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屋久島の12月、ピンクゴールドの共鳴 #屋久島でつくる結婚指輪

窓の向こうを眺めると、眩しいほどの青空が広がっていた。

庭先のモンステラは、12月の澄み切った陽光を受けてキラキラと輝いている。

山々の稜線には、モコモコと綿飴みたいな雲が風に乗って通り抜けていくのが見える。

窓を開け放ったアトリエには、涼やかな空気が流れ込んでくる。

山茶花の生垣に鳥たちが集まり鳴いている。

爽やかな1日の始まりだった。

 

渡り鳥も帰ってきたし、もう少しでポンカンの収穫も始まるだろう。

案外、屋久島サウスの12月は忙しい。

ピンクゴールドと鮮やかな色彩に包まれた結婚指輪作りの日々である。

山茶花にメジロ。ピンクゴールドに宿る色彩。シンプルさと調和のデザインについて。 #屋久島でつくる結婚指輪

 

観光シーズンが終わり、お気に入りのカフェやレストランは春まで長いお休みに入ったわけだけど、そのぶん島にはとても静かな雰囲気が漂っていて、しかも窓を開け放っていても大丈夫なくらいに暖かい。

「おーい、ちょっとウチでコーヒーでも飲みに来なよ」と声をかけてくれていた友人たちも旅行に出かけ始める今が、作業に没頭できる季節なのかもしれない。

里に滞在して、遠くに山々を眺めながら、ゆっくり本でも読んで過ごしたいな、というインドア派の皆さまには、11月後半から12月中頃までの旅行をぜひともお勧めしたい。

 

さてさて、今日のアトリエです。

そんなわけで、この頃は作業のタッチが驚くほど早い。

 

いかに手数を少なく目的地まで到達できるか。

それは、職人としてずっと追い求めていることのように思う。

 

ピンクゴールドのリングにざっとマジックでラインを描き、鉄鋼ヤスリ一本を片手に表面を削り落とす。

くるりと一周削り、角度を変えてまた一周。

角を落とすように、何度も同じ作業を繰り返す。

リング左側面から中央までが終わると、次は右側面から中央へ。

左右が対象になるように、ここは休まず一気に進めていきたいところだ。

 

作業の合間に緑を眺めて癒されておく。

 

リングの表面にくるりと一周、緩やかなカーブを描くように削り落とした。

それは、1と0とを分つ境界でもあり、宇宙を漂う星々の軌道でもある。

 

リングには小さな息吹が宿り始めている。

温度を宿した力強さが、暗がりにぽっと灯る明かりのように、リングから手の中へと静かに響いてくるように思えた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

山茶花の咲くアトリエで。お二人と描く結婚指輪のかたち #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島のお住まいのお二人と結婚指輪の相談会。

アトリエでは山茶花が満開です。

彼が紙いっぱいに描いてきてくれた、理想のリングデザインに感動しました!

 

シンプルで特別な、お二人だけのデザインが生まれたように思います。

お二人との素敵な出会いに、ありがとうございます!!

屋久島でつくる結婚指輪

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山茶花にメジロ。ピンクゴールドに宿る色彩。シンプルさと調和のデザインについて。 #屋久島でつくる結婚指輪

アトリエの庭先に、メジロたちが集まってきている。

一年ぶりに眺めるそのフォルムは、コロリとしてなんとも愛らしい。

ほんと、ため息が出るくらいに。

 

作業の合間、山茶花の生垣を素早く行き来する様子を窓際から眺めると、すぐにその気配に気がついて飛び去ってしまう。

しばらく作業に没頭し、「そろそろかな」という頃、またそっと窓の向こうを覗いてみる。

いつもの冬のリズムである。

 

 

お二人と屋久島のアトリエでお会いしたのは、6時を過ぎてもまだまだ明るさが残る、夏の新月の日でした。

お二人と紡ぐ静かなる日々。屋久島の小さなアトリエで、結婚指輪作りが始まりました #屋久島でつくる結婚指輪

 

あれから時が過ぎ、いよいよ結婚指輪作りが始まったのですが、気がつけば、日没がすっかり早くなっています。

山茶花にツワブキ、そして北西の風。

大好きな冬の屋久島を慈しみながら、お二人の結婚指輪を作っています。

ピンクゴールドで綴る光とリズム お二人の結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪 

 

島もずいぶんと寒くなってきたけれど、そういえば、熱いコーヒーがひときわ美味しく感じられるようになった気もする。

分厚いフリースを着込んで、えいっ!と思い切りよく散歩に出かけると、美しく澄み切った景色に出会えたりもする季節だ。

そんな何気ない日常で出会う、さまざまな事象が持つ側面のようなものを、リングにも表現することができれば素敵だろうなと、思いを巡らせながら。

 

さて、今日も作っている。

お二人が選んでくれたピンクゴールドを、リングの形へと少しずつ作り進めていく。

ピンクゴールドは、反発する力が大きい素材なので、バーナーの火を回しながら、ピタリと両端が組み合わさるようにテンションをかけていく。

しかも、より高温での作業が必要になるので、溶けてしまわないよう最大限の注意を払わなければならない。

ピンクゴールドは意外と扱いの難しい素材で、指輪作りはいきなりのクライマックスを迎えたところだ。

 

