緑の中に佇むお二人の結婚指輪。
たなびく稲穂の彫刻模様。
まるで今ここに初夏の爽やかな風が吹いているように感じられました。
長く続いた雨は上がり、朝の光が少しずつリングを包み込みます。
まるで世界が祝福の時を今か今かと待ち構えていたように。
そしてやがてピンクゴールドとプラチナが静かに、力強く輝きを放ち始めました。
ここにはもう金属の冷たさはなくて、仲良く並んだお二人の温度感のようなものが広がっているようで。
そんな情景を目にするのは何よりも幸せなひと時でした。
屋久島サウスのアトリエから、ご結婚おめでとうございます!
お二人の結婚指輪作りを始めた時、島は5月の澄み渡る空に包まれていました。
それから梅雨に入り、季節外れの台風がなんと二つも通り過ぎてゆきました。
変化と豊かな色彩に満ちた日々が今ではもう懐かしく、愛おしくさえ感じています。
一度だけの季節に、お二人との素敵な出会いにありがとう。
屋久島からお送りしたサンプルリングをお試しいただいて、お二人からいただいたご感想のメールを開いた時に、なぜかその瞬間にデザインを閃いたのです。
彼女のピンクゴールドと彼のプラチナ、お互いの一部分を交換するように作ろう。
そしてそれぞれのピンクゴールドに稲穂模様を彫刻するのはどうだろうか。
こうすると2本のリングに繋がりを持たせることができるだろう。
宝探しの地図を見つけたように、そのアイデアはふと心の中に浮かび上がってきたのです。
間違いない、これはお二人のデザインだ。
不思議と確信に満ちていたのを今でもよく覚えています。
これといったパターンを持たない島リズムのオーダーメイドだったかもしれません。
だからいっそう出来上がったお二人の結婚指輪が奇跡のかけらのように思えるのです。
なんだかお二人と屋久島と、ともに過ごした時間そのものみたいだなと、しみじみと思いながら。
素材はピンクゴールドとプラチナのコンビネーションです。
彼はプラチナが良くて、彼女はピンクゴールドが好きで、でも繋がりを感じていたくて。
こんな気持ち、とってもよくわかります。
お二人と相談を重ねて、
お互いに交換する金属を全体の1/8にしたのは素敵なバランスでした。
そしてその繋がりを確かにするように、わたしたちはピンクゴールドの部分に稲穂模様を彫刻することを約束したのです。
じんわりと満たされてゆくフィーリングが好きです。
豊かさに包まれる。
お二人と大切な響きでお繋がることができて嬉しい。
2本のリングをそっと手に取ってみる。
アウトラインはシンプルなラウンドシェイプです。
2.0mm幅と2.3mm幅、丸くて手触りがとても柔らかい。
木漏れ日の中でゴールドとプラチナの色彩の違いが一層際立って見えます。
印象としてはとても軽やかなのだけれど、手の中にはプラチナとゴールドの確かな重みがあって!
強度もとてもしっかりで、ずっと長く生活に寄り添ってくれる相棒にあるべき信頼感のようなものを感じ取ることができました。
そして、彼と大阪でお会いして、裕子さんの絵画を眺めながらお仕事や暮らしのことを話した日のことを、ふと思い出したのです。
手作業の多いお二人のお仕事にも優しく馴染んでくれますように。
一緒に選んだお名前の字体もよかったですね!
丁寧に、じっくりと、彼と彼女とはここまで一緒に指輪作りの道のりを歩んでまいりました。
お二人だけの結婚指輪が出来上がったと思います。
なぜだろう、お二人とはきっとまたどこかで会えるような気がしています。
いつか屋久島にもいらしてください。
楽しい指輪作りをありがとうございました!
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