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海と太陽、シャンパンゴールド。おふたりの結婚指輪作りが始まるとき #屋久島でつくる結婚指輪

夏の太陽が水平線に沈むころ、わたしは島の西側にあるビーチにいた。

日中は外に出るのも憚られるほど強い日差しが降り注いでいたが、この時刻になると、むしろひんやりと感じるほどだった。

 

空が芳醇な色彩に包まれている。

秋が近づいてきているせいだろう。

この季節は、空気中の水蒸気やちりが少なく、透明度が高いため、赤やオレンジ色の光がより鮮やかに見えるのだ。

 

わたしは波打ち際を歩いていたので、光が水面に反射してきらめきが眩しく、思わず目を細めてしまうほどだった。

最初は波の音も騒がしく感じられたが、やがて慣れて、むしろ当たり前のことになっていた。

 

手の中にあるシャンパンゴールドは、夕暮れの光を鏡のように反射させた。

角度を変えると、打ち寄せる波のリズムに呼応するように、ゆらゆらとその輝きをオレンジ色の空気の中に漂わせていた。

 

海のリズムと響き合うシャンパンゴールドの色彩が、その情景に溶けて見える瞬間もあった。

 

海で過ごしたひとときのおかげで、とても自然な心持ちで新しい作業に向かうことができた。

 

   シャンパンゴールドは手の中ではとても硬かったが、炎に包んで焼きなますと、わずかに柔らかくなった。

最初の一歩は、リングの幅となる部分に大きな抑揚をつけていくことだったが、

金槌を片手に、力を込めて角張った棒の両端を叩いていくと、その部分が少しずつ薄く、平らになっていった。

たぶん、その一歩をうまく踏み出すことができたのだと思う。

 

おふたりと一緒にデザインを育んで、もう半年ほどが経った。

思い描いてきたのは、海や波、そして太陽。大好きなリズムを感じるリングだ。

 

屋久島から海を越えて、おふたりは遠くに暮らしているけれど、

ビデオを介して話をしたり、サンプルリングを作ってお送りしたり、そのような調整を繰り返していると、その半年の時間はとても充実したもので、それほど長くは感じられなかった。

 

これまで大切に分かち合ってきたイメージが、今、目の前で、少しずつ形になりつつある。

細やかなタッチを加えるたびに、シャンパンゴールドが新しい表情を見せてくれる。

その変化を静かに眺めているだけで、なんとも言えない満ち足りた気持ちになれた。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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屋久島に咲いた ひとひらの 花。おふたりに届ける祝福のジュエリー #屋久島でつくる結婚指輪

おふたりが久しぶりにアトリエを訪れてくれたのは、クリスマスにお会いした日から8ヶ月が過ぎた真夏の昼下がりのことでした。

 

「すごく楽しみにしていました!」

彼と彼女が、爽やかな笑顔で言ってくれました。

 

あの日からコツコツと作り進めてきたジュエリーを、手に取っていただける。なんとも幸せなひとときです。

 

菜の花、紫陽花、ツワブキの花

わたしも大好きな屋久島の花をモチーフに、ピアスとネックレス、そしてリングをお仕立てしました。

こうして一緒に並べてみると、小さなお花畑のようで、胸がときめきます。

ゴールドとプラチナ、ダイヤモンドが、やわらかな輝きをまとい、生き生きとした表情を見せてくれました。

 

そのジュエリーがとても素敵に似合っていたおふたり。

きっとそれは、島を大切に想う“響き”のようなもので、わたしとおふたりがやわらかく結ばれているからだと思うのです。

 

冬の寒い頃に始まった指輪作りのなかでツワブキが咲き、春先には菜の花が、やがて雨の季節を迎えると庭先に紫陽花が咲きました。

 

島のリズムの中で育まれた、とてもゆっくりとしたジュエリー作りだったけど、

こうして季節の巡りをおふたりと共にできたのも、かけがえのない時間だったように思います。

 

いつもあたたかく見守ってくださり、ありがとうございました。

 