 

表面をざっと薄く削り落としたところで、ほっと一息。

作業を始めてからずっと黒い幕に覆われていたピンクゴールドに、ここで再び輝きが宿った。

シックであり、雅やかである。

ピンクゴールドが持つ、生の色彩だ。

 

それにしても、結婚指輪を作っていると、ついついこうやって重ね合わせたくなるんですよね。

彼のリングの上に彼女のリングを乗せると、ぴたりと合わさって、なんだかほっこりしたワンシーンでした。

 

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ピンクゴールドで綴る光とリズム お二人の結婚指輪作りの始まり #屋久島でつくる結婚指輪 

 

お二人の結婚指輪作りを始める前、いつものビーチでピンクゴールドを眺めていた。

その二本の細い金属は、夕暮れ時の光を受け柔らかな輝きを放ち、包まれる波の音に溶けていきそうだった。

冬の北風が運ぶ波が浜辺に打ち寄せて砕け、小さな砂粒一つ一つがオレンジ色に輝いている。水面に映る光はゆらめきながら、太陽へと続く一本のラインを描いていた。

 

「さあ、いよいよお二人の結婚指輪作りが始まるのだ。」

静かに胸を高鳴らせながら、わたしは思った。

 

翌朝になると、早い時間から作業机に向かい、炎に包み焼きなましたピンクゴールドを鉄のプレートの上に乗せ、金槌で叩き始めた。

コンコン、コン、とアトリエに響くのは、はるか昔からずっと変わらない、手作業の音だった。

その温もりのある音の一つ一つが、とても心地よく感じられた。

 

1本のピンクゴールドには、太い部分と細い部分が生まれるように、強さと回数に変化をつけながら、何度も同じタッチを繰り返していた。

こうして、小さなタッチが幾重にも積み重なり、一つだけの形が育くまれていく。その時間のすべてが、なんとも愛おしく感じられる。

 

浜辺で感じていた、キラキラと輝く光、そして水の一粒一粒。

世界を包み込んでいた大きなリズム。

光とリズムのイメージが、今この手の中にある。

 

夏の終わりのアトリエで、夕方暗くなるまでお二人と夢中になって語り合っていた日のことを、懐かしく思い出していた。

 

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ルチルクオーツの指輪作り。オーダーメイドの贈り物 #屋久島でつくる結婚指輪

いとこのパートナーである彼女に、ルチルクオーツの指輪をお作りするのは、夏の終わり頃からの約束だった。

デザインがすでに形になっていたので、始めようと思えば取り掛かることができたのだが、なんとなく作りそびれてしまっていた。

もっと踏み込んだアプローチができるだろうとか、新しいデザインに仕上げたいとか、表現的挑戦が先に立って、つい手が出にくくなっていたのだ。

 

わたしは、天然石というものが、もともと大好きである。

水晶とか、蛍石とか、ルビーとか、ダイヤモンドとか。インディアンジュエリーのターコイズとか、石の中にできる紫水晶の結晶とか。

石を眺めたり手に取ったりしているだけで、心が安らぎ、不思議とワクワクするのだ。

石そのものを、石だけで収集するのも好きだったし、それが高じてジュエリー作りを始めるようになったと言っても過言ではない。

 

そんなわけで、彼女からルチルクオーツのリングをリクエストいただいた時点で、作ってみたいジュエリーのイメージが広がり過ぎてしまって、「ああ、どのスタイルで仕上げていこうか!」と右往左往してしまったのだ。

 

それから、彼女と話をしていて、思い描くジュエリーの様式が私の好みとかなり近しいものだったのも、この制作を大切に温めておきたい気持ちを強くさせた。

 

お互いにお気に入りだったのは、インディアンジュエリーのように心に響く力強さがありつつも、上品な技巧を凝らして作られた、洗練されたジュエリーだった。

 

これはこれで結構凝った趣味だと思っていたけれど、こんなに近しいところに、同じイメージを共有できる人がいるとは思ってもいなかった。

 

 

 

今回のジュエリー作りは、まず、シルバーとゴールドを溶かし、材料となる地金を作るところから始めた。

シトリンを囲むゴールドと、リングとなるシルバーに十分足りる量を用意してから、一気に作り進めていくといった感じだった。

 

でも、ゴールドでシトリンを包み込む石枠を作っている時点で、もうかなり入り込み過ぎてしまっていて、結局、作業の途中に写真を何枚か撮影しただけで、あとはずっと作業に没頭し、机に向かいっぱなしだった。

 

シルバーリングの中央に、ゴールドの粒々の装飾をあしらった、クラシックなデザインである。

元来、この粒々はもっと小さくて繊細に表現をするものであるけれど、「もう少しコロリと可愛い感じにならないかな」と、長い間ずっと思っていた。

それが、いとことパートナーの彼女とのジュエリー作りで、初めて形になったわけである。

 

パッションにしてもインスピレーションにしても、オーダーメイドのジュエリー作りでは、想像を超える何かに出会うことができるという、贈り物のような時間である。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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