光と影のコントラストが気持ち良いので、ぜひ。
お二人との素敵な出会いに、屋久島にありがとう!
光と影のコントラストが気持ち良いので、ぜひ。
お二人との素敵な出会いに、屋久島にありがとう!
緑と響き合うプラチナリングの印象。
北風が冷たく吹き抜ける、よく晴れた日だった。
散歩道で空を見上げると、木々の隙間から柔らかな光がこぼれ落ちてくる。
その光を受けて、プラチナリングに影が宿る。
まるで墨で描いたように、深く静かな影だった。
時のリズム。プラチナの温度感。同時に存在する光と影。
彼のリングは2.5mm幅で、彼女のリングは2.0mmで作りました。
これからリングの内側に彫刻するのは、島の緑にまつわる模様です。
そして、最後の磨き仕上げを施して、いよいよ完成となるのですが、この続きはまた別のお話で。
お二人の素敵な結婚指輪のお話は、もう少し先のお楽しみに。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
制作編
作業の合間にいつものビーチまで出かけ、少しだけ浜辺を歩いて、帰り道に郵便局に寄り、年末の諸々の手続きを終えた。
「さあ、アトリエに帰ろう」というところで、車窓から海のキラキラに目をとめて、見晴らしの良い場所で車を止めた。
冬の光を眺めるのが大好きだ。
朝の木漏れ日のような、水面の煌めきのような。
プラチナの輝きに魅せられながら。
タッチを重ねるたび、プラチナリングに小さな息吹のようなものが宿ってゆく。
その時間に対峙することができるのは、作り手ならではの喜びであるように思う。
彼女のリングとリズムを合わせるようにして、彼のリングを同じフォルムで仕上げていく。
リング幅と厚みは、彼のサイズに合わせて大きく作ることにした。
つけた時のフィーリングだったり、お二人が並んだ時の雰囲気を、より親密なものに仕上げたかったからだ。
造形がひと段落した二本のリングを作業台に並べ、次の工程に移ることにする。
リングの表面には2箇所に三日月型の切り込み模様が入っていて、それらが生み出すラインがリングを一周、なめらかな波のように巡っている。
リング全体は光沢仕上げに、三日月の切り込み模様部分はマットに仕上げる予定である。
どちらも異なる表情だけど、どちらも同じ場所にある。
「じゃあ、その光と影のような印象に、時間を感じられる“動き”を与えるにはどうしようか」
そう考え、リング全体に大きな揺らぎを与えることを思いついた。
プラチナリングを鉄の台に置いて、コンコンと叩いて曲げてゆく。
大きなカーブから始め、小さなカーブへと、少しずつ段階を追いながら、同じタッチを繰り返す。
思いの外、シンプルな作業なのである。
アトリエに広がる空気はひんやりとして心地よい。
窓の向こうには大きな虹がかかっている。
生垣の山茶花にメジロたちが集まり、チィチィチィと楽しげに囀っている。
わたしは、プラチナリングのサイズを測り、円形を整え、また少し叩いてカーブを与える。
屋久島サウスの12月は、このようにのんびりと過ぎてゆくのであった。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
リング状になったプラチナリングを作業台の上に置き、鉄鋼ヤスリを左手に持ち、その表面を大きく削り始める。
二つの三日月型の切り込み模様を施す。
削り取られた部分には、艶かしい質感が露わになる。
プラチナ特有の輝きである。
12月の鮮やかな色彩に包まれて、お二人の結婚指輪を作っている。今年もあと少し!
どうしてこんなにもプラチナに惹かれるのか、わからない。
数百年も前から注目を浴び、今では世界中で愛されている。
プラチナには、しなやかな強さがある。
程よい柔らかさを保ちながら、長い年月を寄り添ってくれる。
作業机に向かっていると、手触りがとても心地よい。
クールな印象があるかもしれないけれど、なかなかフレンドリーな金属なのである。
その冷たい金属に、温もりを与えるように。ゆっくりと造形を進めていく。
憧れているのは、島の暮らしで出会う、植物や水、光が織りなす静かな鼓動である。
久しぶりの朝露。
とても寒い朝だった。
作業の合間に山茶花を眺めておく。
今年の咲き方は特に見事で、こんなに明媚な年は、なかなか無いように思うのだけど。
彼女のプラチナリングのフォルムは、完成まで約75%のところまで育まれた。
それは、島の自然やお二人の時間に育まれたものだ。
そして、わたしはまるで生まれたばかりのウォンバットを抱えて見守る人のように、その小さなリングを温かな気持ちで眺めている。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547
島にもいよいよ冬がやってきたことだし、庭先に咲くツワブキを眺めながら、お二人の結婚指輪作りを始めることにする。
とても爽やかな心地だ。
キリリと冷たく澄み切った空気に包まれ、身も心も新しくなったような気分である。
12月半ば、快晴の日。
作業机にプラチナを用意して、最初の一歩を踏み出す。
お二人と一緒にデザインしたのは、素材もデザインも、ぴたりとお揃いのリングだ。
サイズとボリュームは、それぞれに合わせて丁寧に作り進めていく。
彼女とは9月にアトリエでお会いしたし、彼は青山での裕子さん個展に来てくれたので、指輪作りのイメージはとてもつかみやすい。
リング幅は2.0mmと2.5mm
くるりと巻いたプラチナの両端を、酸素トーチの炎の中でつなぎ合わせる。
木槌で叩き、鉄鋼ヤスリで削り出していく。
それ以外に、特別な道具や秘技みたいなものは出てこない。
モチーフになっているのは、屋久島の暮らしの中で出会う光やリズム。
形のないものを、曲線として、小さなリングに表現していくのだ。
とてもシンプルな作業である。
どうして周りをシンプルに整えるのかというと、心と手、そして指輪の距離を近くするためなのかもしれない。
「家族が屋久島で仕事をするようになったこともあり、何度か島を訪れています」と彼女は言う。
屋久島がご縁で始まった指輪作りは、まるで奇跡の出会いであるように思ってしまうけれど、そこには確かな繋がりのようなものも感じることができる。
1日の作業を終える頃、屋久島サウスも一段と冷え込んでくる。
分厚いフリースを着込んで、思い切って庭先に出て空を眺めてみる。
どうやら満月が近いらしく、月明かりが雲を強く照らしている。
明るい夜だ。
山々の稜線にかかる雲の切れ目からは、チラチラと小さな星たちが輝いて見える。
山茶花も日に日に美しくなるし、天気雨が降って虹も出そうだし。なんだかまた忙しくなりそうだ。
島の冬と共に歩む、明日の指輪作りを思い浮かべる。
そして、嬉しくなる。
オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547