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屋久島の雨とシャンパンゴールドの日々, 始まりの結婚指輪をつくる #屋久島でつくる結婚指輪

屋久島の雨とシャンパンゴールドの日々。

いつもながらの個人的な梅雨入り宣言だけど、

屋久島に訪れた雨期の始まりは、しとしと雨音に包まれながら、宮崎に暮らすお二人の結婚指輪を作っている。

 

ここのところ楽しくて作っている短い動画。

雨の情景とジュエリーと。

島のリズムが響いてくると思います。

 

丸く柔らかなラインを生み出す造形作業は、仏像などの木彫に似ているかもしれない。

角張った金属の中に、お二人と一緒にイメージしたリングのフォルムを配置する。

 

鉄鋼ヤスリを片手に持って、心を静かにして、そのリングの造形を取り出してゆく。

最初は大きく、ガリガリと、思い切り良く削り出していく。

シャンパンゴールドの破片はたくさん散らばり、切削面が艶かしい光沢を見せる。

 

ヤスリを少し細かい番手のものに持ち替えて、ぐるりと一周、角を落とす。

そしてもう一周。平面を分割し、たくさんの平面を重ね合わせていく。

何度も同じリズムを繰り返すと、やがてリングの表面から直線が消えてなくなり、つるりとした曲面が現れた。

 

リングの表面はなだらかにカーブを描いている。

側面にはしっかりとした面積の平面を残した。

リング幅は1.8mmと細身ではあるけれど、そこにはしっかりとした重みを感じることができる。

ゴールドならではの確かな手触りである。

 

それでもまだ、出来上がりのイメージはシャンパンゴールドの中に埋まっている状態で、そこにとどりつくまで、まだもう少しタッチを積み重ねなくてはならない。

 

 

実のところ、造形作業が完了した時が、お二人とリングにとってはスタート地点であったりする。

お二人は自然に近い暮らしをしていて、わたしもそうだけど、何かと手作業の多い日々である。

 

出来上がるリングに、お二人の時間が積み重なっていくように、

暮らしの中で、小さな傷や細やかな歪みが装飾になればいいと思う。

そうするとリングは常に新しい表情を見せてくれるだろう。

 

また強くなりつつある雨音の中、どのようにして“始まり”を生み出せばいのだろうかと考えていた。

 

屋久島でつくる結婚指輪

オーダーメイドのお問い合わせはこちらまで
hp@kei-jewellery.com
tel: 0997-47-3547

 

制作編

雨とジュエリーと 屋久島と響き合う, シャンパンゴールドの結婚指輪制作記 #屋久島でつくる結婚指輪

雨とジュエリーと 屋久島と響き合う, シャンパンゴールドの結婚指輪制作記 #屋久島でつくる結婚指輪

今日もまた明るい雨が降っている。

しとしと雨音に包まれるのが心地よくて、アトリエにこもって作業を続けていた。

 

島の暮らしで素敵なシーンはたくさんあるけれど、

雨とジュエリーと

この時間が一番好きかもしれない。

 

炎で包んで焼きなましたシャンパンゴールドを打ち付ける金槌の音が、

コンコン、コンと部屋の中に鳴り響く。

さっき作ったコーヒーはまだ熱い。

なかなか悪くない1日の始まりだった。

 

 

彼女とは実は、島に暮らし始めてすぐにお会いしていたりした。

屋久島で繋がる結婚指輪作り。

屋久島サウスのアトリエで結婚指輪の相談会, 海を感じるデザインに出会う #屋久島でつくる結婚指輪

 

大好きなシャンパンゴールドに癒されながら。

シャンパンゴールドの癒し、結婚指輪作りの第一歩 #屋久島でつくる結婚指輪

 

森や海が好きで、雨も好き。

指輪作りは、あるいは数ヶ月の短い期間かもしれないけれど、

屋久島での出会いはいつも強い結びつきのようなものを感じさせてくれる。

 

偶然のような必然、とでも言うのだろうか、

そのような中で生まれるデザインは不思議なもので、

これで間違いないのだ、と強く信じることができるような気がする。

 

宮崎に暮らすお二人と一緒に思い描いたのは、大好きな海のイメージだ。

大きなうねり、小さなうねり。水平線に広がる色彩のグラデーション。浜辺に打ち寄せ、砕ける波の音。

いつも体全体で感じている情景を、シャンパンゴールドで紡いでいく。

 

