。

少し先の未来を、楽しみに思い描きながら。

 

ナノハナの葉っぱの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

material: 18k pink gold, platinum, diamond, emerald, sapphire, ruby, orange sapphire

Delivery time is within 2 months.
Make by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせてオーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約2ヶ月。

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When a Wedding Band Echoes the Engagement Ring in Quiet Joy #YakushimaWeddingRingsStories

あたたかな想い。イエローゴールドとダイヤモンドで紡ぐ、小さな花の婚約指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

窓辺で眺めた雨と指輪。

イエローゴールドとダイヤモンドの静かな煌めき。

菜の花をモチーフに、おふたりの大切な婚約指輪をお作りいたしました。

 

イエローゴールドでかたどったお花の大きさは、8mmと5mmほど。

細いゴールドの線と組み合わせてお仕立てした、繊細なリングです。

花の中央には、春の煌めきをイメージして、3粒のダイヤモンドを添えました。

 

その小さな花の佇まいは、祝福をまとった黄色いひかりのようで、

手に取ると、静かな喜びに包まれます。

 

菜の花のやさしい印象は、日々に自然と馴染んでくれるところも素敵ですね。

日々の暮らしの中で、たくさんお使いいただけるよう、

彼女のサイズをお測りして、じっくりと丁寧に仕上げました。

 

大切なひとに花を贈るように。

そこには、やさしくて、あたたかな想いがつまっています。

 

おふたりの大切なひとときに、こうしてご一緒できたこと。
とても幸せに思います。

 

屋久島から、おめでとうございます。

長くご愛用いただけますように。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

雨とエンゲージリングづくり。やわらかな日々の記憶。#屋久島でつくる結婚指輪

 

1.8mm and 2.2mm wave ring in platinum #屋久島でつくる結婚指輪

material: platinum, diamond
size: 1.8mm and 2.2mm

Delivery time is within 3 months.
Made by custom, One-of-a-kind.

こちらの作品はサイズを合わせて、デザインをお好みにアレンジして、オーダーメイドにてお作りいたします。
ご注文からお届けまで約3ヶ月。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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tel: 0997-47-3547

 

寄り添い、屋久島の季節と響き合うプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

寄り添い、屋久島の季節と響き合うプラチナリング #屋久島でつくる結婚指輪

寄り添い、島の季節と響き合うプラチナリング。

満開の紫陽花の中で眺めました。

 

ご結婚おめでとうございます。

おふたりとの出会いを紡いでくれた屋久島に、心からありがとう!

 

 

ご近所に暮らすお二人がアトリエを訪れてくれたのは、長い冬を通り抜け、庭先にハイビスカスが初めて咲いた日のことでした。

春のひかり。屋久島で育む結婚指輪作り。#屋久島でつくる結婚指輪

 

指輪作りが始まる頃、島はいよいよ雨の季節を迎えることになりました。

雨と光の記憶、プラチナリングに宿る輝きについて #屋久島でつくる結婚指輪

 

島で暮らしていると、山や花のような、かたちのあるものはもちろん美しいのですが、

朝の木漏れ日だったり、雨音や潮の香りだったり、

かたちのないものに包まれる喜びを、深く感じます。

 

島に暮らすお二人とは、きっと似たような感覚を、どこかで共有しているのかもしれません。

 

大好きな屋久島の日々の中に感じる小さな印象をひとつひとつ、大切に集めるようにして、ともにデザインを育んできました。

 

光のような、水のような、

喜びに満ちたプラチナリングが生まれたように思います。

紫陽花のそばで、そっと重ね合わせてみる。

一日の始まりを告げるやわらかな光が、プラチナリングをそっと包み込みます。

そこに漂う空気は、どこまでもやわらかい。

リングに施された斜面やカーブが、その光を受けてリズミカルな陰影を作り出しています。

 

とても洗練された光沢仕上げなのに、

そこにどこか、有機的で親密な手触りを感じられるのは、

表面を巡るように施したマット仕上げによるものでしょう。

 

彼の2.2mm幅。彼女の1.8mm幅。

繊細な2本のリングからは、温もりを帯びた息吹のようなものが、胸のずっと奥の方まで届いてきました。

 

島の情景と静かに響き合うリングは、たゆたう水ようのでもあり、ここに咲いたばかりの花のようにも見えました。

 

ありがとう。

木々の合間からは、陽光が降り注ぎ始め、

紫陽花のブルーを通り抜ける煌めきが、眩しかった。

 

リングの内側には、屋久島のシルエットが繋がるように彫刻を施しました。

そして、その隣に添えられた日付とお名前は、お二人が描いたサインなのです。

 

春のアトリエで初めてお会いしてから、大切な想いを分かち合いながらご一緒した日々も、今となっては、かけがえのない思い出です。

 

朝の光のように透き通っていて、愛情がたくさん詰まっていて。

この屋久島で生まれたお二人のリングが、わたしも大好きです。

 

長く山を覆っていた雲が動き始め、そ向こうに、青空が見え始めました。

 