屋久島で過ごしていると、祝福のような色彩や煌めきに、ふと出会う瞬間があります。

南国の空気の中で生まれた、小さなジュエリーたちです。

その喜びを、おふたりと一緒に分かち合えると、何よりも嬉しく思います。

 

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雨の香り プラチナとダイヤモンドで紡ぐ、アジサイの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

喜びのとき。屋久島に咲く花をかたどって、ネックレスとピアスを作りました #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島サウスに漂い始めた春の風と、ナノハナの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪

静かな響き。小さな月のネックレス #屋久島でつくる結婚指輪

昼間に眺めた月あかり。

屋久島の海からいただいた夜光貝と、イエローゴールドを組み合わせて、小さなネックレスをお仕立てしました。

 

その穏やかな輝きにふれていると、まるで静かな夜に包まれているような、やさしい気持ちが広がりました。

 

海の月ネックレス 18k yellow gold, island shell

 

ふとしたとき、月の響きに癒される。

もう何十年も眺めているはずなのに、ずっと変わらないのが不思議です。

 

夜光貝の月は、8mmほどの大きさにかたどりました。

とても繊細なスタイルですが、移ろう輝きや豊かな色彩を楽しめるのが、夜光貝の大好きなところです。

 

個体や切り取る場所によっても、大きく印象が変わってくるので、

作っているときは、ずっとドキドキでしたが、

今回も美しい表情に出会えたことが、うれしい。

 

今ここにある、一つだけのジュエリーに仕上がったのだと、しみじみと思います。

 

光の条件や、そのときの心持ちで、見え方や感じ方がいつも新しくなるのは、

あるいは、月も同じなのかもしれません。

 

肌に直接触れる裏側の部分には、イエローゴールドのプレートを合わせました。

そこに細いチェーンを通すように仕上げておりますので、

首元に小さな月が浮かぶような印象を楽しんでいただけたらうれしいです。

 

おふたりにとって、大切な記念のひとときとなりますように。

 

ネックレスは、ケースに大切に収め、リボンを結んで、海の向こうにお送りいたしました。

 

プロポーズのためのジュエリー作りにご一緒できたことは、わたしにとっても、かけがえのない時間でした。

 

満ち欠けのリズムを繰り返しながら、月がやさしい光を足元に投げかける日々は、

まるで、大切な人と過ごす明るいひとときのようでもありますね。

 

昼間も、雨の日も、

このやわらかな光が、そっと包み込んでくれますように。

 

8月末日。まだまだ夏の暑さが続く屋久島のアトリエより。

 

 

Grateful in the Morning Breeze #YakushimaWeddingRingsStories

I had been absorbed in work that demanded deep concentration, unable to do anything else.

On the third morning, I managed to bring it to a good stopping point, and looked at its outline in the sunlight that heralded the beginning of the day.

Before I knew it, the air had turned into something far from summer.

 

The platinum and yellow gold are gently braided.

It looked so airy, but I could feel its solid weight.

In the clear morning light, the small ring was creating pleasant shadows.

Beside it, the morning dew sparkled.

The brilliant green of summer is all around.

I breathe in silence.

In the flow of time on Yakushima, everything was in harmony, echoing together.

 

I will set the ring with green and blue gemstones.

I think those colors carried the same feeling as this morning.

It’s a wedding ring inspired by plants and water.

I want to give it a lively expression, one that feels fresh and full of life.

 

Grateful for the seasons that stay close to me, and for the gentle warmth with which you both watch over me.

 

This delightful process will go on a little longer.

