紫陽花の花が咲き始めたと思ったら、
急に重たい雨の気配を感じるようになった。
朝一番、雨はまだ降っていなかったけれど、
なんだか水に囲まれているというか、水の中にいるようなフィーリングがあって、
一年ぶりに訪れた島独特の感覚を少し懐かしく想っていた。
梅雨が始まると、もうどこにも出ることができないほどに降り続くこの雨、
その中にいると制作がグッと深くなるから、案外嫌いじゃないんです。
今日は朝から月形に切り落とした夜光貝を磨きに磨く作業を続け、昼前にはそれは美しい輝きが現れた。
紫陽花色の輝き。
夜光貝の磨き上げ作業は手を加えるほどに変化を見ることができるので、興味が尽きません。
角度を変えたりゆらゆらさせたりして、うっとりとしておりました。
月形の夜光貝がピカピカに磨き上がり、これからいよいよリング本体の加工に移るわけですが、
使う素材はk18 イエローゴールド一種類で、
細い線と板、そして小さな粒、とてもシンプルな組み合わせなんです。
それにしても、ゴールドと夜光貝という組み合わせから生まれるジュエリーの可能性は無限で、この月と星の指輪のデザインが出来上がったのも奇跡のようだ。
いつも先頭にあるのは作りたいジュエリーのイメージで、そこのたどり着く最短距離を探るように素材や技法を選んでゆくのが私流。
その距離が短いほど、印象が強く浮き上がります。
最近の興味は月や星、夜、波や海みたいにふんわりとしたイメージをジュエリーに変えることで、
平面と柔らかい流線を組み合わせる新しいスタイルのイメージもたくさん溢れてきています。
夜光貝のジュエリーもそうですし、
マリッジリングの方でもシャキッと柔らかいラインが生まれてくると思いますので、こちらもよろしくお願いします。
カタチの向こう側にある何かを感じたい。