秋が深まりさらに美しくなってきたサキシマフヨウの花。
朝の花と、ジュエリーと。
素敵な響きであります。
今日は待ちに待った制作を控えていたので、
ずっとアトリエで過ごすぞ!
そんな気持ちで一日の始まりを迎えました。
昨日仕上がったレディースのリングに続きメンズの造形作業を始めることになり、
作業机の前で道具を並べ、背筋を整えていた。
お二人はこの夏にしずくギャラリーに来てくれました。
こちらが造形前のリングで、まだ角も残ったままの状態。
素材はプラチナとゴールドのコンビネーションで、
緩やかな境界線を描くようなスタイルで、というお二人のイメージを体現すべく、その接線が流れるような曲線を描くように組み合わせました。
ここまでデザインの打ち合わせを重ねて来たけれど、
妙に彼とスタイルについて馬があったのは、
彼は建築家で、私もデザインを多く建築から影響されているからだろう。
改めて制作ノートを振り返ってみたら、
揺らぎ、無垢、集まる、湖と屋久島
そのような言葉が記されてあった。
さて、いよいよ形成作業が始まり、
鉄鋼ヤスリを片手に、ガリガリとリング側面を斜めに削り落としていった。
この辺りは結構大胆です。
側面のデザインはレディースのリングと同じく、指輪に大切な想いを刻み込むために細部にデザインとしてそれを写し込んだもの。
お二人のお住いは大きな湖のある場所で、
その湖と屋久島の形状を模して、それを側面に、シンボリックにかたどりました。
屋久島に来て、
人生観が変わった。新しい扉が開けた。飲めなかったお酒が飲めるようになった。体が柔らかくなりブリッジができるようになった。魚がさばけるようになった。
など、彼も俺と同じく素晴らしい体験をされた一人でありますが、
ここで指輪を作って、屋久島の山々とお二人の故郷の湖をシンボルと刻み込むことはお二人にとっての新しいスタートの印なのだろう。
作業机の前、背筋がキュッと伸びる思いでそんなことを考えていた。
作業を終えて、朝と同じ場所へ。
今日も屋久島にありがとう。
秋になると虫の音色が美しく響きますね。
明日もジュエリーです。