 

 

Work In Progress

Feeling that Quiet Yet Flowing Vibration #YakushimaWeddingRingsStories

結婚式を彩るヒマワリのネックレス。屋久島に響く夏の光 #屋久島でつくる結婚指輪

おふたりの結婚式に合わせてお仕立てした、ヒマワリのネックレス。

彼からのサプライズのプレゼントを思いながら、胸を躍らせて迎えた結婚式の週末でした。

一度きりの大切な瞬間にご一緒できた、幸せな夏の日々でした。

 

ヒマワリのネックレス 18k yellow gold, platinum, citrine

 

永遠に育まれる喜びをイメージし、

プラチナとイエローゴールドを組み合わせてお仕立てしました。

中央にセットした大粒のシトリンが、澄み渡る光をまとっています。

 

ひまわり畑に佇んで、ネックレスをかざしてみると、

黄色い光に響き合い、島の夏に溶けていきそうに感じられました。

 

しっかりとした重みを持つペンダントトップが、

漂う海風にゆらゆらと揺られ、

波音と虫の音がすべてを包み込んでいます。

 

それでも不思議と静かに感じられるのは、

屋久島が持つ、美しい時間のせいでしょう。

 

「結婚式は、彼女が大好きなヒマワリをテーマにした演出になっているんです」

彼が嬉しそうに話してくれたことを、ふと思い出しました。

 

曇り空だけど、とても暑かった真夏の昼下がり。

 

数ヶ月前に初めてお会いしたおふたりですが、

目には見えない“響き”のようなものを大切に思う気持ちで、

どこか深くつながっているような気がします。

 

そして今、こうして幸せなひとときを共有できていることを思うと、

この瞬間がいっそう愛おしく、大切なものに思えてきました。

 

これからも、ささやかな喜びを大切な人と分かち合いながら、お互いの日々を歩んでいけると素敵ですね。

そしてまたいつの日か、お互いの近況を語り合うことができれば嬉しく思います。

 

屋久島から、おめでとうございます。

美しく紡がれゆくお二人の未来を、海をこえて想っています。

 

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屋久島のアトリエにて。お二人と歩んだ結婚指輪作りのエピローグ #屋久島でつくる結婚指輪

お二人の繋がりと、大好きな屋久島を感じる結婚指輪を作りたい! #屋久島でつくる結婚指輪

 

Feeling that Quiet Yet Flowing Vibration #YakushimaWeddingRingsStories

The horizon.

Day and night.

I can feel an overflowing energy in those moments when nature’s rhythms converge.

And perhaps—the days shifting from summer to autumn.

I believe the jewelry—crafted from platinum and yellow gold—carries that same sense of vitality.

 

Here in southern Yakushima, the plumerias are in full bloom.

Especially in the early mornings, I often notice a gentle coolness in the air.

The season is surely changing.

 

I am making his wedding band, feeling that quiet yet flowing vibration.

 

Braiding hard platinum and gold as if they were soft, flowing cords.

It’s almost like mizuhiki—graceful and symbolic of blessings.

 

Little by little, with great courage.

I had to apply more pressure to bring the two metals together and shape them into a flowing line.

 

I felt a quiet joy, standing in that moment as the small ring we designed together took shape.

I could sence the first breath of life within that small ring.

 

 

 

Work In Progress

When the Rain Falls, When the Ring Begins #YakushimaWeddingRingsStories

When the Rain Falls, When the Ring Begins #YakushimaWeddingRingsStories

There’s something gentle and comforting about creating jewelry on a rainy day.

The low-pressure system had turned into a typhoon and unexpectedly came close to Yakushima Island.

Fortunately, the wind hasn’t been so strong, but it has been raining steadily these past few days.

 

I’ve been at my desk, wrapped in a calm and peaceful feeling.

It feels like the perfect time to begin a new creation.

 

His ring is inspired by the vitality of plants and water —the source of all life.

I can feel all of that here in my life on this island.

He and she must know this deep green, moist atmosphere, too.

I was thinking about my friends who visited Yakushima a few years ago.

 

Now, let me talk a bit about the making process.

 

I pressed round wires of 18k yellow gold and platinum through a heavy roller,

flattening the top and bottom while keeping the sides rounded.

I adjusted them to a thickness of 1.5mm and a width of 1.9mm.

I’ll be making a ring by braiding these long, slender wires together.

 

I remember making many prototypes and having many discussions with him.

