お二人の結婚指輪が出来上がって、雨上がりの庭先で手に取って、彼女のリングと彼のリングがぴたりと合わさるのを眺めたら、ほっこりと温かな気持ちに包まれました。
ふわりとお二人の雰囲気を思い出したのです。
初めてお二人にお会いしたのもこの庭先でした。
久しぶりにアトリエで相談会ができたこともあって、
フィジカルな体験って温かい、あらためて素晴らしいなと感じることができました。
屋久島が紡いでくれた繋がりにありがとう。
新年最初の結婚指輪作りは山茶花とメジロを眺めながら、とても温かだったので浜辺を歩いたりできたのをよく覚えています。
冬の花鳥風月、なんとも雅やかだった制作の日々だったなあ。
お二人の結婚指輪は緩やかな波のようなラインを表現したプラチナリングなのですが、
お二人は音を愛していて、私は波に乗ることが好きで、
あるいはそれらはどこかで深く繋がっているのかもしれないなと、
作業机に向かっていると気がついた瞬間がありました。
形のある指輪の奥にある大切なことを分かち合っている、
というところは面白い発見だったかもしれません。
ほんと、同じ船で旅をしているような結婚指輪作りだったように思います。
音と波。
お二人とはゆるやかな島の時間に乗ってここまでやってきました。
手のひらにそっと並べてみると、寄り添い囁き合っているようにも見えたお二人のプラチナリング。
雨上がりの光が降り注いでいる。しずくいっぱいの中で清々しかった!
そして、
デザイン作りでは素敵なアイデアも生まれました。
「リングの内側に大切にしている和歌のフレーズを。
二つで一つになるように彫刻したいのです。」
とお二人がリクエストしてくれたのです。
出来上がった彫刻を前にすると、わかってはいたはずなのに、
さすが音楽をライフワークにしているお二人だなあと、感動で胸いっぱいになりました。
お二人の想いから新しい何かが生まれて指輪が出来上がる、
オーダーメイドならではの楽しさだなと思います。
小さな喜びが集まってまた一つの喜びが生まれて、
そうやってお二人の暮らしは紡がれてゆくのだろうな。
短い指輪作りではあったけれど、素晴らしいひとときをご一緒できたことに感謝します。
彼の2.3mm幅と、同じ2.3mm幅ではあるけれど、彼女のリングには太いところと細いところのリズムがあります。
表面は丸くて柔らかい。巡り流れるようなアウトライン。
普段はそれぞれでつけるリングだけれど、こうして重なり合うと一つのようにも見えました。
マット仕上げと光沢仕上げ別々にしたのもよかったなと、指輪作りのいろいろを思い出したり。
いよいいよ朝の光が強くなってきた。
それにつれてリングの表情もまた新しくなる。
プラチナと屋久島が奏でるハーモニーなのかもしれません。
静かに、そして躍動するような。
形を持つプラチナリングのその向こう側にお二人だけの旋律を感じられたような気がして心が躍りました。
そうそう、アトリエの近くでは菜の花も咲き始めているのですよ。
初めてお便りをいただいたのが去年の四月だったから、
季節はぐるりと一周しつつあるのですね。
楽しい結婚指輪作りをありがとうございました。
屋久島らお二人に。
ご結婚おめでとうございます!
幸せな日々を。
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