彼女のリングを磨き終えて造形作業はひと段落となりました。
指先に収まるくらいの小さなイエローゴールドは島の雨とともに。
雨もたくさん降ったしプルメリアやドラゴンフルーツも楽しめた
色鮮やかな南国の日々でした。
そして暑さのせいで?よく海に入っていたような気もします。
お二人と歩む結婚指輪作りのいろいろを振り返りながら。
イエローゴールドでつくるラウンドシェイプのリング。
はるか昔から世界に広く愛されてきたデザインだと思います。
つけ心地柔らかで、使ううちに体の一部になるような親密さがあるのですよね。
作っている私も手の中にほのかに灯る温かみを感じる事がしばしばありました。
それは月明かりに包まれるような癒しだったかもしれません。
けれども、それが普遍的なデザインであるからこそ、作り手のアイデンティティだったり、お二人の想いだったりが分かりやすく表現されてしまうのかもしれないな、とも思うのです。
シンプルであればあるほどに個性が浮き上がる。
それはケーキで例えるとショートケーキのようでもあり、洋服で言うならば白いシャツのようなデザイン性に似ているような気がします。
確かにここに一つだけの結婚指輪だと感じています。
自然を愛するお二人と私と、そして屋久島の季節が出会って生まれつつあるデザインはいかに。
彼女が選んでれたのは2.0mm幅です。
アウトドアでの活動が多いお二人ではありますが、フォーマルなシーンでもお使いいただけるように繊細で上品なボリュームに仕上げています。
その辺りは硬くて丈夫なゴールドがやっぱり安心なのですよね。
小さなリングではあるけれど、そこにお二人が出会った確かさのようなものを感じられるようにと、
光沢仕上げにしたのも素敵な選択でした!
植物や水と同じように、ゴールドもまたこの大地から生まれたものだと思うとグッときます。
指輪を身につける薬指は、あるいは大きなものと繋がりを持つ場所なのかもしれません。
彼のリングと重ね合わせてみる。
サイズやボリューム感は違っているけれど、ぴたりと同じに見えたので嬉しい。
よくみると側面にほんの少しだけフラットな部分を残してあるのが分かりますか?
この平面があることによってリング全体の雰囲気がすっきりとシャープになる。
そして幾分かの質量を稼ぐ事ができるので、リッチな味わいも楽しんでいただけると思います。
そして内側にはお二人ならではの造形と細工が施されることになっているのですが、それはまた次の機会に。
もう少し先のお話に。
さあ、雨が上がりました。
ハイビスカスは抱えきれないほどの雫を抱いていて、山際の低いところには虹もかかっています。
そういえばまた少し涼しくなったような。
お二人の指輪が出来上がる頃にはサキシマフヨウの花が咲ているだろうなあ。
今日にありがとう。
屋久島にありがとう。
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