朝の紫陽花とプラチナリング
お話は少しだけ前に戻りまして、
これはまだ雨が降り続いてた頃。
金槌で表面をコンコンと叩いて出来上がったリングを持ち出して、
お気に入りの紫陽花placeに向かったんです。
くるりくるりと、紫陽花の下で凹凸の表情をチェックしていると、
屋久島の植物を写しこんでキラリと輝いたプラチナリング。
虫の音も、雨音も、指輪も、全てが一つのように感じられ、
小雨ちらつく中、しばらく魅せられていた。
その様子を動画にも収め、しずくギャラリーのインスタグラムのストーリーにアップしたところ、
「6月生まれなので、紫陽花が大好きだったので、綺麗な紫陽花の写真見れて、心が洗われました」
お二人からそんな嬉しいメッセージも届いた。
制作編
アトリエに戻ってiphoneを開くと、
天気予報は屋久島に久々に晴れ間が広がると言っていた。
ちょうど指輪作りもひと段落したところだったので、
今だ!と裕子さんと一緒に森へ向かうことにしたんです。
猿の間を抜けて
初めて入る森へ。
この黄色の看板が味わい深かった。
工芸作品のようだったシダの葉たち。
島を初めて訪れたときからずっとこのシダに夢中で、
シダの指輪
シダ模様のマリッジリング
シダのペンダント
シダのブローチ
2本のシダの交差する指輪
リング内側に彫り込むシダ模様
しずくに彫り込んだシダ模様
ゴールドにシルバーにプラチナに、、
これまで作ってきたくさんシダモチーフのジュエリーたちがイメージの中に現れては消えていった。
休憩中の一コマ、
ここから果てしなく歩くことになるなんて、
思いもしなかった!
途中、あまりに斜面がきつくって腰を下ろした時、素敵な花が視界に入ってきた。
しばらく眺めて元気を取り戻し、再び歩き始める。
本当に大きなものを前にして、空間が歪むというか、
いつもとは違う時間に自分達も存在しているような気持ちに包まれた。
裕子さんにそのことを伝えてみると、
彼女もまた時間について深く考察していたようで、
生きること、
時間を短く刻むこと、
思考の世界のこと、
などなど、村上春樹さん的な境地に達しているようにも見受けられ、
オレの方は
うん、そうだよね。とわかったような相槌を返しておいた。
そんなこんなの森歩きでしたが、
あの大雨の影響も全くなく、森までの道路も完全に復旧されて
快適そのもののコースを楽しむことができました。
この梅雨を抜けるとまた、いつもの夏がやってきそうだ。