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サウスの月とノースの太陽。屋久島とともにあるお二人にお結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

午前5時過ぎ。

アトリエを出る頃にはまだ当たりは暗く、月を眺めることができた。

 

夜明けのグラデーションとともに1時間ほど車を走らせて

 

ノースに到着すると、ちょうど太陽が登り始めたところだった。

しかも、もう四人も仲間が集まっている!

 

ノースでは東の海に日の出を眺めることができるのが嬉しい。

サウスとはまた山々の見え方も違っていると思うし、冬になるとここは驚くほどに寒くなる。

 

同じ島の中でもまた違った風情のあるノースを訪れるのは小旅行のようでいつも楽しい。

 

 

今結婚指輪をお作りしているお二人は同じ屋久島のノースに暮らしているので、

奥岳を望む美しい情景に囲まれて暮らしているはず。

ノースには新月堂さんもあるし、パノラマさんもある。

屋久島の日々に癒されながらお二人の結婚指輪を作っている #屋久島でつくる結婚指輪

 

宮之浦で早朝の波に乗ってアトリエに帰ると時計の針は8時を指していた。

しっかり目に朝食を食べてコーヒーを入れて、作業机に向かう。

それでようやく9時になるところだった。

体の中にはまだ海の感覚が残っている。

なかなか素敵な指輪作りの始まりだった。

 

考えてみると、リングを横から眺めると太陽や月と同じように丸くて、

確かにそこに惹かれるところもある。

リングをどの場所を切り取っても均一な曲面となるように鉄鋼ヤスリで表面を削り取っていく。

一周回るとほんの少しだけ角度を変えてまた一周、そして角度を変えて一周。

できるだけ同じ力で何度もタッチを積み重ねていく。

 

リングの表面がつるりと丸くなったところで、そっと当ててみる。

ラウンドシェイプならではのアウトラインから柔らかさと繊細さが伝わってくる。

そしてそこには確かなプラチナの重みを確かめることができた。

 

それはまるでこれまで長い年月を連れ添ってきたような、とても親密なフィーリングだった。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

屋久島の日々に癒されながらお二人の結婚指輪を作っている #屋久島でつくる結婚指輪

 

作業の前に庭先で過ごす束の間が日々のささやかな楽しみになっている。

いつもの当たり前の情景のはずなのに夢中になってしまうのは何故だろう。

木々の合間から降り注ぐ太陽の光が一日の始まりを告げ、夜の間に草花に宿った雫たちがキラキラと輝いている。

 

ツユクサにも出会えてなんだかいいことがありそうな予感。

小さなブルーにむっちゃ癒された。

 

 

何気ない喜びを分かち合える誰かがいると日々は鮮やかに彩られる。

新しい暮らしを歩み始めたお二人は屋久島の友人でもある。

同じ屋久島に暮らすお二人の結婚指輪作りを始める日 #屋久島でつくる結婚指輪

 

確かにツユクサはいつもの暮らしの中で出会ういつもの花ではあるけれど、

ふとした瞬間にあたたかな気持ちに包まれるような、結婚指輪もツユクサのようであれば素敵だなと思う。

 

ここにあり、そして育まれゆくお二人の日々を想いながら。

今日も作業机に向かっている。

 

彼女のリングは1.5mm幅。彼のリングは1.8mm幅。

とても細いスタイルの結婚指輪である。

プラチナは特に硬くなるように配合をして使うことにした。

 

日々の暮らしとともにある結婚指輪だから。

繊細で軽やかでありつつも、しっかりと丈夫に仕上げていかなくてはならない。

 

酸素トーチの炎にプラチナを包み込む。

両端を繋ぎ合わせてリングになると安定感と強度を増す。まるで手と手を取り合い大切な約束を交わすように。

 

 

作業がひと段落したところで、庭先に出てふわり。

やはり緊張感のある作業が続くので、緑や遠い空を眺めることができる屋久島暮らしには救われていると思う。

 

台風で一度クリアになった生垣のハイビスカスたちがまた元気に咲き始めている。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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同じ屋久島に暮らすお二人の結婚指輪作りを始める日 #屋久島でつくる結婚指輪

 

 