I feel like the dots we’ve created together are finally beginning to connect into a line.

 

Thank you, as always, for your kindness.

 

When the rain softened, I stepped out into the garden with an umbrella.

The hibiscus looks so happy, covered in raindrops.

The green was so deep, and the bright red color stood out beautifully in it.

While I was quietly watching the tiny yellow grains, the rain began to fall once more.

And so, I hurried back to the atelier.

 

In that way, the moments of jewelry-making quietly flowed on.

 

 

 

 

I made her wedding ring to match and flow with her engagement ring.

When a Wedding Band Echoes the Engagement Ring in Quiet Joy #YakushimaWeddingRingsStories

 

A Story of His Ring and the Seasons

An Octagon Ring for the Rhythm of the Seasons #YakushimaWeddingRingsStories

 

We met in Kyoto when the cherry blossoms were in full bloom.

Under the Cherry Blossoms in Kyoto #YakushimaWeddingRingsStories

ご結婚10周年のネックレス。屋久島で祝うおふたりの歩み #屋久島でつくる結婚指輪

爽やかな夏空に包まれたアトリエで。

おふたりのご結婚10周年をお祝いしました。

 

秋にお会いしてから少しずつ育んできたデザインがかたちとなり、

この日、はじめて手に取っていただくことができました。

 

新婚旅行に訪れた屋久島は、おふたりにとって、今もずっと特別な場所で、

そのご縁もあって、大切な記念のジュエリー作りのお声がけをいただきました。

 

そういえば、わたしたち夫婦も、新婚旅行は屋久島だったような。。。

 

この島には、偶然とは思えない繋がりを導いてくれる、強い引力のようなものが満ちているような気がします。

東京から、海を越えて会いに来てくれてありがとう。

 

オーダーメイドでお仕立てした、“月の満ち欠けネックレス”は、これまでにない新しいデザインとなり、わたしにとっても特別なジュエリーになりました。

 

なにより嬉しかったのは、

お仕立てしたネックレスを手に取って、身に着けていただくその瞬間に立ち会えたこと。

 

丸いゴールドの大きさも、少しだけ長めに調整しておいたチェーンも、ぴったりで。

おふたりの幸せな心地が、わたしにも響いてきて、

部屋の中も、ふわりと明るくなったような気がしました。

 

その喜びに呼応するように、夜光貝が静かに輝いています。

 

窓越しにハイビスカスを眺めながら、会話を楽しんでいると、

「ゆうこさんもご一緒に記念撮影を」と、何気なく声が上がりました。

 

おめでとう、ありがとう。

 

夕暮れ時の庭先で、心あたたまるひとときが、静かに流れてゆくのでありました。

 

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ご結婚10周年の記念にオーダーメイドしました。“月の満ち欠けネックレス” #屋久島でつくる結婚指輪

ご結婚10周年の記念にオーダーメイドしました。“月の満ち欠けネックレス” #屋久島でつくる結婚指輪

ご結婚10周年の記念に、ペアのネックレスをお作りしました。

イエローゴールドに浮かぶ、夜光貝の月。

“月の満ち欠けネックレス”

ふたつのリズムが寄り添い、静かに響き合いました。

 

 

「ふたつでひとつになるようなイメージで。

大好きな屋久島で生まれた夜光貝を使っていただけると嬉しいです。」

おふたりからオーダーメイドのご相談をいただいたのは、ちょうど去年の秋のことでした。

 

「夏の屋久島で、直接お受け取りいただけるよう、お作りいたしますね」

そのような楽しみを分かち合いながら、共に歩んだオーダーメイドの日々でした。

儚さをかたちにすること。三日月のネックレス制作記 #屋久島でつくる結婚指輪

 

おふたりの大切な想いをお聞きしたとき、

すぐに、この“月”のイメージが思い浮かびました。

そのときのことは、今でも鮮明に覚えています。

 

まるでそのデザインが、ずっとこの日のために、大切に保存されていたかのように。

不思議なくらい、自然に。

 

