お二人のプラチナリングはとてもシンプルに出来上がりました。
でもそれは特別な結婚指輪でした。
オーダーメイドで生まれた一つだけの煌めきを屋久島の緑の中で眺める幸せ。
春の小花にも出会えた指輪作りの始まり。
雨もたくさん降った潤いの日々だったな。
指輪が出来上がって、アトリエの庭先にはハイビスカスがいっぱいになりました。
オーダーメイドの制作を続けていると、季節がそれに歩みを合わせるように移り変わってゆく。
そんな時間もまた愛おしく思えてきます。
お二人との素敵な出会いにありがとう。屋久島の季節にありがとう。
木漏れ日のきらきら、ときおり強く吹く潮風、
出来上がったばかりのお二人の結婚指輪は島の祝福とともに。
シンプルで、特別で、
これはわたしも大好きな感じであることに改めて気がつきました。
お二人との結婚指輪作りでは、分かち合っていた大切な繋がりがあったように思います。
昔ながらの手作業でしかりと丈夫に、つけ心地柔らかに、
サイズをぴたりと合わせてオーダーメイドいたしました。
お二人の暮らしにずっと寄り添ってくれますように。
雨が上がりのアトリエには一年ぶりに蝶々もやってきた。
なんだか急に暑くなってきた。太陽の光が強く差し込んできている。山々を分厚く覆っていた霧が晴れたようだ。
そしてふと足元に目を戻すと、なんと白いハイビスカスが咲いていて驚いた。
早くも夏の気配なのだろうか。
お二人とご一緒した指輪作りの色々をしみじみ思い出しながら。
リングをそっと手の中に並べて眺めてみる。
「リングには天然石をセットしたいのです!」と、デザイン作りに始まりにお二人は伝えてくれました。
そしてお互いの好きなカラーを一粒ずつ選んでくれました。
彼女はクリアカラーのダイヤモンドをリングの側面に。
彼はブルーのサファイアをリングの内側に。
刻印の字体やレイアウトのバランスも相談を重ねてきたところだったので、
わたしも出来上がりがとても楽しみだったのです。
石をセットして刻印を施したお二人のリングは
少しずつ違ってはいるけれど、とても親密で揃わないところがなかった。
なんだか喜びが溢れてきてグッときました。
お二人の大切な時間にご一緒できて幸せです。
リング幅は彼女の2.0mmと彼の2.3mm。
重ね合わせると、もともと一つだったものが二つになったようにも見えました。
クラシックなスタイルで例えるなら、それは運命なのかもしれません。
太陽の光を眩しく跳ね返すようでもあり、島の緑を深く写し込むようでもあり。
プラチナはさまざまな光の下でその表情を豊かに変化することができるのです。
有機的な質感はやっぱり手作業から伝わる何かがあるのでしょうか。
すっきりとシャープなデザインのはずなのに、とても柔らかなのですよね。
はるか昔から広く愛されてきたスクエアシェイプのデザインではあるけれど、
このリングはきっとお二人の雰囲気に近しいに違いない。
屋久島と東京で海を越えて3ヶ月ほどご一緒できて、お二人とはこれまでたくさんの言葉を交わしてきました。
サンプルの着用具合を動画を送っていただいたり、サイズの調整を重ねたりもしてきました。
そうして出来上がるジュエリーは、あるいはお二人のかけらのようでもあると思うのです。
それでもいつかお会いできると嬉しい。
指輪が出来上がるのはゴールのようでもありますが、
ここから新しい時間がスタートする楽しさもありますね。
おめでとうございます。
楽しい指輪作りをありがとうございました!
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