夕暮れ時にいつものビーチを訪れると、太陽の光が溢れるほどに降り注いでいた。

水平線のずっと向こうを眺めようとすると眩しくて、なんだか少し嬉しくなる。

 

台風が去って空気も心も新しくなった気がするぞ。

ノースの夏はどうだろうか。

 

浜辺を少し歩いて、ふと思い出す。

アトリエからからバックに入れて持ってきておいた2本の細いプラチナを取り出して手にすと、プラチナは一瞬のうちに波音に包まれた。

 

同じ屋久島に暮らしているお二人の結婚指輪作りを始めるには、とても素敵なタイミングのように思えた。

 

 

屋久島の北部に暮らすお二人がアトリエにきてくれた相談会。

思えばあれが夏の始まりだった。ハイビスカスもたくさん咲き始めていた。

お二人とともに歩み始めた結婚指輪作り #屋久島でつくる結婚指輪

 

屋久島で暮らしていなければなかっただろうなと思える出会いはたくさんある。

ここに暮らす仲間も、海の向こう側にも、いつも恵まれている親密さには感謝の気持しかない。

新たな時間を歩み始めるお二人とご一緒できることは何よりも幸せなひと時だと思う。

 

車で1時間ほどの距離にあるお二人とはサウスのアトリエだったり、ノースの港付近に佇むホテルのカフェでお会いすることができた。

一緒に紡いだ印象は季節の中で育まれ、いよいよ形になる時がやってきた。

 

その時は短いかもしれない、けれど一度だけの夏になるに違いない。

喜びを分かち合いましょう!

まずはファーストタッチを。

 

屋久島にありがとう。

素敵な出会いにありがとう。

 

 

屋久島でつくる結婚指輪

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シンプルなシルバーリングが世界に一つの結婚指輪になる物語 #屋久島でつくる結婚指輪

おかげさまでアトリエのある南部は停電もなく無事に過ごすことができました。

台風は去り、気がつくとお二人の結婚指輪作りは佳境へと時を進めている。

 

丸く端正な輪郭を得たリングは石膏でできた窯の中に収めて低温で1時間ほど“焼き”を入れて、その組成を硬くさせた。

窓の向こうから聞こえてくる蝉の鳴き声がなんだか少し懐かしく感じられる。

いよいよあと少しだ。

 

内側にはさらにいくつかのタッチを多く加えておく。

やがてそこに柔らかな光沢とつるりとした質感が現れる。

ここにはお二人の大切な印を刻むことになっているので、できるだけプレーンな状態に仕上げておきたい。絵の具を乗せる前の真っ白なキャンバスのように。

 

もう何ヶ月前になるだろうか。

指輪作りの始まりに、お二人のお名前とお名前と日付を筆記体で綴ったオリジナルの刻印データを送ってきてくれた。

その刻印の向かい側には島の暮らしで馴染み深いリーフの模様を彫刻することになっている。

 

とてもシンプルなシルバーリングはあと少しすると世界に一つの結婚指輪になる。

 

お二人の大切な想い、沖縄での暮らしの中に必要なこと、そして屋久島とわたしと。

今ここにある時間から生まれるデザインがとても興味深い。

 

 

ひさしびりに山々を眺めた。

まだ雨は少し降っている。

それにしてもこの島でしか味わうことのできない日々だったな。

指輪作りの時間を少し振り返りながら。

 

山々を覆う雲の合間を抜けて窓から降り注ぐ光の下でお二人のリングを眺める。

 

彼の3.0mm幅と彼女の2.3mm幅。

その丸いアウトラインが滑らかすぎて!

お揃いの2本のリングがガラスケースの中でゆらゆらと踊っているようにも見えたワンシーン。

 

 

お二人はとてもハードな日々を過ごしたと思うけれど、

偶然にもお互いの島に台風がやってきて、なんだか強い引力のようなものを感じながら作業机に向かう日々でした。

 

それでもわたしたちを惹きつけてやまない南の島暮らしなのかもしれませんね。

いつもあたたかく見守っていてくれてありがとう!

 

沖縄と屋久島を紡ぐ指輪作りはまだもう少し続いてゆくのだが。

けれど、これはまだ少し先のお話に。

夏の終わりに完成編を語ることにしよう。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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制作編

今この瞬間を大切に。今日も作業机に向かっています。 #屋久島でつくる結婚指輪