彼女のペンダントは、少し小さいイエローゴールドの丸に、

三日月をかたどった夜光貝を添えました。

新月から満ちてゆく、はじまりのイメージです。

 

そして、彼のペンダントは、ひとまわり大きな丸に、

満月がゆっくりと欠けていく、穏やかな時間を重ねました。

添えたのは、オムレツのようなかたちの夜光貝です。

 

それぞれは、それぞれの輝きを宿す、ただひとつの月であり、

同時に、異なる角度から眺める、同じひとつの星でもあります。

 

夜光貝とゴールドが纏うそのやわらかな光は、

きっと、お互いの歩みを照らし合う、あかりのような存在であるのかもしれません。

 

ネックレスをそっと手に取って、波打ち際を歩いてみる。

丸いゴールドの大きさは、およそ8mmと12mm。

繊細なフォルムながら、手のひらには、たしかな重みが伝わってきます。

 

夕暮れ時の陽ざしを受けて、三日月の隣にセットしたダイヤモンドが強く煌めいていました。

 

8月の海水は驚くほどに温かくて。

 

ときおり強く吹く海風が、ふたつのペンダントを揺らし、

そのたびに角度を変えて、夜光貝が新しい表情を見せてくれる。

その時間がとても美しくて、まるで夢の世界にいるようでした。

 

 

島に暮らしていると、ときおり空気の中に、

自然の神秘のようなものがふっと漂うのを感じることがあります。

そのような美しい瞬間を分かち合うことができる誰かがいると、日々は癒しに包まれます。

 

月は今日も、形をとどめることなく、

静かな鼓動を繰り返しています。

 

私たちも、歩み続けていかなくては、ですね。

 

そしてその癒しが、やがて一滴の雫となり、

小さな波紋を描きながら、どこまでも広がっていくとしたら、

それはとても素敵なことだと思います。

 

楽しいジュエリー作りをありがとうございました

 

夢の続きは、またアトリエで。

 

 

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癒し合う。大好きな花をモチーフに、結婚指輪を作ること。#屋久島で作る結婚指輪

作業が始まる前に、朝のやわらかな光の中でリングを眺めるひととき。

 

熱帯の雰囲気に包まれる屋久島サウスでは、ハイビスカスはもっとも親しみ深い花のひとつのように思う。

 

アトリエでは、生垣がぐるりとハイビスカスの木でできていて、

暮らし始めると、この赤と緑がいつも守っていてくれているような、

とても親密な想いを感じるようになった。

 

花には、全てを受容するような、癒しの魔法があるように思う。

 

 

菜の花をかたどるピンクゴールドのリングに続き、

彼のシルバーリングを作り始めたところまでを書きました。

ピンクゴールドからシルバーへ。静かな夏の日々の記憶 #屋久島でつくる結婚指輪

 

花をモチーフにジュエリーを作っていると、なんだか元気になれる。

作業机に向かっているとき、豊かな色彩と香りに包まれているような気がして、心が安らかになる。

 

本当の意味で、花のようなジュエリーを作ってお届けできれば嬉しいし、

花のような人にもなりたい w

 

日々の暮らしの中で、何気なく、わたしたちが互いに癒し合うことができれば、それはとても素敵なことかもしれない。

 

さて、今日も作っている。

彼のシルバーリングは、シンプルなスクエアシェイプのフォルムに仕上げていくのだけど、

表面はもちろん、側面も、内側にもヤスリを入れ、しっかりと削り出していく。

シャープですっきりとしたフォルムの中に、手の中にある温度のようなものを響かせていく。

 

指に触れる内側部分は、大きくラウンドをさせ、やわらかな質感に仕立てた。

しっかりと厚みを持たせて強度を保つことを意識しながら、少しずつ、全体のバランスを整えていく。

 

内側の角と表面の角には、精密ヤスリをすっと当てて、尖ったエッジを丁寧に落としていく。

 