さあ、いよいよ夏がやってきます。

わたしたちも、次のステージへと歩みを進めていきましょう。

 

巡りゆく季節に寄り添うように、ですね。

 

ご結婚おめでとうございます。

この島で、お二人の素敵な日々が、あたたかく紡がれていきますように。

 

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ふたつのかたち。夏へとつづく朝 #屋久島でつくる結婚指輪

リングの造形作業を無事に終えると、島には夏の気配が漂い始めていた。

空は青く澄み渡り、南国の日差しを受けて、雨上がりの雫が強く輝いている。

春先にお二人とお会いしてから、季節をひとつ通り抜けてきたのだなあと、シャンパンゴールドのリングを眺めながら、しみじみと思い返していた。

 

緑の中にリングをかざすと、葉の隙間を通り抜けた光を受けて放たれる煌めきに、思わず魅入ってしまう。

葉っぱは風に揺られ、影になったり、光に包まれたりを繰り返す。

それに応えるように、シャンパンゴールドが色合いを変え続ける。

光の強さによって、その表情を多様に変化させるのが、ゴールドの素敵な魅力だと思う。

 

相談会の日、アトリエでお二人とサンプルリングを囲んでデザインを考えていたとき、そこにはこれといったルールや方針のようなものは、なかったように思う。

お互いの個性を大切にしながら、そして寄り添いながら、ひと組のリングをともに作り上げてきた。

 

彼のリングは、丸く、柔らかなフォルムに。

彼女のリングには、表面に切り込み模様を施して、リズミカルな印象に仕立てた。

このあと、さらにお互いに変化を加えながら、仕上げ作業を進めていくことになる。

少しずつ異なっていて、それがかえって一層、お揃いの雰囲気を深めてくれているような、

そのようなお二人のリングが、わたしもとても好きだ。

 

雨上がりの早朝。

庭先には、力強い虫の音が響いている。

わたしはリングを眺めながら、その小さな輝きをお二人の印象に重ね合わせている。

散歩から帰ってきたお隣さんが、「おはよう、暑いねー」と言いながら、日傘をさして前を通り過ぎていった。

今日も、島の何気ない日々が穏やかに営まれてゆく。

その中で、お二人のリングもまた、たしかに育まれてゆくのだった。

制作編

静かなひかりとシャンパンゴールド。手の中でリングを育むこと。#屋久島でつくる結婚指輪

静かなひかりとシャンパンゴールド。手の中でリングを育むこと。#屋久島でつくる結婚指輪

重たい湿度が、島をすっぽりと覆い尽くしている。

それでも、雲の合間から陽光が差し込むと、山々の稜線が輝き出し、汗ばむほどの暑さを感じられた。

 

今日も、気温が高くなりそうだ。

そう考えながら、早朝から作業机に向かっていた。

 

薄暗くしたアトリエで、酸素バーナーにカチリと火を灯す。

造形がひと段落したばかりのシャンパンゴールドのリングを炎で包み、真っ赤になるまで温度を上昇させていく。

まずは最初の第一歩だ。

 

金属は、焼きなますと柔らかくなり、叩いて圧力をかけると、再び固くなる。

そのコンディションに変化を与えながら進めてゆく工程は、生き物と向かい合っているかのようで面白い。

 

シャンパンゴールドが緊張を解くように、少し柔らかくなったところで、リングに緩やかなカーブを与えていく。

鉄の枠に当て、木槌を使って、コンコン。

芯金に通し、円形を整えるように、コンコン。

彼のリングには、少し強めのカーブを。

彼女のリングには、なだらかなカーブを与えていく。

 

リングに滑らかな流れのようなものが宿るように、

手の感覚だけを頼りに、造形を進めていかなくてはならない。

 

理想とするフォルムの美しさは、いつも島の自然の中に眺めている。

ゆっくりと、少しずつ、繰り返す変化を前にすると、

リングを育んでいるような気持ちになる。

 

一通りの作業を終え、リングのシルエットを窓際に差し込む光の中で眺めた。

シャンパンゴールドの穏やかな色彩が、島の緑と静かに響き合っている。

外では、また雨が降り始めていた。

しとしと雨音の中でリングを眺めていると、そのフォルムが心地よくて、湿度の中にすっと溶けていきそうな気がした。

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

ふたつのリングがひとつになるとき #屋久島でつくる結婚指輪

ふたつのリングがひとつになるとき #屋久島でつくる結婚指輪

リングの輪郭が、少しずつ明瞭に浮き上がってきた。

シャンパンゴールド、2.5mm幅。

お揃いのスタイルではあるけれど、それぞれのリングに、細やかな個性を宿らせるように作り進めている。

 

 

シャンパンゴールドに刻む、海のリズム。

大好きな海でつながる結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

お二人とは、春のアトリエでお会いすることができました。

雨のち晴れ、ハイビスカスと新しい緑と。

海とシャンパンゴールド 大切な想いで繋がる結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪 

 