くるりとするその前に、彼女のリングに太い部分と細い部分をあらかじめ作っておいた。

こうしておくと、リングにより繊細な表情を与えることができる。

 

お二人とも細身のスタイルではあるけれど、

彼のリングは均一幅のまま、しっかりと丈夫に形作っていく。

 

少しずつお互いに変化を持たせながらも、そこに確かな繋がりを生み出していく作業は、

オーダーメイドならではの喜びなのかもしれない。

 

雨脚が弱くなったところで、庭に出て緑を眺めておく。

今日も屋久島にありがとう。

 

2本のリングは鉄の芯金に当てながら、完璧な円となるまで木槌で叩いた。

出来上がりの際に、目的のサイズにぴたりと着地できるよう、今の段階から狙いを付けておかなければならない。

 

そして、1日の終わりには、大まかではあるけれど、その造形を端正に整えることができた。

酸化膜で黒く覆われていた表面は綺麗に磨き落とされ、シャンパンゴールドの色彩が表れている。

 

「なんとも趣深い黄金色であるな」と、いつもながら自然の作り出す奇跡に感嘆を漏らしてしまう。

窓の向こうを眺めると、いつもの屋久島の情景があった。

このシャンパンゴールドも、元々は山々や雨と同じところに生まれたものなのだ、ということが腑に落ちてきた。

それは、とてもスムーズで自然な感覚だったように思う。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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シャンパンゴールドの癒し、結婚指輪作りの第一歩 #屋久島でつくる結婚指輪

白いハイビスカスが咲き始めている。

「ああ、夏が近づいてきた合図だな」と思いながら、雨上がりの庭先でシャンパンゴールドを眺めていた。

 

たしかに、すぐ隣を見ると紫陽花が大きな雫を抱いているし、雨の勢いも力強くなってきたように思う。

ゴムの木は高く背を伸ばし、芝生に広い影を作っている。

 

それにしてもシャンパンゴールドは島の緑によく似合う。

木肌を思わせる優しい色彩、とう感じだろうか。

朝の光のような柔らかな輝きを眺めていると、むっちゃ癒された。

 

自然の中に漂う神秘のようなものに憧れて、島に暮らしてもう随分長くなるけど、

きっとお二人とは近しいフィーリングで繋がっているように思う。

 

さあ、いよいよ結婚指輪作りを始める日がやってきた。

感動を分かち合いましょう。

 

作業机に向かい、バーナーに火を灯して、まずは最初の第一歩だ。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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素敵なエピローグ, 赤ちゃんの手に輝くナノハナのネックレス #屋久島でつくる結婚指輪 #ご出産記念 #オーダーメイド

朝の作業を終えて、メールを開くと、嬉しいメッセージが届いていた。

ネックレスをお届けした彼女が添付してくれた画像を開いた瞬間、わーっと心が躍った。

 

赤ちゃんの手の中にナノハナのネックレス、可愛すぎました。

あたたか気持ちに包まれて、今日も1日頑張ろう!と、なんだか力が湧いてきた。

 

産まれたお子様のお名前にちなんだジュエリーを、とオーダーメイドのお声がけいただいたのは、ちょうど屋久島に菜の花が咲く3月のことでした。

想い溢れる ご出産記念のオーダーメイドジュエリー 〜屋久島から贈る菜の花と月の物語〜

 

菜の花と月とをモチーフにして4本のネックレスをお届けしたのだけど、

その一つ一つの細やかな造形も気に入っていただけてよかった。

「2本のナノハナのネックレスも花びらの感じが微妙に違うのが手作りの温かさがあって素敵でした!」と彼女が伝えてくれた言葉が、胸にグッと響きました。

 

「少しずつ違っていながらも、確かにつながっているような、

どこにいても、何年経っても、家族って素敵だなあと。

そのような思いを込めて作りました。」と、わたし。

 

ジュエリーを形作るものは、いつも形の向こう側にある大切な想いなのだろう。

 

ありがとう!

ご家族の溢れる喜びを分けていただいているような、幸せなジュエリー作りでした。

 

屋久島でつくる結婚指輪

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