一見、シンプルに感じられるデザインだからこそ、作り手の考え方が、より明瞭に浮かび上がってくるように思う。

あるいは、お二人の大切な想いや、制作を取り囲む島の季節だってそうかもしれない。

そうした自然の中に漂う息づかいのようなものが、細部に宿っていくようなものづくりが、とても面白い。

 

紙やすりで磨き上げる前に、リングを電気炉に入れ、200度の温度の中で1時間、ゆっくりと熱を巡らせておいた。

こうしておくと、シルバーはより堅く、安定した手触りに仕上がるからだ。

 

作業をひと段落する頃には、空はオレンジ色に染まり始めていた。

その美しい色彩に魅せられて、急いで庭先へ。

 

ずいぶん暗くなってきたのに、まだ暑さの余韻が残っている。

南の島ならではの、重たい湿度も、どこか心地よく感じられた。

 

季節が静かに移り変わっていく気配を感じられたのも、

おふたりの指輪作りがひと段落したタイミングと重なって、

自然の流れのようにも思えた。

 

彼女のリングにはダイヤモンドをセットし、

彼のリングには、彼女と同じモチーフの模様を彫刻すると、

いよいよ完成を迎えることになる。

 

深まる夏の色彩の中で、

少し先の未来を思い描きながら、

ゆっくりと深呼吸をした。

 

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ピンクゴールドからシルバーへ。静かな夏の日々の記憶 #屋久島でつくる結婚指輪

カメラを空に向け、シャッターを切ると、トンボたちがフレームインするようになってきました。

いよいよ八月も後半にさしかかりました。

 

そういえば、夜明けはいつの間にか遅くなってきたように感じますし、

この頃は、夕焼けがオレンジ色に染まる光景にも、よく出会う気がします。

そろそろ、美味しいかぼちゃも市場に並ぶ頃でしょうか。

 

深みを帯びつつある島の季節に、胸を高鳴らせつつ、

もう少し夏が続いてほしいような気もしているこの頃です。

 

さて、アトリエでは、新しい作業が始まっています。

これまでピンクゴールドで作り進めていた、菜の花の指輪と対になるシルバーリング作りです。

 

お花のフォルムをそのままかたどった彼女のリングに対して、彼のリングは、シンプルな平打ちのデザインで造形を進めてまいります。

ふたつのリングには、素敵な繋がりをもたせて仕上げていく予定なのですが、それはまたもう少し先のお楽しみにとっておきましょう。

 

まずは、シルバーの板をローラーに通すところから。

寸法に微調整を加えながら、目標の数値に近づけていきました。

 

シルバーは、ゴールドやプラチナと比べ、柔らかい傾向のある金属なので、

強度を高めながら工程を進めていくことがとても大切になってきます。

 

これは、つけ心地や耐久性を支える重要なところ。

表には現れない部分を、しっかりと頑張っていきます。

 

くるりと丸く造形したシルバーリングには、

金槌で強く打ち付けて、さらに圧縮をかけていきました。

 

表面をコンコンと打ち付け、そして側面も。

リングの幅と厚みが0.2mmほど圧縮されるまで、何度も同じタッチを繰り返していきます。

 

工程をひと段落すると、金槌で叩いた深い痕跡を、リングの表面にしっかりと見ることができました。

その凸凹した表層部分を、鉄鋼ヤスリで削りとり、いよいよここから本格的な造形作業を始めることになるのです。

 

ふと、ざーっと音が聞こえてきて、窓の向こうに目をやると、

久しぶりに雨が降り始めていました。

かと思えば、すぐに雨雲は海のほうへと遠ざかり、夏の強い日差しが、またアトリエを包み込みました。

 

いつも変わらない、島のリズムだけど、

こうしてゆっくりと手を動かし続けていると、なんだかとても、心が平らになっていきます。

 

このようにして、愛おしき夏の日々は、静かに繰り返されていくのでした。

 

 

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制作編

あこがれの結婚指輪に出会うとき。ピンクゴールドとダイヤモンドで紡ぐ、ナノハナの指輪 #屋久島でつくる結婚指輪