オーダーメイドでジュエリーをお届けしていると、そのデザインはまるで小さな分身のように、それぞれの人たちに、どこかとても親しい空気を纏って生まれてくるように思う。

 

とくに結婚指輪作りの場合はそうかもしれない。

日々の暮らしに寄り添い、お二人の大切な想いを伺いながらデザインを形にしていくと、ひとつひとつに繊細な個性が宿る。

けれどもそこに、確かなつながりが芽生えてくるのがとても興味深い。

 

その瞬間を間近で見守っていると、とても幸せな気持ちに包まれる。

偶然のようでいて必然を思わせる出来事に触れ、お二人が出会いこれまで育んできた時間を、想わずにはいられない。

 

これからタッチを重ねるごとに、少しずつ、それぞれの個性が生まれてくる。

そして、ふたつのリングは、やがてひとつになる。

 

リング表面の削り出し作業がひと段落をし、次は内側の造形に取り掛かることにした。

ヤスリを当て、内側を丸く、なだらかなカーブに整えていく。

左側のエッジを一周削り、同じ強さで右側も削る。

僅かに角度を変化させつつ、もう一度左をなぞりながら一周。

浜辺に打ち寄せる波のように、均一なリズムでタッチを繰り返していった。

 

こうした単調な反復作業が、案外と好きだ。

金属を削る小さな音が響くアトリエの中で、心がすっと平になっていくのがわかった。

 

庭に白いハイビスカスが咲き始めたら、夏がもうすぐそこまでやってきている合図。

 

お隣さんから、畑で採れたばかりのスモモをいただいて、さっそく少し食べてみたら、まだまだ酸っぱすぎた!

気がつけば、また同じことをやっているような。

毎年のことのはずなのに。

忘れていた季節の驚きにふと立ち止まる。

スモモはもう少し時間をかけて、甘さが深まるのを待つことにしよう。

ジュエリー作りも、島の時間に寄り添いながら、ゆっくりと育んでいこう。

 

 

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大好きな海でつながる結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島サウスに、夏の気配が漂い始めている。

梅雨のあいだ、水平線に重たくかかっていた雲は、ずいぶんと薄れてきた。

 

昼間はぐっと暑さを感じるようになり、久しぶりの晴れ間に誘われて、ビーチへ出かけることにした。

浜辺をのんびりと歩いていると、打ち寄せる波の勢いや、少しひんやりとした水が、とても心地よかった。

 

いつものビーチは、アトリエから車で15分走ったところにあり、平日の昼間には決まって誰もいないので、心を静かに整えるにはちょうど良い場所かもしれない。

新しい制作が始まる前には、ここにやってきて、作業のイメージをゆっくりと広げていく時間がとても好きだ。

これから結婚指輪をお作りするお二人と、大好きな海で繋がっているということも、なんだか素敵なタイミングのように思えた。

 

緩やかな風が、山から海へと通り抜けてゆく。

水平線の方角から差し込む光が眩しくて、思わず目を細くする。

潮騒に包まれているのに、不思議と、静けさの中にいるように感じられる。

 

そうだ、このフィーリングなんだ。

ほんの15分ほどだったのに、気がつけば、新しくなっている自分がそこにいた。

 

アトリエに戻り、さっそく作業机に向かい、指輪作りに取り掛かることにした。

鉄鋼ヤスリを手に取り、リングの表面を思い切りよく削り出していく。

光も音も、風も。まだ海の余韻に包まれている。

 

水の中にいる時も楽しいけれど、海にまつわる暮らしやジュエリー作りが、やっぱりとても好きだなと思う。

 

お二人がアトリエを訪ねてくれたのは、島に新緑が芽吹き始めた春先のことだった。

一緒にコーヒーを飲みながら、お二人の出会いについて、思いきって訪ねてみたのだけど、

「二人ともサーフィンをしていて、海で出会ったのです」と話してくれたのが、とても印象的だった。

 

「本当に、海の上で?」と、わたしが聞く。

「そう、海の上で」と、おふたりが笑って言う。

 

屋久島と千葉と。遠く離れた場所に暮らしてはいるけれど、大切なことで繋がっていることが、嬉しい。

こうして指輪作りをご一緒できることが、自然の流れの中にあるように感じられて、心から信じられるように思う。

おふたりとの、素敵な出会いにありがとう。

 

夕暮れ時には、一日の作業がひと段落した。

作業机の上に並べた二本のリングを眺めると、削り落とされた金属片がキラキラと輝いて綺麗だった。

お二人のリングは、お揃いのシャンパンゴールドで作っている。

 

シャンパンゴールドには、ゴールドの煌びやかさの中に、どこか植物のような穏やかさがあり、有機的でやわらかな手触りを感じることができる。

自然の中で過ごす時間を愛するお二人に、ぴったりの素材のように思う。

 

これまでお二人と大切に育んできたイメージが、いよいよかたちになり始めたところだ。

じっくりと、ひとつひとつのタッチを重ねていこう。

このシャンパンゴールドに、海のリズムを刻み込むことができればいいと思う。